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絶対に見つからないところへ…

お前ら授業に出なくていい!!!
もう教室にもいなくていい!!!!

めちゃくちゃ大きな声で怒られた。

身体中が凍りつくとはこういうことか。
喉から食道を通過して肛門まで、スーッとなにかに締め付けられるような感覚を味わう。

私は子どもの頃から、想定外のことが起こったり、自分がどうしていいのかわからないほどパニックになる時に、いつもこの感覚に見舞われていたのだ。

あんまり、というか、まったく良い感情ではない。
出来れば、二度と味わいたくないといつも感じていた感情だ。

放課後の職員室。
他にもたくさん教師たちがいるなかで、私ときょうちゃんは、担任の先生に叱られた。
担任の先生はサッカー部の顧問で、元気がよくて、声の大きな男の人だった。


定期的な席替えがあり、クラスで1番仲が良かったきょうちゃんと、席が前後になった。

女子中学生特有の、好きな人を言い合ったり、ちょっと気に入らない子の悪口を言い合ったりする気の合う友達だった。
きょうちゃんは美人さんで、私の自慢の友達だった。

席が前後になったことで、休み時間以外でもきょうちゃんと話せるタイミングが増えた。
つまらない授業の時には、ノートの切れ端にメッセージを書いて、そっと手渡す。
それを読んだきょうちゃんも、返事を書いて私に渡してくれる。

そんなやり取りがめちゃくちゃ楽しかった。授業中に、そんなことをしているという、罪悪感も感じながら。
でも、ちょっと悪いことをしている自分たちが、カッコよくも思えたのだ。

別に、授業中に伝えないといけないような内容ではない。
好きな人がどうだとか、あの子がこういうことをして腹が立つだとか。

ある日、ついに、担任の先生から呼び出しがあった。
「お前ら二人、ちょっと職員室まで来いな」
怒られるような素振りはまったく感じられなかったが、私もきょうちゃんもすぐに察した。

「やばい、バレたよ」

「どんなこと書いてたっけ?見せろって言われるかな」

「見せれないよね、こんなの。どうする?ゴミ箱漁られてもヤバいよ」

「絶対バレないとこ…、トイレに流そ」

小さく折りたたんだたくさんのノートの切れ端を、和式の水洗トイレに流した。

もちろん、トイレットペーパー以外の紙を流してはいけないことは分かっている。

でも、こうすることが、あの時の私たちの持っていた最大の知恵だったのだ。

手紙のやり取りのたくさんの切れ端たちを、すべてトイレに流し、証拠隠滅してから職員室へ向かった。

「なんで呼び出されたか、わかるか?」

「授業中に、手紙の交換をしました…」

「何を書くことがあったんだ」

「…」

お前ら授業に出なくていい!!!
もう教室にもいなくていい!!!!


それから、何を言われたか覚えてない。

散々怒られてから、解放された。
もう一度トイレへ行ってみた。ちゃんと流れてるか確認しに。

きょうちゃんは先生が怖くて泣いていた。
ごめんね、って思った。



(1172字)


締め切り日ギリギリに、
思い切って参加させていただきます。

ドキドキ…

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