戸籍備忘録(人生に疲れた焼酎と定時帰りを愛する男💧)

戸籍法関係の備忘録的記事です。マニアック過ぎる内容で全く一般受けするものではありませんが、少しでも忙しい戸籍事務従事職員の方々のお役に立てれば幸いです💻勉強、起案、先例検索に御活用いただければ幸いです。#古関冬樹  Twitterアカウント(@AZabcdefghi)

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最近の記事

【認知03 外国人である嫡出でない子を日本人男が外国において認知する場合の形式的成立要件について】

後輩「外国人である嫡出でない子を日本人男が外国において認知する場合の形式的成立要件を教えてください認知の形式的成立要件の準拠法は、 認知の成立について適用すべき法と行為地法の選択的連結によるとされています (通則法34条)。 そのため、行為地である日本人の男性が滞在する国の方式による方法が考えられます。 また、子の本国法の方式により認知する場合は、同法が認めるなら、日本人男が滞在する国にある子の本国の大使館で、 当該国の方式で認知可能です。 以上の場合、日本人父の戸籍に認

    • 【認知02 外国人である嫡出でない子を日本人男が日本において認知する場合の形式的成立要件について】

      後輩 「外国人である嫡出でない子を日本人男が日本において認知する場合の形式的成立要件を教えてください」 認知の形式的成立要件の準拠法は、認知の成立について適用すべき法と行為地法の選択的連結によるとされています (通則法34条)。 そのため、認知の成立について適用すべき法であり、かつ、行為地法でもある日本法による方式による場合、認知届を市区町村長に届出する方法と遺言による方法があります (民781条)。 一方、子の本国法が認知の成立について適用すべき法となる場合は、同国法が認

      • 【認知01 渉外的な認知に係る実質的成立要件の準拠法はどの法になるか】

        後輩 「渉外的な認知に係る実質的成立要件の準拠法は、 どの法になるのですか。」 認知の実質的成立要件の準拠法は、 子の出生当時の認知者の本国法、 認知当時の認知者の本国法又は子の本国法とされています (通則法29条)。 認知者の本国法によるときは、子の本国法上の保護要件も満たす必要があります (通則法29条第2項後段)。 子が日本人である創設的認知届に当たり、 日本民法上の認知の要件が当事者双方に備わっていない場合において、 認知する者の本国法により認知することができる旨の

        • 【05 コーヒーブレイク ギ、ギフト⁉️】

          先日、Amazonを眺めていたら、自著に別添のようなラベルが……。 ギ、ギフトですか⁉️意外な扱いを受けていてびっくり。一時、在庫もなくなっていてホッとしました。 関係者、読者の皆様に改めて感謝です。 #戸籍の備忘録244問 #日本加除出版

          【04 コーヒーブレイク 指名は受け付けません】

          来庁者で、対応する職員を指名する人がいます。 以前からの継続相談とか理由があるものなら問題ありません。しかし、ごくまれに、単に可愛い女性職員だからというような理由で「●●さんを……」と言う人がいます。 役所は、飲み屋ではありません。

          【04 コーヒーブレイク 指名は受け付けません】

          【コーヒーブレイク03 帰化事務最前線!】

          法務省民事局が、令和5年国籍別帰化許可者数を発表しています。 世相を反映してでしょうか。ロシアがランキング10位に入ったのには驚きました。 戸籍事務と関係ないわけではありませんので、一応、動向を確認しておきましょう。 moj.go.jp/content/001414…

          【コーヒーブレイク03 帰化事務最前線!】

          【出生18 日本人母と事実主義を採る国の国民である外国人父との間に出生した嫡出でない子について外国人父の認知のないまま父母が婚姻した場合、子は準正するか】

          後輩 「日本人母と事実主義を採る国の国民である外国人父との間に出生した嫡出でない子について外国人父の認知のないまま父母が婚姻した場合、 子は準正するのですか。」 前問とは異なり、 通則法第29条第1項の規定に基づき、 父と非嫡出親子関係が成立しており、法律上の親子関係が生じているといえます。 事実主義の法制を採る国の多くは、 父母の婚姻により子が準正するのが通例であり、外国人父からの認知がなくても、父母の婚姻により、 嫡出子の身分を取得します。 そして、本間の場合、重要なの

