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「手書きハガキ」のホスピタリティ

私は「EC通販を行う企業にCRMの重要性を伝える」をモットーとする会社で働いている。「CRM」とは「Customer Relationship Management」の略で、わかりやすく定義すると、「顧客と良好な関係性を築き、その関係性を継続してもらうための施策」のことである。

弊社ではEC通販を行う企業に対し、「EC通販という実店舗を持たない形態において、顧客に購買を続けてもらうためには、どのようなホスピタリティ施を提供すればよいのか?」をアドバイスしている。代表的な施策としては、メールやLINEでの御礼・商品の使用方法説明、見やすい同梱物(商品を発送する際に一緒に送る印刷物やサンプル商品)の配布などがある。

そんな、デジタルでのコミュニケーションや印刷物など、現代社会の便利なツールでの顧客のフォローアップをアドバイスしてきていたが、「やはり、手書きのハガキが最高のホスピタリティだ」と気付かされる出来事があった。

先日、愛知県・南知多町にあるゲストハウス「南知多ゲストハウスほどほど」に宿泊した。以前、「日本てくてくゲストハウスめぐり」という本で、「宿泊者や地元民が魚をさばいて、豪華なシェアご飯を楽しめる」と読んだことがあり、「本州に住んでいるうちに行こう!」と思い訪れた。

南知多町ののどかな雰囲気や、他の宿泊者が釣って来てくれたイサキの豪華ディナー、オーナー夫婦と宿泊者との交流はもちろんとても楽しかった。しかし失礼ながら、言ってしまえば「他にもありそうな交流型ゲストハウス」ではある。今まで「宿泊者とご飯を持ち寄って食べ、交流する」というゲストハウスにいくつか訪れたことがあるので、そのように思ってしまった。

しかし、「ほどほど」が他のゲストハウスと異なっていたのは、チェックアウト後から。まず、オーナーが全ゲストのお見送りをしてくれる。ゲストハウスは事前精算やチェックイン時の精算のところがほとんどなので、宿泊者はチェックアウトしたい時に各々宿を去り、最後はオーナーに会わない、ということも多々ある。そんな中、宿泊者1組1組のチェックアウト時にお見送りをしてくれ、記念写真の撮影をしてくれる。さりげない気遣いに心がほっこりした。

そしてびっくりしたのが、宿泊してわずか2日後、家のポストを覗くと一枚のハガキが。よく見ると、「ほどほど」の女将さん直筆のかわいらしいお礼状だった。

これには心から感激した。誕生日割引などの優待ハガキがホテルや温泉から届くことはあるが、ゲストハウスから泊まってすぐにお礼のハガキが届いたのは初めてだった。そして印刷ではなく、一人一人内容を変えているのであろう手書きというところに、ホスピタリティを感じた。「また絶対遊びに行こう。」そう思わせてくれた。

冒頭のEC通販企業におけるホスピタリティの話に戻るが、日々大量の注文がある中で、顧客一人ひとりに手書きのハガキを送ることなど、もちろん不可能に等しい。しかし、事業規模の小さな通販企業であれば、一行だけでも手書きの印刷物を同封することは可能なのではないか。

また、事業規模の大きな通販企業であれば、手書きを含む印刷物を同封することは難しくとも、顧客属性に合わせた印刷物を送るくらいであれば可能なのではないか。例えば、同じ商品を購入していても、性別や年代などに合わせて内容を変えた印刷物を送るだけでも、顧客に伝わる気持ちは違うのではないか。

顧客と良好な関係を築くためのCRMについて、テクニックに近しいものを日々取引先に伝えてきた。しかし、結局顧客の心に一番響くのは、どんなマーケティング手法よりも、今の時代も変わらず「心のこもった手書きハガキ」であることを消費者目線で実感することができた。この気づきを活かして、また明日から日々業務に励んでいきたいと思う。


★「南知多ゲストハウスほどほど」について、ブログを書いていますので、 ご興味のある方は是非ご覧ください(*^-^*)⇒リンクはこちら


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