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『廃屋の天使たち』
もう息をしなくなった少女を
突き動かす己の荒い息づかい
真っ白い肩の丸みに
月明かりの光沢が冴えざえと落ちて
揺れて
どこにも行かないように
泣きながら噛みつける
優しい黒髪に顔をうずめ
かぐわしい腐敗の前触れに
欲情をまぶし 放つ
果てて満ちる静寂を切り取るように
少女の輝く肩を持ち帰る
廃屋に丸い肩がひとつ増えた
家畜のように吊し
揺らし 眺め
錆びた匂いに鼻腔は濡れ
やにわに果てる
窓からのぞく月にも
死はさめざめと輝き
腐りゆく天使と
今日も朽ちてゆく
――廃屋天国――
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