”思考型”恋リア新境地!バチェロレッテ3 (Ep4まで)

家庭と仕事の都合でスペースに入れない日々が続き、思考のアウトプット欲求が高まっている私は、ついにnoteに手を出しました。
某D様のような美文は紡げませんが、ご一読いただければ、この上なく幸せです。ワクワク!

バチェロレッテ3の醍醐味

Xの焼き直しになるが、Ep4時点で本作は異色の恋愛リアリティーショーだ。
理系!高学歴!高収入!を中心とした男性陣の中で、前作・前々作で目立った愛情深い海外ルーツ勢や商魂込めて系は息を潜め、多数派と少数派が完全に逆転している。

供給過多のキラキラアオハル恋リアとは一線を画すつくりで、ややショーとしては華やかさに欠ける点は否めない。
が、Amazonが視聴者層として取り込みたい層が今作では思考型クラスタであることは明白で、感情型バチェラーバチェロレッテが見たいのなら過去作もありますのでどうぞ、と言われているようだ。

モテ非モテで語りたくなる視聴者もいるだろうが、みんなが主人公を取り合う構図は、この男性参加者であればハシカンでもモリカスでもアンゴラ村長でも起こり得ないと私は思う。
テレビ慣れしていない中長期思考の男性は、1ヶ月で当選確率7%の女性を奪い合うというフォーマットにそもそも乗れないだろう。

バチェシリーズで、賑やかしでなく真剣に恋愛している参加者は、
「妄想力が高く、感情を増幅させ自分を自分で奮い立たせられる逸材」

「主人公が同等の立場まで降りてきて追いかけてくれるラッキーな人」
のみだ。

今回の参加者は皆一様に自律心が高く衝動で身を滅ぼさず、恋愛を二の次にしてきたが故にここにいる、という印象だ。
全員が正気。「みんな盛り上がっていこう...!」「...オー!」のテンションでMAXだ。
だから亜樹さんがアピールしていくしか恋愛に続く道はない。

MBTIで一度もFが出たことがなく、トゥーマッチな感情のやりとりに少々胸焼けしていた私は、バチェロレッテ3に完全没入している。
少数派かもしれないが確実にいるこの層に「これが見たかったのよ!」と唸らせるだけの魅力を、この番組は確実に持っている。

富士山頂にいる女性・武井亜樹さん

華々しい経歴とは裏腹に、27歳という若さから恋に憧れる少女のようなピュアさが見える。
"普通問題"の勘違いや突っ走りから、最後は自省にもっていける姿勢に、彼女は成熟途上なのだとハッとさせられた。

彼女は男性を見るステップが非常に明確だ。
最初はTier2とTier3を分けるため外見とコミュニケーションの取りやすさ→4話以降はTier1とTier2を分けるため恋愛感情をもてるかを見ていく。
そしてこの切り替えをサプライズローズのタイミングで制御している。

2,3話でサプライズローズが誰にも渡されなかったことは、良くも悪くも男性に自信や焦りや闘争心を生まなかった。
自己の内面と対話する暇を与えることはできたが、対亜樹さんという視点での動きの少なさが一様な点は彼女の作った構造にも起因する。

彼女の好きなところその1は、自尊感情を低下させるコミュニケーションを拒める意志の強さだ。
自己肯定感の高い人間は、それを保つ努力もしているということを考えさせられる。

好きなところその2は、面食いであることだ。
ジェットコースター以上の形容詞が見当たらないオトコ坂口さんや、活躍の機会なく口のみ動くロボットと化した北森さんは、おそらく外見が好みだから残されている。
しかし恋愛においてルッキズムを適用するなとは私は一切思わない。
生き物と生き物の恋愛なので、美しい羽を広げた孔雀に眼を惹かれるのは致し方ない。

彼女の結婚観はやや保守的かつ庶民的である。
萌子さんが神秘的な霊山、美紀さんがスカイツリーのテッペンにいるとすれば、亜樹さんは富士山の頂上にいるようなバチェロレッテだ。

スタンダードのトップである女性が、男性の一言一句に破顔したりチベスナ顔をしたりする様が見られるのは、バチェロレッテ3だけかも。

ヴィオラで殴るGiver・飯野和英さん

柔和さの中にキレのあるパワーワードを差し込み、ロレッテ1の杉ちゃんよろしく着実に刺していく感じが強者だ。
Giveを不言実行してから後で話を出していくところ、服選びの感性とストーリー性に論理的説得力があり、頭脳的にもかなり賢い方である。

