あっさりクリームパスタ
あっさりとしたクリームパスタが好みだけれど、駅ビルのお店はどこだって、和風=あっさり、クリーム=こってりと相場が決まっている。
つまらないなあ
駅ビルで完結する人生は勿体ないわ
あなたの人生はどこにあるのかしら
ちょっと早く会社から帰っても何もしないような虚しさ
アクティブさを身に着けるには、ほんの少しコツが必要
でも、コツもきちんとこなさないとすぐに忘れちゃうわ
あなたの意欲がなければ。
日に日に短くなる暖かい時間に、寂しさを覚えながら歩く道のりは、
いつも後ろから誰かに付けられているような気がしちゃう。
嘘みたいにね。
駅から15分も歩けば、そこはだいたい物好きか、町に住むあなたたちだけ。
こういうところに、あっさりクリームパスタがある。
同じような人が集まる店内。
隣の席で、パソコンを走らせている、きっと明日は大きな仕事の大事な日ね。
10分を待たずに出てきたパスタを楽しむのは2口目まで。そこからは、使命感に駆られて、最後の方にはなんでここまで来たんだっけ、なんて思ったりして。
食べきったり、残したりして、キャッシュレスの波にも乗れず、現金払いをしたら、また駅へとまっしぐら。
でも、来た道と同じ道は、いつだって味気ないから、なんとなく前の人についてちがう道を通ってみたりもしたくなる。
本当かな。
ロクシタンのショップバックを持つ人が増えるように感じるこの季節の、むず痒さにたまらなくなる。
どこまでも、逃げられない、この感覚。
いつか、死ぬ日が、くるということ。
明日は、何を食べようかな。さっき感じたばかりの、食後の気持ちなんて、すぐに忘れる
この時間でも、外で揺れている洗濯物を見ると、お母さんに怒られないのか、心配になってしまうね。
さあ、駅に着く。また、戻ってしまうね。
大縄跳びに入り込むように、人ごみの流れに乗る。
おうちまで、電車も寝過ごさずちゃんとたどり着けますように。