私はアイドルオタクについて何も知らない
オタク趣味を持っている自覚
突然だが私はライトめなオタクである。インターネットにどっぷり浸かり、広汎にネットミームを知り、漫画を読み漁り、たまーにアニメも嗜む。ゲームも子供の頃からずっとやっている。任天堂のゲームをはじめ、大人になってからはインディーゲームも好きだ。YouTubeを開けばVTuberの配信動画をかなり見るし、ゲーム実況もみる。
だから自分はオタク、と名の付くものをバカにしてなんていないと思っていた。学生時代、クラスの陰キャ(こんな表現してごめんね…)に話しかければそこそこオタク話で話が弾んだ。好きなものを早口でまくしたてるクラスの陰キャの話をうんうんときいていた。正直同じ熱量は持ててない気がしていた。当時の私にはキャラ萌えなどしておらず、キャラクターへのアツい思いを語る友人に対してたまに引いていた。(推しがいる今はその気持ちがわかる)
引いていた。引いていたけど、少なくとも同じ穴のムジナだと思っていた。同じオタク趣味を持っていて、人を選ぶ話題をしている自覚もあった。
音楽の趣味遍歴
ところで、唐突な自分語りをするが、私は音楽も大好きだ。小学生の時はトロンボーンを吹き、中高吹奏楽部でサックスを吹き、大学ではコンボジャズにバリトンサックスで参加していた。
音楽が好きでなんのジャンルの曲も今でこそよく聴いている。が、JPopは元々全然聴いていなかった。
高校生の時まで吹奏楽曲や楽器のアンサンブル曲、クラシック曲を聴いていたし、楽器の上達にフォーカスしていたからよく聴いていた曲の曲名もあまり覚えていない。いい音とは何か、いい演奏とは何かを考えるばかりである。
大学浪人時代はめちゃめちゃボカロばかりきいていた。ニコニコ動画で無料でたくさん聴けたのがきっかけだった。当時のニコニコ動画は今ほど広告はウザくなかったし、ハチさんがでてきた時代だったものでめちゃくちゃ熱狂していたし、当時無名なボカロPの曲とかも漁っていたものである。
大学に入ったらめちゃくちゃジャズを聴いた。ジャズを何も知らなかったから新鮮だったし、有名な演奏者の名前を知らないとジャズ研のすでにジャズにいっぱい触れてきた人たち(先輩も同期も)と会話するときに困るからだ。大人になった今では正直、気に入った曲を演奏していた人たち以外はびっくりするぐらい覚えていない。学生のときに演奏理論の勉強もしなかったのはいけなかったなぁ、ジャズアドリブうまくさせるためにはもっといろいろ着目して聴くべきだったなぁ…などと、昔を思い出して横道にそれた反省が芋づる式で色々でてくるが、ここで語るのはやめておく。
JPOPってどうだった?
2010年頃くらいにAKBが全盛期だったと記憶している。正直言うと、あの時心底私はJ-Popに失望していた。はっきり言って嫌いだった。
この世にはめちゃくちゃいい音楽が溢れているのに握手券で儲けてる楽曲がランキング上位総ナメ!?ふざけている。当時私は怒りにあふれていた。
日本のJPOPは死んだ!
…なんて当時は思っていたが、本当にそうだったのだろうか?
自分は「恋するフォーチュンクッキー」が大好き
恋するフォーチュンクッキーというAKBの曲がある。私はあの曲が大好きだ。若い女の子たちが『人生そんな悪くないよ』と悟りきったことを言うのだ。自分の恋といううまく行かない現状にしょんぼりしつつ前向きにハッピーに過ごそうとしてる、なんといじらしいことだろう。あと曲も好き。
私は他の曲でいうと「World's Smallest Violin」とか「地獄でなぜ悪い」とか、そういう人生を清濁併せ呑んである種、諦念を持って、でも憂鬱に浸りすぎずに生きていこうとする曲が大好きなのだ。
無意識にAKB48オタクを馬鹿にしていたという反省
あれ?なんで私は当時「JPOPは死んだ!」なんて思っていたんだろう。AKB48の曲でも好きな曲、いい曲は普通にいっぱいあるではないか。
そうして私は、私が当時軽蔑していたのは「AKB48オタク」だったことにふと気づいたのである。
私は十年ほど前の自分自身の驕りに突然気づきビックリした。AKB48の曲普通にめっちゃいい曲やん!他にもアイドルの曲ってめっちゃいい曲多いやん、当たり前だけど!なんでなんとなく嫌いだったんだろう!?
