しあわせさん。こんぴらさん。
旅はじめは香川から
忘れられない旅のひとつ。
それはちょうど1年前、2024年のはじめの「こんぴらさん参り」。
夜行バス一択
近頃では新幹線や飛行機を選ぶ旅も多くなってきましたが、1年前はまだ日勤終わりでも準備をして出掛けられる夜行バスに頼りきりで、遠征の告知をみつければ「夜行はあるかな?」と真っ先に夜行バスでの行き方を調べるくらい夜行バスに親しんでいた時期でもありました。
位置情報をオンにしてGoogleマップを開きながら降り立ったことのない地を走り抜け、徐々に縮んでいく目的地との距離を客観的にまるで空から眺めているかのような様子が楽しくて、現地に近づくほどに高まるわくわく感をおかわりする気持ちで気軽に選択していました。
シフトの具合から、遠征先が遠いほど当日の朝の出発では現地に着く時間がどうしても遅くなってしまうので、どのように組んでも現実的に叶えるのが難しい旅もあり、公演などの観たいものがあった場合はさらにその時間の縛りがあったりして、難易度が上がり時として諦めることも。
夜の時間を移動時間として有効に使えば不可能だったはずの旅も自ずと可能になると分かってから、夜行バスの旅は欠かせない選択肢の一つとなっていました。
夜行バスを使って四国に入るのは3度目。
いつもこの辺りからすっかり目が覚めてしまいます。
「吉野川岸の山吹ふく風に底の影さへうつろひにけり」 紀貫之
↑吉野川で思い浮かぶといったら、こちら。
桜だけでなく山吹の美しく咲く吉野川の風景を目に浮かべる。
「阿波おどり会館」も気になるし、
「藍の館」はさらに気になる…!
徳島に入り、バスは徳島駅で停車。
私以外の乗客がみなサプライズかと思うくらいに一斉に降りていきました。
“いつか徳島でゼロコの地元凱旋カフェライブを観ることができたら”と願いながら、私の想いだけをそこに残して、バスはまだ暗い徳島の地を走り抜けてゆきました。
この日から1年が経ち、その間に2回ほど徳島でのカフェライブが催されたけれど、残念なことに御縁がなくその想いは回収されぬまま、私の夢は未だ叶ってはいません。
この後、琴平までのまだ長い道のりをバスは私ひとりを乗せて運行。
しんとした車内が急に寒く感じたのをよく覚えています。
お遍路をしたいというのも、
また夢です。
まずは琴平を歩く
宿を琴平に取りました。
夜行バスは横浜からおよそ11時間半かけて琴平に到着。チェックインの午後まではまだ時間がかなりあったのですが、手荷物を先に預けておきたかったのもあり、この日泊まる場所を明るいうちに確認しておきたくて、ひとまず宿を目指して歩き出しました。
すぐ先に想像のつく答えが。笑
特に親しくしているお友達へのお土産のうどんが手荷物に3つほど追加され。まだ手荷物を預けてもいないのに、どんどん手荷物が増える不思議。しかもずっしりとするものばかり。笑
これぞ観光地マジックです(?)
店主がご親切にこんぴらさん参道のマップをくださる。
「お姉さん、これからひとりで登るの?」ととても驚かれましたが、
「今日は別の場所へ。明日登る予定です!」と答えました。
なぜあんなにも驚かれたのかはわかりません。
「あなた、まさかその手荷物だらけの状態で登るの?」的な意味を含んだ驚きだったのでしょうか?笑
気になる歌詞が三番に。
長宗我部元親 神罰恐れて 逆さに建てたる賢木(さかき)の門
長宗我部元親が奉納した当時の柱は、400段目辺りから右に入ったところにある宝物館1階に保存されていて、何方でも見ることができます。
駄菓子屋さんやおもちゃ屋さん、本屋さんにカフェ、文具店に展示会。街には気になるお店だらけ。
1日目は移動と目的の公演の鑑賞でほぼ終わってしまうので、翌日にすべて回すことになるのですが。
“明日は金刀比羅宮も詣でるのに、果たして明日1日で回りきれるのか…?!”
