火のない所に煙は立たぬ
「火のない所に煙は立たないよ」
みなさんは、この言葉を使ったことがありますか?
私は使ったこともないし、思ったこともありません。
でも、何回も言われた経験はあります。
みなさんは、この言葉を言われたことありますか?
その時、どんな気持ちになりましたか?
「そうだなぁ」
「確かに」
と納得できましたか?
もちろん、状況によりけりです。
他人同士の問題を外部で他の人と話している時に
「あの問題って火のない所に煙は立たないってかんじだよね」
と、第三者としてお話をしている時には納得できることも多いかもしれません。
(私は納得できないことが多いですが)
では、あなたが当事者で身近な人に直接言われたらどのように感じるでしょうか?
例えば、誰かと少し言い合いになってしまったり、何らかの問題が生じた時、あなたは身近な人にありのままを伝えて相談したとします。
そうすると、相手から「火のない所に煙は立たないよ」と言われたとします。
「そっかぁ」「ありがとう!」と温かい気持ちになるでしょうか?
私は悲しくなります。
「私にも非があるってことだよね。。。私が悪いんだよね。。。」と。
「火のない所に煙は立たぬ」
意味:事実がなければ噂も立たないはずで、噂が立つのは、その原因となる事実があるはずであることをいう。
とのことです。
私の経験談をお話しします。
私は、会社で、とある特定の場所を2人で任されていました。
普段は、私も相手も遅刻はしないのですが、たまたま相手のほうが遅刻してきたのです。
私は、1人で業務の準備をしながら特に何も思わずいつも通りに取り組んでいました。
しばらくすると、相手は、はぁはぁと息を切らしながら
「ごめんなさい、寝坊しちゃって💦」と出勤してきて、真顔で私に話しかけてきました。
私「全然いいよ〜😊たまには寝坊もするよ!人間だもん♪大丈夫?飲み物飲まなくていい?」
相手「うん、大丈夫。それより準備してくれたの!?」
私「うんうん、準備は全部やってるし、のんびりいつも通りやっていこ😊」
相手「ありがとう😭」
平和な会話でした。
ところが次の日。。。
「私が寝坊したのがいけないんですが、あゆなさんがボーッと1人で立ってて何もしなかったんです💢私は慌てて走り回って急いで準備をしたのにのんびりしているまんまでひどかったです💢もうほんとに信じられませんでした!あんな人と一緒に仕事したくありません!おかしいですよ!?」
と、上の人間に報告し、そして周囲の人たちにも言いふらしていたのです。
さすがの私もびっくりしまして。。。言葉を失ってしまいました。
「え?私?ん?なんか私の頭おかしい?私の記憶がおかしい?いや、私はそんなこと絶対しない。今までもしたことないし、むしろ私はたまにはみんなで遅刻すればいいじゃん!なんて呑気に考えるタイプなんだけど」と何度も何度も思い返しました。
一応、上の人にも周囲の人にも感情的にならず、ありのままの事実を私から説明しました。
でも、誰も信じてくれる人はいませんでした。
いえ、信じてくれた人はいたのかもしれないですが、「信じてくれた、良かった」と私が感じられるぐらいの反応をしてくれる人はいなかったのです。
むしろ「まぁまぁ、言いたい人には言わせておけばいいよ」「そうなんだ💦」「じゃあなんであの人はあんなこと言ってるんだろうね」と返ってくるだけでした。
職場内でも身近な人に事実を説明しましたが「火のない所に煙は立たないのよ」と言われてしまいました。
私はあまり言いたくない言葉ですが「私を信じて欲しい」とハッキリ言う時もありました。
それが私の気持ちだからです。
でも「うんうん、火のない所に煙は立たないからねぇ」でした。
どこに事実があるのでしょうか?
相手が遅刻したことは事実です。
でも、他に事実があるでしょうか?
業務の準備も私がすべてしました。
お互いにニッコリ笑顔で話しは終わったはずです。
私はこれ以上、色々な人に説明しても「言った言わないの水掛け論」になると思い、そのまま悪者として白い目で見られるようになりました。
もともと、相手は評判が悪く、問題児として扱われていたのですが、私もその仲間入りになったわけです。
「火のない所に煙は立たない」
この言葉は、時に人を傷つけます。
この言葉はある意味「お互いに原因がある」と言っているようなものだと私は思うからです。
例えば、「いじめ」に関しても「火のない所に煙は立たない」と言う人がいらっしゃいます。
私は過去、何年にもわたっていじめを受けていました。
「ブス」「クロンぼ」「巨人」
上級生からも同級生からもいじめを受けていました。
何も関わりがないのに、私は、ただただ教室にいるだけなのにどこに原因があるのでしょうか?
顔が原因?色黒が原因?背が高いことが原因?
だからいじめられる。。。
いや、このように生まれてきてしまったのだから対処のしようがないです。
それを「火のない所に」と言われてしまっては何も言えないし、深い悲しみのどん底に落ちます。
むしろ「あなたの存在そのものが原因だ」と言われているようなものです。
話しを聞きたくないという気持ちがきっと「火のない所に」という言葉に繋がっているのだと私は思います。
これを言えば、だいたいは言葉を失って何も言わなくなりますから。
でも、そんな簡単な言葉で片付けないで欲しい。
相手を見て、相手の話しを聞いて欲しい。
そして「火のない所に煙は立たない」という言葉の使う場所を選んで欲しい。
便利な言葉はあっても、時として人を傷つける。
そして、「お互いに原因がある」ことも「ある」けれど、「どちらかに原因があることもある」「どちらかは何もしていない、原因がないこともある」ということを知って欲しいと私は思います。
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