57.京都での生活①「エロ漫画家と盗撮編」
調子が良くない。あまり良くないです。困り果ててます。
とりあえず、コンビニへ行く気力はまだあったので、散歩ついでに外に出てみることにしました。
トボトボと歩いていると、ほっぺたの横を通っていく風の匂い、車のエンジンの音、明るくなってすぐの空の色を感じているうちに、昔京都に住んでいた頃を思い出しました。空気が似てたんですよね。
どうせ今は空白の時間を過ごしているので、過ごしついでに京都の頃の話を書こうと思います。
京都へ引っ越したのは19歳の頃です。
住んでたのは1年半ちょい。そこで過ごした時間や出会った人たちが、極めて個性的で、わたしの京都での暮らしはいろんな意味でサイコーでした。
京都へ引っ越したきっかけは、もともと京都生まれの友達がいて、地元に帰るっていうので、わたしも勢いでついて行ったんです。まさにノリだけで。
なんせその友達は、お金持ちでした。実家が持っているマンションの空室に住むと言ってて、しかもその部屋はリビング20畳+10畳、システムキッチン、ジェットバス、なぜかリビングに有線が流れるというリッチな部屋。家賃もかかりません。光熱費のみ。
「わたしも一緒に住む」「いいよ」
この一言の会話で、ゴミ袋2つ分の荷物を持って。わたしは東京の実家から出ていきました。
今考えれば、ちょっと家出に近かったな。いろいろあって、実家から一度距離を取りたかったんです。
京都はとても時間がゆっくり流れていて、少し遠くを眺めればすぐ山が広がっていました。ちょっと嫌なことがあっても視線を遠くにうつすだけで、その山が慰めてくれます。空気もきれい、ご飯も美味しい。しばらくはなんで山に「大」って書いてあるんだろうって不思議でしたが、大文字焼きだったんですね。
関西弁に慣れるのも少し時間かかりました。最初は怖いなって思ってたけど、全然そんなことなかった。みんな優しかった。「おおきに」が素敵でした。
そこら辺を歩いている野良猫も、きっと関西弁で鳴いてるんだろうなーって少し寂しくなったのを覚えています。
ちなみに、関西で暮らしていると言葉が関西弁に引っ張られるとよく聞きますが、わたしは全くなりませんでした。逆に周りの友達が関東弁になって「クッソー!」ってよく悔しがってたのが面白かったです。
そしておそらく、人生でいうモテ期でした。今はどうなのか分からないですが、わたしが住んでいた時は、関東弁の女の子は可愛い、関東弁の男の子はキザでナヨナヨ、みたいな文化でした。だからなのかまぁモテましたね。驚くぐらいモテました。はい、自慢です。
お金がほとんどない状態で、勢いだけで引っ越したので、最初はコンビニの夜勤をしていました。余ったお弁当を持って帰れるからです。本当はダメだったのかな?そこら辺はもう覚えていません。
コンビニの夜勤は男の子と2人でやっていたのですが、その男の子はエロ漫画の漫画家でした。
しかも結構エグいやつです。見せてもらいましたが、女には分からない男独特のムンムンした欲望がぎっしり詰まっていました。エロの特上幕の内弁当みたいな。
そういえばその男の子から、勝手にわたしの荷物に大人のおもちゃを入れるという、残忍な仕打ちを受けたことがありました。わたしは知らずに家に帰り、そして一緒に住んでいた友達に見つかるという最悪なシナリオです。
「いやっ、こ、これは違うんだよ!誤解なんだって!」
浮気がばれた男みたいに、必死に友達に弁解しました。いたずらにも程があるよ!
そして、そのコンビニがいきなり潰れます。
エロ漫画家から電話がかかってきて「今すぐお店にきて」と言われ、なんだなんだとお店に行くと、なんと警察官がぎっしりです。
どうやら店長が、控室のテーブルの下に隠しカメラを仕込んでいて、バイトの女の子のパンティやら何やら盗撮してたんですね。たまたま見つけた子が通報して発覚。
その様をエロ漫画家と一緒に眺めてました。性欲って果てしないね・・・。
そんな奥深いエロから始まった京都での生活です。
次はお嬢編。またいつか。