そんな事を考えながらてくてくと歩を進め、帰りに使う琴平駅もチェック。
幸運をもたらす精霊が宿るとされる大変縁起の良い樹木です。 神事にも使われます。
のど飴でもお世話になっています。
さらに歩いて、友人とうどん屋むさし店内で無事に合流。
香川に来たからには讃岐うどんを!ということで、まずはしっかりと腹拵えから。
わかめうどんとおでんで身体中ぽかぽかになりました。
お店を出て、琴電琴平のひとつ先の駅まで歩くことに。
お店が開いてなくてよかった。
きっと購入して、また重たい手荷物を増やしてしまっていたはず。笑
不吉と捉えるのか、幸運と捉えるのかはあなた次第。
ありがとう、私は黒猫が大好きなので、幸運と捉えます🎗
海外では黒猫は幸せを運ぶとされています。
これからサーカスを観るからか、なぜ狛犬が逆立ちをしているのかがとても気になりました。
これは逆立ちではなく、後ろ脚を蹴り上げる『跳び狛犬』というのだそう。
他にも気になる表示がありました。
反対側の文字を見忘れました💦
反対側にはきっと「ようこそ」と書かれていたと予想します。
こういったひとことが嬉しいし、ありがたいです。
車内でみた広告です。
なな、何語ですか…!
ちっともわからなくて友人と盛り上がりました。
−私の予想−
「急いでるから、あとにして」…とか?
イラストやマナーとぜんぜん関係ない!笑
−答え−
『混んでいるので(読んでいる新聞などを)小さくしてください』
同じシリーズの広告も載っていて、マナーと讃岐弁をダブルで学べて楽しめます。ぜひ覗いてみてください▼
現代サーカスを観に
【YouTubeより】
※8:46の動画です
巷で話題のこちらの動画でだいぶ笑わせていただいたレオマワールド😂
(土日がおすすめのようです⚠)
この旅の目的の公演『Workers』は、
その日本一運の悪いテーマパーク客のおひとりでもある、サーカスパフォーマー谷口界さんご出演の公演でした。
「栗熊駅」で下車。
道も風景も好きだなぁと思いながらパシャパシャと写真を撮りながら歩いていると、突如現れた風景に似つかわしくないトレーニンクジムの外に作られた人工的な足ツボロード。さっそく履いていたブーツを手に持ち踏み踏み激歩。足の裏が刺激されて身体がさらにぽかぽかになりました。こういう類はけっこう平気です。たまたま通りかかった公園に足ツボエリアがあったりすると、喜んで寄り道してしまいます。その率100%!笑
“アイレックスの小さな「ッ」の文字に使われている木の実のモチーフはなんだろう!?”
木の実好きのセンサーが即作動してしまいました。気になったことはすぐにその場で聞いたり調べたりするのですが、調べてもまったく出てこなかったので、開場までの待ち時間に受付の方に伺ってみました。
綾歌町の町木『もちの実(もちの木)』なのだとか。
外にはちょうど実をつけたもちの木が植わっていると教えてくださったので、ひとり外へ観察に。
細雨も降りだし指先のかじかむ気温でのカメラ操作はなかなかたいへんでした。
ちょこっと感想を
心地よい木の香とぬくもり、創られ奏でられる音の妙、魅力を最大限に引き立てる衣装、目の前で組まれていく櫓。
木材を舞台に立ててゆき、アクロバティックに櫓が回転するまでのすべてが力強く神聖で、どこか工程や儀式をも彷彿とさせる倒立や舞や木でできたモノたち。
「大工」と「サーカス」との融合の発想がとてもおもしろく。職人とサーカス両者の無事と発展を祈るかのような、丁寧に重ねられ、緻密に且つ大胆に築き上げられた見応えのある素晴らしい舞台でした。
2回観てももの足りないくらい良かったので再演を切に希望していましたが、2025年、メンバーも構成も道具も新たに香川・愛媛での再演が実現しています。
最近ではシルホイールも木での製作を試みていた模様で、木製のシルホイールを使ってのパフォーマンスをお目にかかれる日を楽しみにしているところです。
4月に開催予定の今年で50周年を迎える野毛大道芸2025では、出演予定のゼロコと共に『瀬戸内サーカスファクトリー』が初出演されます!!
