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角野隼斗 全国ツアー2022 “Chopin, Gershwin and…”

洗練された繊細なタッチとショパンの自室を模したシェードランプの柔らかな採光ー。アップライトピアノの含みのあるロマンティックな音色の世界に少しずつ、そして優しく吸い込まれていく。

このアップライトのピアノは角野さんの自宅からわざわざこの公演のために、運び込まれたものである。上前板がスケルトンになっている縦型のピアノは滅多にお目に掛かれないため、それが角野さんの私物であることはすぐに分かった。

そのピアノから奏でられる音色に酔いしれながら、うっとりと漂うような気持ちのまま休憩を挟むと、後半はガラリと雰囲気が変わる。全く素晴らしいとしか言いようのない演出だった。ジャズ/クラシックを融合し、アメリカンミュージックを展開したガーシュウィンのピアノ協奏曲。更には圧巻のオーケストラ演奏と見事なまでに融合をさせて魅せてくれたのだ。

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『音楽が好き』

その一途な想いは音楽のジャンルという垣根を軽々と越えてみせ、音楽そのものを自由に楽しむそのスタイルは“隼斗スタイル”として既に定着されつつある。
そんな彼の魅力が存分に詰まったツアー公演最終日は、鳴り止まぬ拍手とオール・スタンディングオベーションで締め括られた。まさに5000人が渾然一体となったその歴史的瞬間に立ち会うことが出来たことは、多少なりともピアノを嗜む私にとって、至上の喜びとなったことは言うまでもない。

このツアーにおいて耳で捉えた音、ライブで目にした情景の全ては、今後もずっと私の自慢の一つになるだろう。そして最後に何度も何度もステージに戻り、オーディエンスに感謝の気持ちを伝えてくれた角野さん。

本当に真っ直ぐで優しい人柄が垣間見えたその瞬間に、わたしの頬に涙が伝った。その時、一緒にきた友人を見ると瞳を潤ませながらこう言った。

「今日は誘ってくれて、本当にありがとう…。」

「うん。」私は小さく頷いた。

次のツアーまでは写真集のようなこのプログラムを眺めながら我慢をすることにしよう。今は2月である。次にお会いできる頃には季節も移り変わり、随分と暖かくなっていることだろうー。

国際フォーラムを後にして、地下鉄の改札を通り抜け、足早に電車に乗り込むと私はまたプログラムに見入ってしまった。演奏の美しさは勿論のこと、"角野隼斗"という“存在”そのものこそが、“芸術作品”なのだということに気がついた。四季が変化するようなスパンで進化をし続ける角野隼斗さんをこれからもずっと追いかけていくことを心に誓ってから、私はそっと目を閉じた。

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I will never take my eyes off your evolution.

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