          【出生18 日本人母と事実主義を採る国の国民である外国人父との間に出生した嫡出でない子について外国人父の認知のないまま父母が婚姻した場合、子は準正するか】

          【出生17 日本人父と事実主義を採る国の国民である外国人母との間に出生した嫡出でない子について日本人父の認知のないまま父母が婚姻した場合、子は準正するか】

          後輩 「日本人父と事実主義を採る国の国民である外国人母との間に出生した嫡出でない子について日本人父の認知のないまま父母が婚姻した場合、子は準正するのですか」 通則法第30条第1項により、 父、母、又は子のいずれかの本国法により準正が成立するときは、子は嫡出子の身分を取得します。 そのため、一見、 認知がなくても母又は子の本国法により準正が成立するかのようにも思えます。 しかし、日本は認知主義を採用していることから、 父からの認知がない以上、 通則法第29条が指定するいずれの

          【出生17 日本人父と事実主義を採る国の国民である外国人母との間に出生した嫡出でない子について日本人父の認知のないまま父母が婚姻した場合、子は準正するか】

          【出生16 渉外的嫡出親子関係について、事実に反する場合の存否確認はどの法によるか】

          後輩 「渉外的嫡出親子関係について 事実に反する場合の存否確認はどの法によるのですか」 日本の民法のように、 嫡出推定が働いている限り、 嫡出否認によらなければならないとする法制の場合、 嫡出否認の問題として処理します。 しかし、それでも、真実の母はAであるのにBの子として戸籍に記載されている場合に、 子がAに対し、 母子関係の存在確認を求めたり、推定されない嫡出子が、父とされている男性との父子関係の不存在確認を求めることなどはあり得ます。 嫡出親子関係成立の準拠法は、

          【出生16 渉外的嫡出親子関係について、事実に反する場合の存否確認はどの法によるか】

          【出生15 子が父母双方の本国法により嫡出推定を受ける場合、 その嫡出性を否認するには父母一方の本国法によればよいか】

          後輩 「子が父母双方の本国法により嫡出子として扱われる場合、その嫡出性を否認するには一方の本国法により手続をすればよいのですか」参考文献によれば、 通則法第28条第1項の適用上、父母双方の本国法により嫡出性を否認する必要があるとされています。一方の本国法により嫡出性を否認したとしても、他方の本国法で嫡出性の否認ができなければ嫡出性を否認できません。 なお、裁判が必要な場合は、日本に国際的裁判管轄がある限り日本の裁判所ですることができるとされています。 【参考文献】 設題解

          【出生15 子が父母双方の本国法により嫡出推定を受ける場合、 その嫡出性を否認するには父母一方の本国法によればよいか】

          【出生14 嫡出性否認の準拠法はどの時点のどの法によるか】

          後輩 「嫡出性否認の準拠法はどの時点のどの法によるのですか」 通則法28条第1項に基づき、 子の出生当時の夫又は妻の本国法によるとされています。 また、夫が、 子の出生前に死亡したときは、その死亡の当時における夫の本国法を、 同項の夫の本国法とみなします (通則法28条第2項)。 なお、 夫婦双方の本国法で嫡出子と推定される場合における嫡出性否認の問題は、 夫婦双方の本国法によって子の嫡出性を否認できて初めて嫡出親子関係が否定できるとされています。 詳しくは、 次問でふれま

