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反常識の採用面接~面接に持ち込んだ3つのコンサル手法~

はじめまして。ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズの渡邊歩(あゆむ)です。日頃から採用活動でお世話になっているキャスターさんに今回、採用アドベントカレンダーにお誘いただきました。とても光栄なことです。

会社と私の自己紹介

ケンブリッジは東京都港区赤坂に本社を置くコンサルティング会社です。元々はグローバルカンパニーの日本法人としてスタートしましたが、アメリカの本社は買収され、日本法人だけがガラパゴス的に生き残るというちょっと不思議な歴史を辿って今に至ります。最近では「働きがいのある会社ランキング」で5年連続ベストカンパニー、OpenWorkで総合評価ランキング3位(2020年12月7日時点)など、ありがたい評価をいただいています。

私(渡邊)は2012年にケンブリッジに入社しました。コンサルタント6年→人事3年です。今は採用、人事企画・運用、労務管理、トレーニング講師などいろいろやってます。電車の運転免許を持っていることが密かな自慢です。

反常識の採用面接

さて、ケンブリッジの採用面接を受けた応募者の方から、面接の最後にこんな感想をいただくことがよくあります。

「こんな面接は今までに受けたことがない」
「今まで受けたの面接の中で最も自分の考えを言語化できた場だった」
「面接というより同僚とディスカッションしている感覚」

時には、残念ながらケンブリッジの面接を不合格になった応募者の方から、後日「XX社から内定をもらいました。ケンブリッジの面接でのフィードバックのおかげです」という報告をいただくこともありました。

私たちケンブリッジは、コンサルタントが普段のプロジェクトワークで活用している手法を採用面接の場に積極的に取りこんでいます。上記のような感想もその効果かなと思っています。今回は私たちの面接スタイルを「反常識の採用面接」と称して、
1)発言を可視化する
2)自分の意見をあえて表明する
3)その場でフィードバックする
の3つをご紹介します。

1)発言を可視化する

採用面接の常識:面接のメモはお互いの手元でとる
ケンブリッジの常識:すべての発言を可視化し、一緒に同じものを眺める

一般的な採用面接は、面接官が手元にメモを用意し自分だけ見えるように書きこみます。
ケンブリッジの面接はこんな感じです。面接が終わると、ホワイトボードがびっしり。

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(一部、画像を加工しています。この面接をパスした人は、今ケンブリッジのコンサルタントとして活躍中です。)


オンライン面接に移行してからもこんな感じでやってます。

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「うわ、大変そう・・」って思いますか?確かにラクじゃないですね・・。でも、その大変さを上回るメリットが応募者・面接する側の双方にあるんです。

まず、ふんわりした発言がなくなり、双方の認識のズレが圧倒的になくなります。普通に面接していると「なんか仰ることが分かるような分からないような・・一生懸命話してくださるんだけど・・」っていう時ありますよね。
でも、ホワイトボードに書きながら進めていると、抽象度の高い発言は書き取りづらいので自ずと手が止まります。で、「すみません、今のってなんて書いたらいいですか?」と問いかけて、相手の言語化を促せるんです。

また、頻出ワードが可視化されて、その人が大事にしている価値観も見えやすくなります。面接の序盤に出てきたキーワードが後半のエピソードの中で再び出てきた際に「あ、この価値観とエピソードがこうやってつながっているんですね」とホワイトボード上で線でつなぐと、応募者の方の気づきにもつながります。本人の志向性もより理解でき、面接の見極め精度も高まります。

発言を可視化するためのポイントは「整理せず、ありのままを書く」「相手にも見えるように大きく書く」の2つです。これも詳しく書こうとするといろいろあるのですが・・また別の機会に書くことにします。

(後日追記:オンラインでの発言可視化について、記事を追加しました)

2)自分の意見もあえて表明する

採用面接の常識:質問するのは面接官、応募者は答えるだけ
ケンブリッジの面接:面接する側も自分の意見を表明する

一般的には採用面接では、面接官(この言葉も本当は嫌いです)が質問を投げかけ、応募者の方が一生懸命それに答える。面接官は次の質問をする・・の繰り返し。
ですがケンブリッジの面接では、一方的に質問攻めにするのではなく、私たちの意見もあえて表明しています。