当時ランキング上位に君臨していた握手券に付属していたCD、だとしても、その円盤の中に記録されているのはめちゃくちゃいい曲なのだ。若い女の子たちが歌がうまい人もそんなにお上手じゃない人もいろいろいる中で懸命にうたった素敵な曲が入っていたのだ。
私は握手券のために金を積むオタクが嫌いだったのだ。そういう稼ぎ方をしてたくさんの廃棄されるCDに対して何も対策をとらないアイドル運営も嫌いだったんだなと思った。
しかしそこに目がいきすぎて、そういうアイドルオタクの人がそこまで熱狂する理由がなんなのか見ようとしていなかったではないか?なんてもったいないことをしていたんだろう自分は。
…と、反省をするとわいてくる感情。いや、会えるアイドルなんてただのガチ恋製造でしかないだろ。金積んで仲良くなれる幻想を抱かせて、やばいやつは本当にアイドルとつながろうとする。自分の身を削ってお金を落としまくるのは相対的に純粋な気持ちで応援している奴よりガチ恋ばっかり。
そしてガチ恋とは結局性欲なのだ。性欲でランキング上位に押し上げられた音楽がいいはずがないじゃん!
性欲は、人間の欲は、別に汚くなくね?
―そう思い込んで結局汚いものを見る目でアイドルオタクを見てきたのではないか?
当時の私はアイドルオタクには性欲で熱狂しているなんて勝手に思い込んで、確かに存在しているはずの純粋に推しを応援しているタイプのファンに目を向けていなかった。一部のヤバげに感じる人に目を向けて健全なファンに目を向けない不公平なことをしていた。
そしてそもそも性欲は汚くなんてない。三大欲求として食欲・性欲・睡眠欲として挙げられるぐらいには一般的な欲である。そして人間の欲はそこにあるもので、汚いもキレイもないはずだ。死ぬまでうまく付き合っていくしかない。
うまく付き合っていけなかった人間が自分の身を滅ぼしている例は枚挙に暇がない。過度に抑圧するでもなく、理性を働かせずに追及するのでもなく、適切な範囲で自分の欲は満たしていくことが必要だろう、と自分は思っている。
人気なものは技術的に高度じゃなくていい
上記理由で人気な理由が仮に性欲だったとしても問題ないということにしよう。しかし、ぶっちゃけアイドルって歌やダンスの上手さがピンキリで、素人でもできるようなクオリティのものがトップなのはどうなの?と思う時もあろう。様々なパフォーマンスの技術を磨いている人に失礼なんじゃない?
結論から言おう。下手でいいのだ。プロ野球より甲子園の野球の試合で泣く人間はごまんといる。
へたくそな人は演奏をしちゃいけないのか?そんなわけない。いいものはこの世にたくさんあればいいし、つたないパフォーマンスでも人は感動する。
これはもちろん技術的に優れたパフォーマンスを否定するものではない。うまくて洗練された演奏や歌は耳障りが少なくストレスなくきける。すごい、とそれだけで感動させることもできるのは言うまでもないだろう。
あの時死んでいたのは私の感受性かもしれない
JPOPはあのとき死んでいたのではない。自分の感受性を恥じるべきなのだった。そして、今のJPOPはより一層輝いているように感じる。なんやねん、米津玄師さんもOfficial髭ダンディズムさんも東京事変さんもヨルシカさんも…
(以下様々なアーティスト名が並ぶがすべてを並べられないので省略。あなたの好きなアーティストも絶対素敵なので脳内保管しておいて。)
…最高すぎだろ!やば過ぎ。
この社会は音楽が大好きな奴らばかりじゃないが、そういうやつらが好きなものを安易に否定するべきではないのだ。
私は清濁を併せ呑んだものが好きと語りながら、いろんなものを毛嫌いしてなかったか?清濁併せのめてなくね!?反省。
単に歳食って細かいことを気にしなくなっただけなのかもしれないけど、いろんなものにイイね!っていっていけるようになってきた今のほうが自分の場合は感受性が高まっている気もしてハッピーと思いました。
異論は認める!いっぱい文章書いて疲れた!
この文章はここでおしまい!読んでくれてありがとう。
お互い人生の中でいろんなものを見てハッピーに過ごそうね。