          【出生14 嫡出性否認の準拠法はどの時点のどの法によるか】

          【出生13 嫡出親子関係の成立につき反致が認められるか】

          後輩 「嫡出親子関係の成立につき反致が認められますか。」 嫡出親子関係の成立は、子の出生当時における夫の本国法と妻の本国法の選択的連結とされていますが、 参考文献によれば、それぞれの本国法上、 反致するならば、その本国法に関しては、 反致するとの見解が示されています。 もっとも、例えば、 夫の本国の国際私法では、 夫の住所地法と妻の住所地法の選択的連結をしていて、 妻のみが日本に住所を有することもあり得ます。 このような場合、通則法41条にいう「その国の法によれば日本法によ

          【出生13 嫡出親子関係の成立につき反致が認められるか】

          【出生12 父又は母が数次にわたって国籍を変更しているとき、 また、 重国籍のとき嫡出親子関係はどのように判断するか】

          後輩 「父又は母が数次にわたって国籍を変更しているとき、 また、重国籍のとき嫡出親子関係はどのように判断するのですか。」 ①母が子を懐胎した後、父又は母が、 子の出生前に国籍を変更した場合、子の出生時を基準に、その時の父又は母の本国法を準拠法とします (通則法第28条第1項)。 ②なお、参考文献によれば、母が未婚であり、ある国の国籍を有する父が胎児認知後に国籍を変更し、その後、 子が出生したので父母が婚姻し、婚姻準正したような場合は、 胎児認知に関する父の本国法は、胎児認

          【出生12 父又は母が数次にわたって国籍を変更しているとき、 また、 重国籍のとき嫡出親子関係はどのように判断するか】

          【出生11 母が再婚後の出生子に嫡出性が重複した場合その子に係る嫡出親子関係はどのように判断するか】

          後輩 「母が再婚後の出生子に嫡出性が重複した場合その子に係る嫡出親子関係はどのように判断するのですか」 母又は前婚の夫のいずれかの本国法により前婚姻の夫の子と推定され、かつ、母又は後婚の夫のいずれかの本国法により後婚の夫の子と推定されるような場合は、 嫡出性が推定されることから父未定の子として取り扱われます (3900号通達第3の1(2) ウ)。 その場合には、父未定の子として出生届をした後、裁判所が父を定めます (民773条)。 なお、 例えば、 母の本国法と後婚の夫の本

          【出生11 母が再婚後の出生子に嫡出性が重複した場合その子に係る嫡出親子関係はどのように判断するか】

          【出生10 夫が子の出生前に死亡又は夫妻が離婚した場合の嫡出親子関係の成立は、どの時点のどの法により判断するか】

          後輩 「夫が子の出生前に死亡又は夫妻が離婚した場合の嫡出親子関係の成立は、どの時点のどの法により判断するのですか」 通則法第28条第2項によれば、 夫が子の出生前に死亡したときは、その死亡当時における夫の本国法を同条第1項にいう夫の本国法とみなす旨定められています。 そのため、死亡当時の夫の本国法又は子の出生当時の妻の本国法により子が嫡出となるときは、 出生子は嫡出子として扱われます。 夫妻が離婚した場合は、 離婚当時の夫妻の本国法によるとの説もあります。 しかしながら、参

          【出生10 夫が子の出生前に死亡又は夫妻が離婚した場合の嫡出親子関係の成立は、どの時点のどの法により判断するか】

          【コーヒーブレイク01 地獄の沙汰も...... 】

          ときどき、 イスラム教徒が多い国の国民である男性からの婚姻届に係る受理照会を受けることがあります。 このとき、その男性に対し、マンガに描いたような質問をすることがあります。 その国の法的には合法であるため、一応、確認する必要があるのです。 ただし、作者の経験では、 複数の妻がいた方は今まで一人もいませんでした。 そこで、作者は、複数の妻を持つ男性というのは、実際、どのくらいの割合でいるのだろうかと疑問に思いました。 今後の事務処理の参考のため、 ある南アジアの国の男性に確認し

          【コーヒーブレイク01 地獄の沙汰も...... 】