「議論を可視化する技術」の社内トレーニング・全11回をやり遂げた記録
こんにちは、渡辺です。
ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズというコンサルティング会社で人事の仕事をしています。
以前、「『議論を可視化する技術』に関する社内トレーニングを開催している」という記事を書きました。
その後、3月10日から8月4日まで全11回のトレーニングをすべてやり遂げたので、その記録を書きます。
開催概要
隔週金曜日17時00分~19時00分
対面とオンラインのハイブリッド方式
なんらかのアウトプットを提出する宿題が毎日あり
途中、あれこれと試行錯誤しながらも、結果的に以下のコンテンツで進めました。
また、ペンタブレットを会社経費で購入し、トレーニング参加者全員に対して貸与しています。
22名中9名が完走
このトレーニング開催を社内に告知し、手を挙げた参加者は22名。
そのうち最終回まで走り遂げられたのは、9名でした。
9名/22名という数字をどう捉えるかは人それぞれですが、私は「ちょうどいい継続率・辞退率だった」と感じています。
このトレーニングに集う人達の熱量の純度を保ちたかったので、モチベーション維持が難しそうな人に対しては積極的に辞退を促してきました。
最後まで走り遂げた面々は、やはり熱量に溢れる人たち。
プロジェクトを超えた横のつながりの醸成にも寄与できたと感じています。
コンテンツのつまみ食い紹介
ここからは、このトレーニングのコンテンツをつまみ食いで紹介します。
自画自賛ですけど、いいコンテンツ群になったと自負しています。
(以下、「議論の可視化」のことを社内用語の「スクライブ」とします)
スクライブの「Cモデル」
一口に「議論の可視化」と言っても、その手法は様々、かつ上達のステップがあります。
横軸に「アナログ/デジタル」、縦軸に「整理・図示/ありのまま」を置き、以下の順序での習得を提唱しました。
1)右下の領域。キーボードとノートアプリを使い、抜け漏れなく構造化された議事録を取る。
2)左下の領域。紙とペンを使い、発言をありのままに書きとる。
3)左上の領域。紙とペンを使い、発言を図示したり、整理する。
4)右上の領域。ペンタブレットを使い、発言を図示したり、整理する。
この順序を線で描くと「C」の文字になることから、「スクライブのCモデル」と命名し、これに沿ってトレーニングを進めました。
議事録を改めて練習しなおす
ケンブリッジの公式YouTubeチャンネルの音声を聞き、ノートアプリで議事録として書き起こします。
だらだらと書き起こすのではなく、内容を構造化し、パッと見たときに何がポイントなのか判断しやすい議事録に仕立て上げます。
アナログのスクライブを改めて練習しなおす
赤坂オフィスに対面で集まり、ペンや紙の使い方、立ち方、会議内での使い方をレクチャーし、実践しました。
地方に住んでいるメンバーも、A2~A3サイズの大きな紙とペンを購入し、アナログで書く場数をたくさん踏みました。
ペンタブレットの紹介
中盤からは、デジタルを用いたオンライン・スクライブに突入。
その武器となるのが、会社経費で購入したペンタブレットです。
指定機種として、XP-PENのDECOシリーズを紹介しました。いわゆる板タブというやつです。
指定機種の選定に至るまでに、私費を投じていろいろ試したのですが、操作性・安全性(主に紛失時のリスク)を重視して、この機種にしました。
内部メモリを持たない機種であれば、外付けキーボードやマウスと同じ扱いですからね。
オンラインスクライブのツール紹介
ペンタブを使って、どこに描くのか。これも大事な論点です。
オンライン・スクライブを活用するためのデジタルツールをあれこれ紹介しました。
紹介したのは、
Zoomの注釈機能
Zoomのホワイトボード機能
Box Canvas(Boxのホワイトボード機能)
Microsoft WhiteBoard(MS Teams含む)
Microsoft Officeの描画機能
の5つです。
それぞれのツールの特性を踏まえ、どのような場面でどのツールを使うのが適切かを学ぶ。
また、実際にそのツールをひと通り触り、慣れ親しむことを目指しました。
図示・整理の型を学ぶ
スクライブによる図示や整理には、型があります。
「この内容にはこの型が効く」というお作法を押さえておけば、初動が早くなり、議論への貢献度も高くなる。
例えば、「流れを整理する」というパートでは、スクライブで時間軸をどのように可視化するかを解説しています。
レクチャーのあとは、音声を聞き、スクライブで時間軸を可視化する演習を何度も繰り返します。
結局、この手のトレーニングは場数を踏むことでしか鍛えられません。
「流れを整理する」の他にも、選択肢・状態・構造を整理するための型を紹介しました。
スクライブを活用するためのマインドセット
仮に描くためのテクニックを身につけても、会議中に黙々と描いているだけでは価値がありません。
このトレーニングでは、スクライブを活用するためのマインドセットや、周囲を巻き込むための工夫についても熱くレクチャーし、議論しました。
最も効果があったのは「毎日の宿題」
こうして、たくさんの知識や演習をスライドに落とし込みました。
しかし、最後まで完遂した参加者の振返りコメントを見ると、スクライブ上達に最も効果があったのは、毎日の宿題だったそうです。
3月から8月までの毎日、なんらかのアウトプットをSlackに投稿する宿題を課していました。
これが各自の手を動かす機会の創出につながり、場数を通じてスクライブ上達に貢献できた、とのこと。
この点については、本当に同意です。
知識習得や演習も大事ですけど、結局のところうまくなるには、ひたすら描きまくるしかないんですよね。
最後まで走り遂げた9名に共通しているのは、(途中、提出のテンポが落ちたことはあったにせよ)宿題を淡々とやり続けたという点です。
トレーニングを作り終えて、今の気持ち
8月4日に最終回を終えてから、解放感に酔いしれています。
2週間に1度のペースで、PPT20~50ページのトレーニングを作り続けるのは、プレッシャーではありました。
でも、コンテンツを作っている最中は、本当に楽しい。
私自身、コンテンツをつくりながら「へーこんな機能が!」「こういう使いみちもあるのか」と勉強させてもらいました。
また、トレーニング参加者のスクライブがどんどん上達し、現場での価値発揮に繋がっているという話を耳にすると、なんだか涙目になっちゃいますね、ほんと。
おわりに
自画自賛ですが、とてもトレーニングを作り上げられました。
他の幹事メンバー、参加者の皆さんに感謝です。
いつか、社外にも有料コンテンツとして売り出したいなぁ、なんてボンヤリと考えています。