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重ーい扉がゆっくりゆっくり開いていくみたいに突然、縦にも横にも前にも後ろにも、視界が広がった感じ。

今まで止まっていた時計が、電池を入れた途端、元通りに動き出したような。この何とも言えない感覚を言葉で表現するのが、難しくもどかしいけれど、とにかく、残しておかなければと強く感じる。

思考ではなく感情に意識を向ける。その感覚をやっと、取り戻したのかもしれない。もう何十年ぶりだろう。ようやく、地に足をつけて立つ感覚を思い出した。それは確かに、きっかけとなる出来事があったから。

入口。いきなり二手に分かれた道。近道しようと選んだ道には美しい薔薇が咲いていて。ほんの少し、どうしても触れたくて、手を伸ばした瞬間、棘が指にチクリと刺さった。

痛くて、痛くて。

いろんな角度から自分を責めて。

悲しくなって、落ち込んで。

気がすむまで泣いた。

そしてもう一度入口に戻って気づいた。初めから一本の道しか無かったことに。

ちゃんと心の目で見て。ちゃんと心の声によく耳を傾けて。その声に素直になる。簡単なのことではない。ただ、答えはいつも心の中にある。

小さく聞こえる喜びの声に気づくことができたら、心は突然、温度を持つ。

自分以外の誰かが喜ぶ姿は、自らの喜び以上の感動をもたらしてくれること。それは広く伝染し、波を作る。逆も同じだけど。時間を共有することで、その波長との共振は必ず起こるから。





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