とりあいっこ
1歳児
二人の女の子が絵本をとりあって思い切り引っ張り合いをしている。
その横で、そっと見守る。
んー
んー-
お互いに手を放さず、みーちゃんは全身の体重をかけて本を引っ張る。
破けそうなくらい…
しばらく均衡状態が続いた。
しかし、るーちゃんの勝利。
しっかりと絵本を抱きしめて話さない。
とられてしまったみーちゃんは、ふっと立ち上がって別の方向に歩いていく、少し視線を動かして、積み木を見つけてすとん、と座る。
みーちゃんが積み木をやり始めた姿をみると、
絵本を手に持ったるーちゃんが動き出す。
みーちゃんのそばに行く。
もうみないの?ほんとにいいの?
とでも言いたそうな、
困ったような固まったような表情で絵本は話さないけれど
少しみーちゃんに見えるようにしながら顔を覗き込んでいる。
みーちゃんは、自分の中で切り替えてしまったのか、絵本もルーちゃんのことも見ようとしない。
少し、困ったような表情で帰ってきたるーちゃんは絵本をもって保育士の膝の上にすとん、と座った。
ものすごく激しい取り合いの喧嘩
そして、嵐が去ったような戦いの後の静けさ…
なんとなく、すっきりしない、もやもやした表情、心。
それを感じることが全部子どもたちの心の糧となるのではないかと感じた。
大人が止めてしまったら、大人が一緒に見るという解決策を提案してしまったら、この気持ちの先にある優しい未来は見えないと思う。
何が正解かは、わからない。大人も一緒にこのもやもやを心に残す。