『美容』うどん
友人とふたり、冷めやらぬ興奮と熱をそのままに、気づけばお昼に利用した「うどん屋むさし」に帰ってきていました。
夜の公演を無事に見届け、移動時間もあり琴平に帰ってきたのが遅くなってしまい。しかしそれも想定内。
やっているお店もなく、そもそも飲食できるお店が少なくて。
むさしのうどんが美味しかったので、「ただいま〜!」「戻って来ちゃいました♪」と、数時間ぶりにこの日2度目の入店をキメました。笑
実はお昼、わかめうどんを食べ終わったあとに『美容』という気になるメニューをみつけてしまって。
わかめに梅干しとかまぼこの加わった、幸せおうどんでした。
食べないかまぼこは先に友人にお福渡し。
このお店には出入り口がふたつあって、雰囲気を変えて、お昼に使ったのとは別の方の入り口を使ってみたりしました。笑
友人はここからすぐの宿だったので、友人とはまたの再会を約束しここでお別れ。
私も自分のお宿へ向かうべく、すっかり夜の顔に変わった琴平を闊歩しました。
千と千尋の神隠しに出てきそうな風景。
夜になると、また違った印象に。
金刀比羅宮(こんぴらさん)
『一生に一度はこんぴらさん』
こんな言葉を知ってしまったら詣でるしかない。
旅の前に下調べをしていて辿り着いたこちらの素晴らしい記事で予習もできて、楽しみが増しました。
周りには、すでに登られた諸先輩方も多数いて、奥社へ行ったなら岩壁の天狗と烏天狗を拝むのを忘れないようにとの御達しまで賜っての訪宮となりました。
霧の階段を行く
金刀比羅宮のある象頭山は朝から濃霧に包まれていました。行くか行かぬか。判断に迷いましたが、奥社まで危険な登山道もなく階段がただひたすらに続く参道ということで、防雨対策の服装で出発。
雨なので、奥社までは往復2時間弱を見込んで。
ちょっと下っているのかと思うような錯覚まで起こります。
ここから空気ががらりと変わりました。
ここまで785段!
御神木の楠木も立派です。
通常の参拝方法とは異なる、正しいお参りの仕方を来る前にきちんとチェックしてきました。
展望台のあるさらに右奥の道へと進み、雨にも負けず志は固く、目指すは奥社です。
急な階段や、
一段一段が広くて緩やかな階段。
種々の階段が揃い踏みで待ち受けていました。
観えるのはただ、
不思議なことに降っていた雨がぴたりと止み、霧がいっそう深くなる。
霧にも色があることを知りました。
仙人は霧を食べると聞くので、私も霧を食べてみたりして。
浄化の雨と霧。
全1368段を登りきり、奥社に到着!
達成感と爽快感しかありませんでした。
祈念に奥社でしか買えない御守も購入。白い紐の方を選びました。
行きには決して観ることができなかった眺望です。
下りはびゅんびゅんと矢のごとく、
あっという間に金刀比羅宮境内の五人百姓のいる大門まで戻って来ました。
阿吽の狛犬の頭に載る角と宝珠にも諸説あるようで、調べると沼るほどおもしろいです。
狛犬ファンが居るというのも納得です。
こんぴらさんの階段を登り下りした身体はすでにぽかぽかだったけれど、達成したあとに麓のお店であん餅雑煮を食べることを楽しみにしていました。
あん餅雑煮との出逢いは、2021年の11月に初めて香川の屋島山上を訪れた時でした。
こんぴらさん表参道にある『Cafe 森と山』という、店内が木々に潤うおしゃれなお店にて。
甘いとしょっぱいがいい塩梅で、
白味噌のやさしいお味。
約2年ぶりの味わいに感激でした。
お楽しみはもうひとつ。
「その日の疲れ、その日のうちに」と言いますし、降りてきてすぐに脚を労いました。笑
これまた途中から貸し切り状態となり、おもわず心が開放的になって泳ぎたくなりましたが、それはもう足湯ではありません🙅笑
さて、ここから前日に見た気になるお店・場所を、帰りの電車の時間まで怒涛のごとく巡ります。
展示会では手作りの絵本と環境改善プロジェクトに取り組む地元の学生さんたちの活動報告の記事がとてもおもしろくてじっくり閲読。
文具店では、オーダーで自分だけのオリジナルカスタムノートを作りました。
ノートの向きも、表紙も、中の紙も、紐も、紐を掛ける位置も、リングも。すべてを自分好みにカスタマイズ。
緑とクリーム色とグレーを組み合わせた、最っ高に可愛い「世の中にたったひとつだけのノート」が仕上がりました!
帰りの電車。
JR琴平駅から乗車した特急はアンパンマンのラッピング車両でした。
大人になったって、こんな電車が来たらワクワクしてしまいます。
車内のアナウンスベルにもアンパンマンの曲が使われていましたよ。
また絶対に来ると心に誓って。
心の支えとなっている楽しかった旅を思い出すと、一年が経っても元気が湧くものです。
奥社で買った御守は、今も毎日使うかばんの中で思い出と共に揺れています。
1月にも2月にも香川での楽しみなイベントが待っていて、2025年の旅はじめもまた香川になりそうです。
登りの白峰神社でみつけたこの言葉が気になり頭を離れず、下りで撮りました。
2025年も、
いついつの、だれだれの旅も、
幸せなものでありますように。