雪の降らない街
最後に雪を見たのはいつだろうか。
この街では雪が降らない。
もうかなり長い期間見ていない気がする。
寒いのが苦手だから、実は雪は少し苦手だけれど、それでも雪が降ると音が全て消えて雪が降る音だけが響く、そんないつもと違う街は心がおどる気がする。
この街では雪が降らない。
代わりに灰が降る。
そんな街にいられるのもきっとあと3か月。
高校を出て初めて一人暮らしをして、たくさんのことを学ばせてくれたこの場所。この先、おそらくもう戻ることはないとは思う。
そう思うと急に寂しくなってくる。
いつの間にか6年住んだこの場所に愛着を持っていて、「早く出たい」と思っていた場所は居心地のいい、大好きな人にあふれた場所になっていた。
この街では雪が降らない。
あと3か月。私はこの街で何をして、何を残せるのだろうか。
2019年、変化の1年を、自分を失わずに地に足を付けて生きていけるように。
白く消える息にそんな想いをのせてみる。