狂犬病予防法(昭和25年成立時)/ 第五章 罰則 第二十七条
今のではなく、昭和25年に出来た時の狂犬病予防法を読み続けています。
前回と今回の章は罰則。
第二十七条は「三万円以下の罰金」。
第二十六条は「五万円以下の罰金」でした。今回は少し軽くて、それでも「三万円以下」です。
違反の対象は一般的な飼い主さんにも身近なことがあります。
現在(令和六年)の第二十七条は「二十万円以下の罰金」となっています。
第二十七条で違反になるのは?
全部で十項目ありますが、第二章通常措置(狂犬病が発生していなくても常に行うこと)の違反と第三章狂犬病発生時の措置の違反で区別すると分かり易いとおもいます。
尚、以下は昭和25年に成立した内容ですが、現在もこれらの内容とほぼ同じ内容が違反となり罰金刑の対象となります。
(通常措置の違反)
一 登録をしない、鑑札を着けない
二 予防注射を受けさせない、注射済票を着けない
(狂犬病発生時の措置の違反)
三 狂犬病の犬(疑い含む)を隔離するにあたり予防員からの指示に従わない
四 狂犬病発生地域と指定された地域では、口輪や係留を命じられるが、これに従わない
五 隔離された狂犬病の犬を、予防員の許可なく殺した
六 狂犬病の犬が死んだ場合、その死体を予防員に引き渡さねばならないが、これに従わない
七 狂犬病が発生した場合、期間・区域を定めて、一斉検診・臨時予防注射をすることがあるが、それをしない
八 狂犬病が発生した場合、期間・区域を定めて、犬(死体含む)の移動などを禁止、制限することがあるが、それに従わない
九 狂犬病が発生した場合、その場所と付近の交通の遮断をしたり制限をすることがあるが、それに従わない
十 狂犬病が発生した場合、犬の展覧会など犬が集まる活動を禁止することがあるが、それに従わない
(※條を条に直したり、当時の文字と違う書き方をしています)
以下、一から十の条文とそこに出てくる条文を記載しておきます。
一 第四条の規定に違反して犬の登録の申請をせず、又は鑑札を犬に着けなかつた者
第二章 通常措置
(登録)
第四条 犬の所有者は、厚生省令の定めるところにより毎年一回その犬の所在地を管轄する都道府県知事に市町村長(都の区が存する区域にあつては区長とする。以下同じ。)を経て犬の登録を申請しなければならない。
2 都道府県知事は、前項の登録の申請があつたときは、原簿に登録し、その犬の所有者に犬の鑑札を前項の市町村長を経て交付しなければならない。
3 犬の所有者は、前項の鑑札をその犬に着けておかなければならない。
4 都道府県知事は、犬の登録について、一頭につき一年三百円以内の手数料を徴収することができる。
二 第五条の規定に違反して犬に予防注射を受けさせず、又は注射済票を着けなかつた者
第二章 通常措置
(予防注射)
第五条 犬の所有者(所有者以外の者が管理する場合には、その者。以下同じ。)は、その犬について、厚生省令の定めるところにより、狂犬病の予防注射を六箇月ごとに受けさせなければならない。
2 保健所長は、前項の予防注射を受けた所有者に注射済票を交付しなければならない。
3 犬の所有者は、前項の注射済票をその犬に着けておかなければならない。
三 第九条第二項に規定する犬の隔離についての指示に従わなかつた者
第三章 狂犬病発生時の措置
(隔離義務)
第九条 前条第一項の犬を診断した獣医師又は所有者は、直ちに、その犬を隔離しなければならない。但し、人名に危険があつて緊急やむをえないときは、殺すことをさまたげない。
2 予防員は、前項の隔離について必要な指示をすることができる。
(届出義務)
第八条 狂犬病にかかつた犬若しくは狂犬病にかかつた疑いのある犬又はこれらの犬にかまれた犬については、これを診断し、又はその死体を検案した獣医師は、厚生省令の定めるところにより、直ちに、その犬の所在地を管轄する市町村長にその旨を届け出なければならない。但し、獣医師の診断又は検案を受けない場合においては、その犬の所有者がこれをしなければならない。
2 市町村長は、前項の届出があつたときは、直ちに、その旨を都道府県知事に報告しなければならない。
3 都道府県知事は、前項の報告を受けたときは、厚生大臣に報告し、且つ、隣接都道府県知事に通報しなければならない。
四 第十条に規定する犬に口輪をかけ、又はこれをけい留する命令に従わなかつた者
第三章 狂犬病発生時の措置
(公示及びけい留命令等)
第十条 都道府県知事は、狂犬病(狂犬病の疑似症を含む。以下この章から第五章まで同じ。)が発生したと認めたときは、直ちに、その旨を公示し、その発生地を中心とした半径五キロメートル以内における区域及び期間を定めて、その区域内のすべての犬に口輪をかけ、又はこれをけい留することを命じなければならない。
五 第十一条規定に違反して犬を殺した者
第三章 狂犬病発生時の措置
(殺害禁止)
第十一条 第九条第一項の規定により隔離された犬は、予防員の許可を受けなければこれを殺してはならない。
六 第十二条の規定に違反して犬の死体を引き渡さなかつた者
第三章 狂犬病発生時の措置
(死体の引渡)
第十二条 第八条一項に規定する犬が死んだ場合には、その所有者は、その死体を検査又は解剖のため予防員に引き渡さなければならない。但し、予防員が許可した場合又はその引取を必要としない場合は、この限りではない。
七 第十三条に規定する犬の検診又は予防注射を受けさせなかつた者
第三章 狂犬病発生時の措置
(検診及び予防注射)
第十三条 都道府県知事は、狂犬病が発生した場合において、そのまん延の防止及び撲滅のため必要と認めるときは、期間及び区域を定めて予防員をして犬の一せい検診をさせ、又は臨時の予防注射を行わせることができる。
八 第十五条に規定する犬又はその死体の移動、移入又は移出の禁止又は制限に従わなかつた者
第三章 狂犬病発生時の措置
(移動の制限)
第十五条 都道府県知事は、狂犬病のまん延の防止及び撲滅のため必要と認めるときは、期間及び区域を定めて、犬又はその死体の当該都道府県の区域内における移動、当該都道府県内への移入又は当該都道府県外への移出を禁止し、又は制限することができる。
九 第十六条に規定する犬の狂犬病のための交通のしや断又は制限に従わなかつた者
第三章 狂犬病発生時の措置
(交通のしや断又は制限)
第十六条 都道府県知事は、狂犬病が発生した場合において緊急の必要があると認めるときは、厚生省令の定めるところにより、期間を定めて、狂犬病にかかつた犬の所在の場所及びその附近の交通をしや断し、又は制限することができる。但し、その期間は、七十二時間をこえることができない。
十 第十七条に規定する犬の集合施設の禁止の命令に従わなかつた者
第三章 狂犬病発生時の措置
(集合施設の禁止)
第十七条 都道府県知事は、狂犬病のまん延の防止及び撲滅のための必要と認めるときは、犬の展覧会その他の集合施設の禁止を命ずることができる。
通常措置(狂犬病が発生していない時のこと)としては、登録しない、鑑札を着けない、予防注射を受けさせない、注射済票を着けない、となります。
現在もこれらは対象であり、罰金は二十万円以下になっています。
ここまで。
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