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「小児の言語聴覚士」と出会ったその先に【0】はじめに

人が他者とコミュニケーションをとる上で大きな役割を果たす「言葉」。その言葉が当たり前のように出て、言葉がどんどん増えていく子どももいれば、なかなか言葉が出ない子どももいます。そして一生言葉を話さないことや、大人になってから言葉を失うこともあります。

言葉を話せるということは、決して当たり前のことではないのです。

私は子どもを育てるなかで「うちの子、なかなか言葉が増えないな…」という悩みを抱え、その解決法を探すなかで「言語聴覚士」の存在を知りました。

言語聴覚士(通称、ST)とは、「話す」「聞く」「食べる」のスペシャリスト。言葉によるコミュニケーションや、食べること・飲み下すことに課題がある人に専門的なサービスを提供し、自分らしい生活を構築できるよう支援する専門職です。

であれば、私の子どももぜひ言語聴覚士にみてもらいたい。そう思ったのですが、調べるなかでわかったのは、子どもをみられる言語聴覚士が非常に少ないということでした。

現在、言語聴覚士の試験に合格した人は日本全体で41,657人いるそうです。しかしそのなかで小児を担当できる人は、約10%、つまり約4,000人しかいないといわれています。

小児の言語聴覚士がなかなか増えない理由は諸説ありますが、資格合格者のほとんどがもはや慣例的に成人を対象とした施設に就職することや、そうした施設の求人のほうが多いこと、児童発達支援施設などでの求人がさほど多くないことなどが挙げられます。

しかしその一方で、言語聴覚士の支援を受けたくても受けられない子どもが、全国各地に存在しているのもたしかです。

そこで私は、言語聴覚士に取材し、その存在を広めるような活動を始めました。

そして今回は、「『小児の言語聴覚士』と出会ったその先に」と題し、言語聴覚士との「接点」を持った4名の方に取材させていただきました。

最初のお二人、ゆっこりんさんとばっさんは、お子さんの言葉や聞こえに関して悩み、言語聴覚士とつながった「当事者」です。どんな悩みを抱えていて、どうやって言語聴覚士とつながり、現在はどのような支援を受けているのか、といった内容をうかがっています。

3人目のあきさんは、幼少期にお兄さんが言語聴覚士の支援を受けていたことを覚えていて、結果的にご自身も成人、そして小児・聴覚分野の言語聴覚士になった方です。人工内耳を扱う珍しい仕事を通して、どのようなやりがいを感じているのかをうかがいました。

そして4人目の太田さんは、お子さんが言語聴覚士などの療育を受けていたことを背景に、自衛官から言語聴覚士への転身を決断した方です。まったくの異業種からの転身に不安はなかったのか、現在どのような活動をしているのかなどをうかがっています。

ぜひ「言語聴覚士」という1点でつながった4者4様のストーリーをお楽しみください。そして、少しでも得られるものがあれば幸いです。

金指 歩


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