星野源さん③「MIU404とSNSの怖さ」
いつもNetflixで楽しみに観ている海外ドラマがあるのですが、追悼メッセージが最後に流れる回があったんですね。
気になってしまったわたしは、その名前を検索して調べてみたところ、ドラマ制作のスタッフさんで、ご病気で亡くなられたそうなのです。
こんなに夢中になれるドラマを作ってくれてありがとう。どうか安らかに。
そんな思いのまま、そのサイトを何気なく見ていたら、最終回の壮大なネタバレがサラッと書いてありました。
あらすじどころの話ではなく、完全なるネタバレです。
なかったことにしたい。でも時は戻らない・・・。
「ここからはネタバレです↓」みたいな思いやりが普通だと思っていました。甘かった。
むしろわたしは、普通って何?っていつも悩んでいる方なのに、自分の普通を人に押し付けてしまっただけでなく、最近のわたしの少ない楽しみの一つを、自らの手で闇に葬り去ってしまいました。
「ちょっとトイレ行ってくるね」と同じ軽さで、シーズン7まで続いていたドラマの最後の最後のネタバレをする人もいますもんね。いろんな人がいるんだからさ。
自分の常識は他の人には非常識。
そっか・・・あと2シーズンくらい残ってたんだけどな。そっかそっか・・・。
ということで、わたしと同じ目に合う人がいないように、あらかじめ書いておきますね。
終わってからちょっと日が経っていますが、ここから先はドラマ「MIU404」のネタバレを含んだ話です。ちなみにディレクターズカット版も観ました。
「MIU404」、わたしはとてもおもしろかったです。
大好きな源さんが出ているということで、源さん目当てに見始めたドラマでしたが、ストーリーにもどんどん引き込まれていって、何回も何回も繰り返し見ていました。
このドラマは見返せば見返すほど、おもしろくなっていきます。
ミーハーな感想を言えば、怒る源さん、怒鳴る源さん、自転車に乗る源さん、車を運転する源さんが新鮮でした。ごちそうさまです。
クズミっていったいなんなのでしょうか。
どこから来たのか、名前すら分からず、正体不明のままでした。
「高みの見物をしているだけ」「目的なんてない」というセリフがありましたが、ただ世界を壊したかっただけなのか。
伊吹や志摩は曲がり方はそれぞれ違うけど、目指すところは同じ正義なんですよね。人を助けるために走るし危ない目にも合うし、悩む。
対してクズミは、目指すところも信念もなく、悩んだりもしない。やりたいこともない。欲望すらない。なにもないんですよね。まさに「空っぽ」です。ただ壊してるだけ。
クズミのバックボーンが全く分からないまま終わって、最後の会話が、
「なにがいい?」
「不幸な生い立ち、歪んだ幼少期の思い出、イジメられた過去」
「ん?どれがいい?」
「俺はお前たちの物語にはならない」。
衝撃を受けたシーンでした。
クズミは「空っぽ」なのではないか、と思ったのもこのセリフです。
クズミが逮捕された時、志摩に「ここで俺たちと苦しめ」と言われたときのクズミの表情から察すると、その瞬間にクズミの空っぽが「埋まった」、そして人間に戻ったのでは、そう思いました。
社会問題を取り上げている回がけっこうあったのも興味深かったです。
煽り運転、上司からのパワハラ、少年犯罪、暴力団に沈められた女、外国人労働問題、レンタルボックスの住人、ネットやSNSの怖さ、情報源を確かめないまま「善意」を理由に嘘の情報をどんどん拡散させていく人間の怖さ。
外国人労働問題なんて、見ていられないほどキツかった回でした。
あとSNSの怖さも。アレは恐怖でしたね。
ドラマの中ではハムちゃんでしたが、これが現実で例えばDV夫から逃げている女の人だったら?なにも分からない人たちが「善意」で拡散することによって、居場所がバレてしまうパターンだって容易に想像できます。
技術やツールは素晴らしい、でもそれを扱う人間が怖い。想像力に欠けた人間が怖い。
「良かれと思って」って時によってはものすごく怖いんですよね。
わたしはインスタをやっていないので、詳しいことは分からないのですが、以前、みんなで飲み会をした時に、動画か写真かをストーリーに上げていたらしく、もちろんそこにわたしも映っていました。
あれって確か時間が過ぎると消える機能なんですよね?
だけど、一度あげたら最後、消えることはないという危機感でいっぱいで、できればやめて欲しかった。
でも本人はその飲み会がとても楽しかったから、ストーリーにあげたかった、ということなのです。
だからやめて欲しいってわたしは言えませんでした。うん!楽しかったね!って言うことで精一杯。わたしも楽しかったしね。
その子を責めていることでもなんでもなく、ネットの怖さへの危機感がみんな低いんだな、と思いました。
あといきなり話変わりますが、菅田将暉さんってすごい役者さんだなーと思いました。
逮捕された時なんてもう別人で、ちょっと鳥肌立ったくらいです。
綾野剛さんは走るシーンが多かったのですが、もと陸上部としてはフォームが素晴らしいと思いました。陸上経験者っぽい。犬っぽい。
そして何よりも、暴走する伊吹を牽制する志摩がいつもカッコ良かったです。
わたしも源さんに「待て待て待て!」って言われたい。
躁状態で突っ走ってるときに言われたい。
・・・言われたい!
ちなみに、脚本が野木亜紀子さん(MIU404はオリジナル作品)、プロデューサーが新井順子さん、演出が塚原あゆ子さんで、ドラマ『アンナチュラル』と同じです。
今まで出ている俳優さんとかストーリーで観るか観ないか決めてましたが、脚本家や製作側で作品を選ぶのもいいなって思いました。
ちょっと「通」な感じしません?
「あれはね、脚本家が・・・」
とか、カッコつけたい。