狂犬病予防法(昭和25年成立時)/ 第三章 狂犬病発生時の措置(けい留されていない犬の抑留)第十八条
今のではなく、昭和25年に出来た時の狂犬病予防法を読み続けています。
現在(令和六年)の条文とここは変わりません。
難しいことはないのですが、他の条文が出てくると「それってなんだっけ?」となり、読むのが面倒になりますよね。その辺りを読み込んでみたいと思います。
ここ(第十八条)は変わらないのですが、現在の条文には「第十八条の二」があります。タイトルは(けい留されていない犬の薬殺)。「抑留を行うについて著しく困難な事情があると認めるとき」に行われるそうです。そのような状況にならないことを祈ります。
(参考)狂犬病予防法(昭和二十五年法律第二百四十七号) 施行日: 平成二十八年四月一日 (平成二十六年法律第六十九号による改正)
(※條を条に直したり、当時の文字と違う書き方をしています)
概要
第十条が何かですがタイトルは(公示及びけい留命令等)。
狂犬病が発生したら、都道府県知事は、その旨を公示し、区域・期間を定めて犬に口輪をかけ、又はこれをけい留することを命じなければならない。
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そのようなことがされているにも関わらず、係留していない犬は抑留することが出来る。
第二項
第二項の「前項の場合には、第六条第二項から第七項までの規定を準用する」を考えてみます。
第六条のタイトルは(抑留)。
狂犬病が発生していない時「登録していない」「鑑札をつけていない」「予防注射を受けていない」「注射済票を着けていない」のいづれかに該当する場合「これを抑留しなければならない」とし、第六条第二項から第七項に、抑留のやり方、抑留した犬のその後のこと等が書かれています。
(けい留されていない犬の薬殺)第十八条の二
これは撲滅前の昭和29年の改正時に成立しています(法律第八十号(昭二九・四・三〇))。
第十六条で紹介した資料などからも、当時撲滅に向けて多くの人が苦労されていたことがうかがえます。けい留したくても出来ないような場合も多々あったのだと思います。狂犬病の犬が自由になっていれば、第十六条(交通のしや断又は制限)を行うことになることもあり、多くの人の日常生活にも影響が出ます。この条文は当時の状況から現実的な対応策として考えられたものかもしれませんが、公布前の参議院厚生委員会第20号の議事録にも記録されていますが、冷静に考えれば意味のないことです。それだけ撲滅に向けた混乱があったのだと想像しています。
ちなみに第十八条の二は今もあります。もし今再び狂犬病の脅威が日常的になったとしたら、この条文が改正されて、毒えさではなく経口ワクチンをまくことになるのではと考えています。
(参考)
2。野生動物のための狂犬病ワクチン @ (公社)日本中医師会 人獣共通感染症 連続講座
上記の記事は1995年と古いものであり、文末にアライグマの輸入が野放しだと書かれていますがその後改正されています。以下のページをご覧ください。
きつね、あらいぐま、スカンクの輸入 @ 動物検疫所
このページ内で確認しておいていただきたいのが指定地域(狂犬病の発生のない国 ・地域)。この地域が現在「農林水産大臣が指定する狂犬病の清浄国・地域」となっています。
ここまで。
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