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黒い宝石

休日に、丸一日かけてわが家の猫用トイレを 新しいシステムトイレに変更してみた。 商品名は『デオトイレ 快適ワイド』というもので、猫がゆったりくつろげるほどの広いスペースがあり、かつ砂も飛び散らず、臭いも全く気にならないという優れものなのである。 しかし、それは猫にとって快適とは限らないのであった。今まで慣れ親しんだトイレや砂の形状が違うことは、私たち人間が想像するよりも遥かにストレスを感じることのようなのである。 ・我慢してトイレを丸一日以上していない ・トイレを探して

    • Steingraeber & Söhne

      3才から始めたピアノを人生で、今いちばん堪能出来ていると感じている。幼稚園から帰ると半ば強制的にピアノの前に座らされた。私の場合、音符はいわゆる“ド、レ、ミ”ではなく、ドイツ語式の音名で覚えさせられていた。“Cツェー,Dデー,Eエー,Fエフ,Gゲー,Aアー,Hハー”である。そして練習する際には音名を声に出して鍵盤を押さえるように教えられた。 “シとソの音”が交互に出てくる曲を弾くときは、必然的に“ハー、ゲー”と連呼をするはめになる。私の周りには、年の近い悪がきの従兄弟が5人

      • ミニマリスト≠シンプリスト

        人間の体は水でできているから、最後は結局水が一番おいしいし、日本人だから最後は結局ごはんと味噌汁納豆とお新香、大根おろしに焼魚があれば、普通に満足なのではないだろうか。最近はよくこんなふうに感じるようになった。 よく人脈が命みたいな人を見かけるのだが、私には親友と呼べる人が2~3人と、家族さえいればそれでいい。それはつまらない生き方に見えるかもしれないが、価値観は人それぞれである。そう、私の場合は一周回って、これさえあればいいよね、というラインがすでに構築されてしまっていて

        • 中華街

          滅多に通知のこないLINEの通知音が鳴った。 私のごく親しい人間は私のLINE嫌いを知っているのでよほどの緊急事態でなければ、メッセージは送信してこない。 誰だろう…。それは前職の職場の“後輩”からだった。 その当時の私はいつも単独で行動しており、ランチも一人のことが多かった。人懐こい彼女は一人でランチを食べている私に声を掛けてきた。 「ご一緒させていただいてもいいですか?」 「あっ…、ど、どうぞ」 彼女は自分のプライベートな話を何でも話してくる珍しいタイプの人だっ

          突然の便り

          今朝、私より一回り以上も年上の元上司から突然の便りがあった。個人的な連絡先はお互いに知らないし、一緒にランチに行くような間柄でもなかった。彼女は数年前に既に定年退職をされている。便りと言っても手紙がきたわけではない。 ショートメッセージといえば、もはやセキュリティの二段階認証や登録している携帯会社からのお知らせ通知しかこないようなものではあるのだが、そういえばコロナ禍で在宅勤務の折に、何かトラブルがあった場合の緊急連絡先として自身の携帯番号を教えた記憶がある。 そう彼女か

          突然の便り

          切り花

          私は花が好きである。自分で買うときもあるが、思いがけず人からもらった花は格別だ。花はその美しさに加え、贈ってくれた人の気持ちが上乗せされ、より鮮やかに輝いてみえるからである。 切り花の寿命は、1週間~10日、長ければ2週間は持たせられる。生け花の師範だった母親に、長持ちさせるには水中で導管を潰さぬよう切れ味の良いハサミでスパッと切るということを教わった。こうした手入れもまた、楽しみの一つになる。 花といえば、こんなことがあった。私たち姉妹がまだお互いき独身だった頃、私は妹

          O型の特徴

          職場で珍しく怒った。世の中にはいろんな人がいるのだから、怒ったところで仕方がないと頭では分かっているつもりなのだけれど。 やっかいな仕事は、誰だってやりたくないし、できれば関わりたくはない。それでも関わらざるを得ない状況になってしまったら、なるべく自分の手から早く離したいという気持ちも分かる。ただそう思いはするものの、一旦、手をつけたら最後までやり切るのが仕事というものだと私は思っている。 しかし残念ながら皆がそういう訳ではないようである。自分の手から、どうにかして離すこ

          O型の特徴

          私が饂飩屋に通う理由。

          いつも行く、神楽坂の饂飩屋の親子。息子が既に跡を継いでいるのだが、90歳くらいになる父親も現役で店に立っている。息子に向かって、やれ段取りが悪い!こっちの鍋が先だ!と一喝する姿は、常連客にとっては名物にもなっている。 そんな父親に対し、息子は不貞腐れる様子はなく、むしらろ嬉しそうに見える。週末のこの日も「はい、はい」と素直に応えていた。それはまるで、「この店には親父がいなくちゃ駄目なんだ」と言っているかのようだった。きっとこの息子には分かっているのだろう。この店で親父から叱

