『不吉』
T駅に向かう路地の途中、上空からひゅんひゅんとおかしな音がした。雑居ビルの谷間から見上げると、およそ五千の棺桶の群が見えた。滑空する棺桶の上には灰色の裸体を晒した骨と皮だらけの老人達がまるでサーフィンを楽しむかのように腰を落として乗っていた。が、彼ら全員黒目がなかった。

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うたがわきしみ
水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。