応募者の方が答えてくださった内容に対して、共感する時は「仰る内容に共感します」、少し異なる考えがある時は「私たちはこういう考え方をすることがあります」と積極的にこちらの意見を表明します。
単に自分たちの意見を押し付けるわけではなく、なぜ共感するのか、なぜ異なる意見を持っているのかを社内の事例、方法論を引合いに出しながら具体的に説明します。

こうして面接の雰囲気が単なる質問・回答の一方通行スタイルから、双方向の対話に変わる。これが狙いです。

そもそも、「質問する→答える」だけの関係性ってフェアじゃないな、相手のありのままの姿を引き出すには適していないな、と以前から課題に感じてました。
こちらからも意見表明することで応募者の方から「その意見に乗っかると、こういう経験もあります」と仰るなど、さらに議論に広がりが出ることもあります。

最近入社したメンバーは「面接で感じた雰囲気が、入社後の実際のプロジェクトの雰囲気とまったく同じだった」と言っていて、これは本当に嬉しかったです!

3)その場でフィードバックする

採用面接の常識:面接所感は後日メールで伝える
ケンブリッジの面接:その場で本人にフィードバックする

「面接の雰囲気はとても好感触だったのに、後日エージェントから不合格の通知が来た」という話、よく聞きますよね。私自身、過去に転職活動をした際に同じ経験をしてモニョモニョした気持ちになりました。

ケンブリッジの面接では、面接を終える前に応募者の方に直接フィードバックしています。「○○という点が魅力的に映った」「一方で△△という点は不足しているように感じた」という具合です(ただし、面接の合否結果はその場でお伝えできないこともあります)。仮に面接結果が合格だったとしても「入社いただいた場合は、××という場面で苦労される可能性はあるかもしれない」と懸念点をお伝えしています。

極力、応募者の方と面接する側の情報の非対称性をなくしたい、せっかく面接に時間を使っていただいているのだから少しでも有意義な時間にしてほしい。この気持ちを追求した結果、今のかたちになりました。

フィードバックする時のポイントは「根拠を添えて伝える」「伸ばす/改善するためにどうすべきかも伝える」の2つ。

▼根拠を添えて伝える
例えば「カルチャーフィットしている」というフィードバックをする場合、「XXという質問に対するお答えが私たちのカルチャーと合っていると感じました」と可視化したホワイトボードを指しながら話す。特にネガティブフィードバックにおいてはこれが大事です。所感はあくまで面接を担当する人の主観に過ぎないので、根拠をセットで示さないと納得感が得られません。

▼伸ばす/改善するためにどうすべきかも伝える
単なる指摘に留まらず、相手の成長を願い、どうすれば長所を伸ばしたり短所を改善できるかをセットでお伝えしています。明日からすぐ実行できる具体的なアクションだと尚良しです。

まとめ:コンサル現場の手法を面接に持ち込み、応募者をファシリテートする

ここまでお伝えしてきた「発言を可視化する」「自分の意見もあえて表明する」「その場でフィードバックする」というのはケンブリッジのコンサルティングワークでは当たり前に行われていることです。
ケンブリッジのHRメンバーは私も含め、全員がコンサルティング経験者。「面接は普段と違う特別な場である」という思い込みを捨て、いつも通りのスタイルを採用面接に持ち込み、応募者の方をファシリテートしています。

この「反常識の採用面接」によるメリットとして、
①応募者の方の自己開示を促すことで、面接での見極めの精度が上がる。
②他社と違う雰囲気の面接で、応募者をアトラクトできる。
③入社後の働くイメージを面接で体感してもらい、入社前後のギャップを減らす。
が挙げられます。一度このスタイルになってからは、ちょっと普通の面接には戻れないですね・・。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
明日、12月8日の藤尾さんにバトンタッチします!

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