          私が饂飩屋に通う理由。

          母への手紙

          自分が初めて歩いたときの記憶が、私にはある。 両手を大きく広げながら、母はそれは嬉しそうに、 はしゃいでいた。この私が初めて歩いたのだ。 母からは、よくこんなことを聞かされていた。 1歳で“黒猫のタンゴ”のレコードに合わせ お尻を振りながら、ダンスを踊っていた。 2歳で小学生と文通をしていた。 3歳で幼稚園に入園した日には、帰ってくるなり 「幼稚園は幼稚だから、幼稚園というのね」と言った。 小学生と文通していたときの手紙を、ずっと大切そうに母は保管していた。ある年の

          母への手紙

          風邪を引いても、市販の風邪薬はあまり飲まない。あれ?なんか今日は少しおかしいなと感じたら、早めに身体を温めて、とにかく早く寝る。どうしても駄目そうな時でも葛根湯を飲んでおけば、まず大事には至らない。 そんな私でも繁忙期が終わりに差し掛かった先々週あたりから、夜中に何度も目が覚めるようになってしまっていた。暑くもないのに寝汗を掻く日が暫く続いた。朝、起きてもなかなか疲れがとれない。私は堪らず職場に常駐している産業医のもとを訪ねた。 先生、お久しぶりです。 ーアズマさん、ほん

          piano

          note公式|note 私にとってピアノを弾くという行為は、少なくともゲームをするときのようなな感覚ではない。いつも何かに逡巡しながら弾いていることが多いのである。弾くことに集中してはいるのだけど、思考はいつも他のところにあるような気がする。そうして無意識に、頭の中を整理したり、物事の区切りをつけたりしているような気がしている。 それは何となく言葉にはしにくい漠然とした思いだったり、寂しさだったりを指先から鍵盤へと放出するようなイメージだ。上手く演奏することにだけ、集中で

          新しい命

          殺伐とした職場にも、たまには微笑ましいニュースが飛び込んでくる。昨日の朝出社をすると、待ってましたと言わんばかりにRさんが私のところへ駆け寄ってきた。 R:「わかりましたよ」 私:「どっち、どっち」 R:「男の子でした」 私:「わお!おめでとう」 R:「男の子はかわいいって、いいますよね」 私:「そう、そうよ!きっとね」 女親からしてみると、男の子は生涯に渡ってかけがえのない宝であり、希望であり、ナイトであり続けるものだと思っている。私の場合は姉妹の長女で、母親とはとても

          新しい命

          Pink Elephant

          アパレルショップでアルバイトをしていた当時、六本木の交差点でスカウトされ、半年間だけクラブと呼ばれていた場所で働いたことがある。今でいうキャバクラである。当時の六本木界隈で、普通のバー以外のそうしたお店はまだ数件しかなかった時代である。 その店の名前は「ピンクエレファント」時給は5,000円くらいだったと記憶している。声を掛けられた時は全くやる気はなく、別のアルバイトをしていることを理由に断った。するとスカウトマンは、週1日で何時間でもいいからきてほしいと言われた。 「ん

          Pink Elephant

          本当の意味での「戦い」とは

          今は仕事しかしていないから 仕事の愚痴しか書くことがない 先日、少し対応に苦慮した案件があり 先輩に相談し、きちんと確認した上で処理をした。 翌日、またその案件に新たな問題が発生した。 昨日相談した先輩は休みだった。何か問題が起きてからでは遅いので、私はすぐに上司に報告をしにいった。 その上司と話している際にキーボードに指を置きながら、聞き耳を立てている様子の同僚がいることに気付いてはいたのだが、たいして気にすることもなく、そんなことはすぐに忘れてしまっていた。 その

          本当の意味での「戦い」とは

          幸せへのパスポート

          私は数カ月もの間、海外挙式のための準備に追われていた。結婚式は日本国内でも準備は大変だが、海外挙式となるとやることも多くてとても大変だった。国立保険医療科学院のライフイベント法とストレス度測定によると、人間が最もストレス度を感じる第1位は配偶者の死で、2位は離婚。個人のけがや病気などに続いて、なんと7位には「結婚」がランクインしている。これは8位の解雇・失業を上回るものになる。 何か手伝おうか?という彼に対し「あなたはパスポートさえ準備しておいてくれれば大丈夫だから。」そう

          幸せへのパスポート

          わたしとジャニーズ

          東山紀之氏に、一度だけお会いしたことがある。 六本木交差点から外苑東通りに入ってすぐの4階建ビルのアパレルショップ「J」。その少し先に行くと2005年に一時閉店してしまった「バーガーイン」や解体が噂される「ロアビル」がある、そんな場所でのことである。 表向きは某メンズブランドのアパレルショップだが、実際はジャニーズ事務所のステージ衣装やMAHARAJAの制服などを手掛けていた。母親の知人のツテで、社会勉強をしてきなさいと18才から21才位までそこでショップ店員としてアルバ

          わたしとジャニーズ