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何にもわかっちゃいなかった

偉そうにわかったつもりで何もわかっていなかった。

BBT大学に通って3年目。日々「リーダーシップ」や「企業戦略」みたいなのを勉強しており、 家族付き合い、友達付き合いなんかを顧みずに日々勉強に時間を費やしている。

日曜日の夜も、クラスメートと、「危機の時こそ冷静にならなくては」「良い結果の時こそ振り返りが大事」「言いずらい事も言わないと」「他人事になってしまうと気付けない」なんて話をしていた

そんな私だが、月曜の朝、愛犬はちみつを逃してしまったのだ。

首輪も、リードもつけていないまま、彼女は近所を楽しそうに走り回った挙句、遠くに走り去ってしまった。

程なくして保護されているという電話が来たので、約1時間程度で再会を果たせたのだが、車通りの多い道を渡って行ったので、元気な彼女と会えたのは奇跡だった。

保護して下さった方に「生きて会えてよかったですね」と言ってもらえた時に、本当に、危険な目に遭わせてしまったはちみつに申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

何にもわかっちゃいなかった。今まで首輪をつけなくても逃げなかったのはただの幸運だった事に気づいていなかった。義母に大事な一言を言えなくて致命的なミスを犯した。

今まで夫が面倒を見てくれていた分、どこか他人事になっていた。飼い主としての意識の欠如。自覚が足りなかった。


以下、今回の顛末を書き残す。ツッコミどころ満載で、イライラされてしまうかもしれないが、これが犬を甘やかすばかりで責任感が足りていない飼い主の体たらくだ。きっかけては、たかだか、一握りの食べ残しのドッグフードを食べさせるがためにこんな事になってしまった。


1.朝ご飯を少し残したので、少し遊べば食べてくれるかもと思って、サークルの外に出した。首輪はしていなかった。

はちみつは首輪に下顎を引っ掛けて、取れなくなった事が数回あり、それを避けるために、散歩に行く時以外は首輪を外していた。

単身赴任中の夫にサークルの外で遊ばせる時は首輪をするようにと言われていたのに、家の中だからと思って守っていなかった。

2.その時に出かけたはずの義母が忘れ物を取りに帰宅。彼女はすぐにもう一度出かけるから門も、ドアも、はちみつと玄関の間にある引き戸も開きっぱなしだった。

私は門が空いてやしないか。などのリスクに気を配らず、ただ義母に飛びつくはちみつと飛びつかれて喜ぶ義母を見ていた。

3.義母と戯れながら、門が開いていることに気づいたはちみつは外へ。

4.私は慌てて目の前にあったお気に入りのアヒルちゃんと、お気に入りのおやつではちみつを誘い込んだところ成功した。はちみつは一旦門の中に入った。

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5.もう安心だと思った義母が「じゃあ出かけるね」と言いながら、門を開けた瞬間に、はちみつは再び外へ走り出した。

私はこの瞬間に「はちみつを家に入れ終わるまで、門を開けて外に出ないで!!」と言うことを思い浮かんだのだが、飼い主としての自覚が足りず言えなかった。この場が安全かどうかの判断をするのは私なのに義母の判断に委ねてしまった。一度リカバリしたのに、私は致命的なミスを犯してしまったのだ。

6.一度、門の外で自由に走り回る事に免疫ができたはちみつは、さっきより広い範囲を走り出した。外を自由に駆け回る楽しさで頭がいっぱいになってしまって、さっきは彼女を惹きつけられたアヒルちゃんも、お気に入りのおやつも無力だった。

夫に、「もし逃げても追いかけるだけ遊んでもらっていると思うから追いかけるな」とアドバイスされたことを思いだすが、どうしても気になってはちみつに近づいてしまった。

7.だんだん走る距離が伸びて、私から遠ざかってしまうはちみつ。しかし、ふと気づくと私の手元に首輪もリードも無く、捕まえようもないので、一度家に取りに戻った。

8.家の外に出ると、さっきまでいた駐車場にはちみつの姿はいない。車に乗ったおばさんが、リードを持って呆然と立つ私に「柴犬を見かけた。大きな道路に出て右に出た」と教えてくれたのでとりあえず教えてもらった方向へ走って向かう。

9.見通しの良い道路を走っても走っても見当たらない。相手も動いているはずの中、360度、半径何キロどこまでどう探して良いかわからないので一旦帰宅した。

10.義母に警察に電話するように言われたので、地元警察に遺失届を出す。(最初110番をしてしまったが、地元警察に誘導してもらった)

11.程なく、似た犬が保護されたと電話が入る。しかし「似たような犬であって約束はできない」と、念を押される。場所は、行きつけの動物病院だった。動物病院が好きで、散歩の通り道になれば、そばまで寄って中を覗き込んでいた事をすっかり忘れていた。

12.急いで動物病院に行ったが「警察が来るまで会わせられない」と言われて病院の前のベンチに座って待つ。

13.警察官がすぐに来られて、はちみつと確認ができた。

14.無事引き取ることができたが、捕まえてくれた看護師さんの事情聴取が終わるまで待つ。

私がなかなか捕まえられなかったように、苦労をかけたのではと想像していたが、病院の自動ドアの右側ではちみつがうろうろしていた姿を見た看護師さんが自動ドアを開けると病院に入ってきたので、すかさず自動ドアをロックしてあっさり保護されたらしい。

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15.警察官が書類を書かれている間に少し時間があったので、看護師さんとお礼を言いながら話をした。看護師さん曰く柴犬は捕まろうとしないので、人懐っこい性格かどうかが保護できるかどうかの分かれ道になるらしい。はちみつは人懐っこいから助かったのだ。

はちみつは、私と再会した時に私より飼い主との再会を見に来た看護師さん達や立ち会って下さった警察官に向かって尻尾を振って愛想を振りまいていたので、出た涙もすぐに引っ込むぐらい寂しくなったが、この人懐っこい性格のおかげで助かったのだから、これで良いと心の底から思った。

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