保育園に「恋の季節」がやってきた!?
結婚式帰りなのか、スーツ服に大きな紙袋を持った若者を多く見かけるようになった。
6月と言えば、「ジューンブライド」。
これから夫婦となる2人が「一生を共にする」と誓い合う。
美しく、尊い瞬間だ。
大きな節目は、人生のなかで、そう何度もあるわけではない。
でも、「誰かが、誰かを、好きになる」瞬間はいつだってあるはずだ。
今回は、娘が通う保育園の先生から聞いた話――。
愛娘は“Tくん”のお気に入り
いつものように娘と登園したら、馴染みの先生が教えてくれた。
園児同士でペアを組むとき、うちの娘はいつも“Tくん”から指名されるらしい。どうやら娘は“Tくん”の「お気に入り」らしく、何かやるたびに声をかけられるそうだ。
果たして、それが「好き」という感情なのかは分からない。でも、きっと好意がなければ、指名したりはしないだろう。
子どもたちも年長組になってくると、「人付き合い」を覚えはじめる。
「あの子のことは、好き/嫌い」
「あの子とは、相性が良い/悪い」
「あの子といるときは、楽しい/楽しくない」
はっきりと言葉に出さなくても、態度で分かったりもする。特に女の子は、「グループを作る」ことが典型的な行動だ。誰とでも気兼ねなく遊んでいた彼女(彼)らは、群れを作ることで意思表示をしているように見える。
もちろん、良いとか、悪いとかではない。私は教育に関する専門知識を持っていないが、どれも一種の成長なのだろう。
園内に飛び交う「恋の矢印」
「人付き合い」を覚えてくると、子どもたちは“異性”も意識しはじめるようだ。
「クラスで女の子から人気があるのは、Sくん」
「Sくんのことが好きなのは、AちゃんとBちゃん」
夕飯の食卓で、娘は嬉しそうに恋バナをするようになった。
そして保育園の先生も、クラスの恋愛事情をコソっと教えてくれる。
「でも、SくんはWちゃんのことが好きみたい。だいたい、一方通行ですね~」(保育園の先生談)
恋の本気度は十人十色。ただ今、園内では様々な恋の矢印が飛び交っている。加えて、絶妙な三角関係も存在するようだ。
愛情を受け止めるって難しい
とはいえ、ピュアすぎる感情は、あまりにもストレートすぎて、受け止める方も大変だろう。
それまで自然に遊んでいた男の子(女の子)が違って見え、急にどう距離をとっていいのか分からなくなる。大人でさえ、異性を意識した途端に妙な違和感を覚えるくらいなのだから、生まれて数年の子どもたちが感じる衝撃(ショック)は親が考えている以上に大きいのかもしれない。
それでも、「好きや嫌い」、「合うや合わない」が自覚できるようになってくると、自分の想いの伝え方を考えるだろうし、己の好意が必ずしも誰かにとって嬉しいものではないことに気づきはじめるはずだ。
「あの子に気に入ってもらうには、どうしたらいいんだろう?」
「あの子は自分のことがそんなに好きじゃないみたい」
「あ、あの子は自分とは違うかも…」
と。
恋愛感情の有無に関わらず、「保育園」という小さな社会のなかで、彼女・彼らはその時々の振る舞いを学んでいくのだろう。
自己認識や他者理解を通じて、子どもたちはまた一歩、オトナへと成長していくはずだ。
ちなみに「“Tくん”のことをどう思うか?」と娘に聞いてみると、答えは「ビミョー」だった。