令和座『∞』観劇後、思考の断片
第8回公演『∞』観劇から一週間、過去公演に思いを馳せながら、書き連ねていこうと思う
前置き
私は令和座の公演を観劇する際、自分自身の体験のように感じる
時に“巻き込まれる”という感覚を抱くためだ
それは舞台セットであったり、役者がこちらを覗き込むことであったり、空気感であったりするのかもしれないが、劇空間360°から刺激を感じるからだ
作者の意図を読む、といった一次元上の視点を手放しているという点で観劇者として怠惰であるが、今はこれが心地よく感じている
よって、ここに書くのは考察というよりは、私情をふんだんに含んだ回想に近い文章になると思われる
また、たぶんわかるように書いてないので非常に読みにくいものと思われる、悪しからず
第8回公演『∞』
理を語る者
私は令和座作品の“いかにも真実っぽいことを語る者”の存在が大好きだ
『∞』では女3のような人で、自らの言葉に迷いがない物言いには(自分でもミーハーとわかっているが…)惚れ惚れしてしまう
しかし、彼女は“外の人”であり
“姉様”の化けの皮が剥がされる
私はこの裏切りを知っている
第3回公演『宗教研究クラブ』
私にとって令和座2回目の観劇であった
当初、私は絶望した
ひとつには了解可能に思えてしまったということにある
令和座作品を観る際、私は わからない ということを楽しんでいた、しかし、観劇後、物語の意味についてそれらしい理由を考えついてしまった自分に、考え終えてしまった自分に、絶望した
もうひとつには物語の展開にある
謎の女ゲルニカ、彼女は正体不明の何か、ではなく現実的な存在に感じられた
(少し記憶が曖昧だが)売っているありがたい水がお小水疑惑があったりと、神秘性が剥ぎ取られていったように感じた
他にも、私にとって理を語る者に感じられた聡明そうな人物が最後に壊れてしまったりと…
全体を通して、嫌悪感を抱いていた
しかし、好きの反対は無関心という言葉からすると、ある意味感性に刺さっていたのではないかと今になって思う
廃墟を捨てた女3の行動、第3回公演で感じた人物像が壊れていく絶望感
現実を暴露する という側面で類似性を感じる
これは『∞』ラストの受け取り方にも繋がる
鎖
令和座に用いられる 鎖 のモチーフが、私は大好きだ
思うところたくさんあるが、『∞』に絞って書いていく
「鎖の加護があったのね」
妹を追いかけるという使命を持つ男1にとって鎖は加護だったのだろうか
「人は皆、鎖に縛られている」
きっと“鎖”は ヒト を 人間 たらしめるものなのだろう
では鎖を嫌がった女1はどうなんだろう
彼女は名前と年齢を知っていた
その人をその人たらしめるものが鎖ならば、彼女もまた、鎖に縛られている
鎖は加護であり、呪いでもある
人は不自由に嘆き、不自由に喜ぶ
鎖の持つその両価性がたまらなく好きなのだ
(余談)鎖の人
令和座に度々出演なさっている役者さんで、度々鎖に巻かれている方がいて、例に漏れず今回もジャラジャラされてましたが…
いや、絶対同一人物じゃないって思ってますけどね、なんで服同じだったんですか!?!?
サングラスもそのままですよね!?
男1って“きりゅう”さん、らしいですがどういう字で書くんですか!?
劇中に“シルクハット”とかなんで匂わせするんですか!?
話し方とか存在そのものっていうか全然違うはずなのに、なんであの姿だったんですかあぁぁ!?!?
…はぁ
喜んでいいのか、むしろ一周回って悟ったらいいのか…
うん…やっぱりどういうこと…?
ラストと観劇直後の感想
物語としての廃墟は存在し続けたはずだ
しかし登場人物達が去っていき、幼子のような女1も男5に手を引かれ舞台を去っていく
心に残されたのは喪失感だった
舞台が終わり、廃墟は失われてしまった
現実という不可視な鎖の呪いを残して
私だったら、あの箱庭を、去ったりはしない
去りたくはない
きっと鎖に遠く、自由に近い場所だからだ
と、ここで中二病の定義について引用する
中二病は一般には上記のように説明されるが、私は幻想を愛することだと捉えている
あの廃墟を去ることは、自由を捨てることだ
あの舞台は幻想に浸らせ続けてはくれなかった
人物達が現実に帰っていくのを見送ることしかできなかった
中二病患者には苦い薬だったというわけだ
ラストと思いに耽ること
「額縁のない絵の中には入れない」
この舞台全てが絵であり、日常と境目がないということを示していたのだろうか
ドラマを持たない人物である女1と男5
彼らが去っていったのは観客が劇場を去る方向と同じである
あの空間に巻き込まれた私達は、どこへ向かうのだろうか
ここで公演内容としてXに載せられた文章を引用する
人は自らの承認欲求というモノサシを振りかざしている
この舞台は、現実を歩いていく人々への、自由の讃歌だったのではないかと考える
始まりとその続き
2022年 絶望を抱いて歩いていた
令和座第2.5回公演『UNDER GROUND PARTY』
あまり律儀な性格ではないので、未だ思い出すのは断片の数々
鎖に巻かれた奇天烈な男、見捨てられたドール、火炎放射器をぶっ放し晴々としたドレスの女、そして登場人物達が集まり混沌とした中
「夜が明ける」
あの日私が受け取ったのは希望だった
人の目を盗んでいることしかできなかった者にとって、生きてていいのだと思った
私の小劇場演劇との出会いであり、演劇に足を踏み入れることになる
「闇を切り裂く閃光となれ」
ただその言葉だけを追いかけていた
そのために歩いて、そのために舞台に焦がれる
また、“命”を求めて
令和座の舞台に足を運ぶ
P.S.脚本…また買えなかった…
買いに行くタイミングが未だ掴めず、コミュニケーション能力の問題なんでしょうか…
過去作品&上演されなかった演目含めた戯曲集が出ることを切に、願っています…
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