BASARAだと思ってたらHAYAMAだった。
細胞や骨格は7年〜10年かけて入れ替わるそうだ。
7年前と言えば2015年。
Wikiによると『東京オリンピックのエンブレムが盗作だと騒がれ、とにかく明るい安村の「安心して下さい」のフレーズが流行った年』らしい。
個人的には7年の間に、ひとりだった子どもが3人に増え、お洋服をとんと買わなくなった。都会に出る頻度が減っていき、少女漫画を読まなくなった。
そう、少女漫画を読まなくなった。
元々私は筋金入りの少女漫画ラバーで、最も多く購買した時期で、別マ・フィーヤン・クッキーなど月刊誌を毎月5冊+漫画喫茶とコミックスを読み込んでいた。
今思えば、少女漫画はアルコールと同じで適切な距離で付き合うべき、とんでもない依存性の高いドラッグだった。
高鳴る胸の音をきっかけに好みの男子に恋するも、すれ違いの日々。自信をなくして傷ついたけど、勇気を出して自分に素直になってみたら彼も私を選んでくれた…という少女漫画セオリーが骨の髄まで染み付いているので、現実世界でもとにかく傷つこうが傷つけようが「最後」を求めて必死のパッチで恋人に、いや恋にしがみついていた。
でも実際はそうじゃなかった。
長年付き合った恋人との間に「最後」のシーンはついぞ出ないまま物語は打ち切りとなり、それどころか疾風の如く馬(軽トラ)に乗って現れた男性と、わずかな交際期間で結婚となった。
究極のすれ違い少女漫画『BASARA』よろしく27巻の大長編だと思ってた恋愛人生は、現実には短い読み切り作品だった。
何十年も予習したのに、本番はたった16ページで終わりを迎え、あまりの呆気なさにショックで泣いた。
そんなだから、結婚指輪を作らなかった。
約束に、愛に、未来を与えることを恐れたのだ。
喧嘩しても、一年の最後には仲直りできますようにと願いを込めて婚姻届を12月31日に出し、2ヶ月前には思いもしなかった「ハヤマ」という名字に変わった。
ナイーブをミルフィーユのように重ねて、こわごわした結婚だったけれど、あれからどうやら私の細胞はすっかり入れ替わってしまったみたいだ。
---------------------------
先日、夫が「一緒に刺青でも入れる?」と言ったとき、思わずそんなDQNな!とのけぞった。
あゆと長瀬的な?
ハート半分ずつみたいな?
鍵と鍵穴的な?
ダサ!
確実にそう思っていたのに、どこからともなくおもろそうやでという幻聴が聞こえ始め、気づけば「めちゃいいアイデアやん!」と口走る自分がいた。
びっくりした。
冗談で言った夫もまさか本気にするとはと、びっくりしてたと思う。
でも「今!現実!イェア!」が幸せの最上位であるBE HERE NOWな今となっては、後先考えずおもしろそうなことには手をつけてみたいのである。
というわけで、もういくつ寝ると結婚10周年。
全身の細胞も骨格も入れ替わった私は、スイートテンダイヤより消えなさそうな刺青でお祝いすることにしました。
勢い一発な自分がこわい!
ちなみに10年前、2012年の流行語大賞はスギちゃんの「ワイルドだろぉ」だそう。
読み切り漫画にスピンオフがあることも、何ならそっちの方が本編だったこともあの頃は知らなかった。
打倒!こち亀で、10年目いくとしますか。