一方、大型犬のような可愛さもある。
ションボリ顔で「ぼく寂しかったんだよね」と言われたら、私だったらその場でロキソニンローズを持ってくる。

懸念点はGive&Takeがいい塩梅で成立するか。
バチェラー4で秋倉父が登場したあたりから"Giver" "Taker"についてはSNS上で度々議論の的となり、多くの場合Giverの高潔さが褒め称えられている印象だ。
個人的に、自己犠牲型Giverのパートナーになることは一定の苦労をシェアすることと同義と思っており、遠くから見ている分には美しいが、当事者になりたいとは思わない。
彼の自己犠牲の精神が半分自分ごとになった時、亜樹さんがそれを重圧ととるか、成長機会ととるか、見ものである。

ラザニアを知らない筋肉・梅谷悠太郎さん

脳筋と思いきやEQの高さを感じさせるLDH風イケメン。
自己開示に躊躇いがなく、過去作の同系統参加者より言語化能力も高い。
しかし、山本さんが言ったように彼は常に強者として生きてきたところがあり、相手の深い部分に寄り添えるかは未知数だ。

SNSで物議を醸している割り込みには私は肯定的な立場だ。
彼は超名門野球部に所属していた男なので、自軍の特徴を1話時点で把握している。
守りのチームで攻撃に特化すればスタメンから外されないと分かっているのだ。

ただ、心を整える本って何?
マルチなどにハマらないことを祈る。

英語が理解できなかった牛飼い・小川哲郎さん

小テストを与えられて満点をとり続けているのに、本試験に進ませてもらえない不憫すぎる人。
踏み込みすぎず過剰でもない、シンプルな優しさが伝わる手紙が良かった。
逆襲する根性は持ち合わせているものの、Tier3からTier2への昇格で役割を果たしてしまった感がある。
そして亜樹さんが自分を恋愛の土俵で見ていないと気づいているからか、一人相撲をとるのはよしているように思える。

牛串生成AI・北森聖士さん

苦労人なのに飄々として見えるスマートさ。
表情が読み取れないが、彼は一つのことを突き詰めるより複数のチャンスを手広く掴むタイプで、その器用さゆえに無駄な動きはしないのだと思う。
見せ場は2on1になると思うが、熱量をそこに注ぐ準備はできていそうだ。
彼が亜樹さんに恋愛感情を持ちそれを伝えた場合、急上昇は果たして見られるのだろうか。

必殺セロトニン・櫛田創さん

安らぎときめき知的好奇心。
私の最推し(なので長くなります)。

グループの中でしなやかに立ち回れる彼は、クッション言葉の使い手だ。
対話において彼は「そうだね+こうしてもいいよね」と、共感とアドバイスを混ぜた言葉を発し、皆に安心と信頼を与えている。

研究の時は研究、運動の時は運動としっかり分割して没頭できるがゆえに、彼の恋人は自分にも少しリソースを割いて欲しいと感じるかもしれない。
会っていない時はお互いのことを忘れている、という同類女性でないと、我慢なくパートナーシップを築くことは難しそうだ。
(研究者同士の、友愛を含んだ恋愛の末の結婚が非常に多い理由はここにあるのだろう。)

亜樹さんと通じ合う根底には、理系特有の、ある程度の問題は努力で解決できるが自然法則は変えられないという諦念があるように思う。

サプライズローズを渡されるシーンは、ほぼ無言でありながら戸惑い、恥じらい、ドキドキ、全てが詰まった前半戦随一の名シーンだ。
エンディングは、彼自身の感情定義次第で決まりそうだ。

昇降しがちな男・坂口隆志さん

彼の失言地獄を放っておけない。
コスモスハイスペ櫛田さんに対し、坂口さんはカオスハイスペだ。
デリカシーがないというよりも、元来知識のインプットや変換に比べてアウトプットが弱く、即興で対話を紡ぐことが苦手な人なのだろうと思う。
服のセンス問題やアニメの台詞使い回しなど、随所に"陰キャの坊ちゃん"を感じさせる。
こんなにイケメンなのに・・・

凪の芝生に偶然咲いたたんぽぽのような彼は、このキャラにして"直感"で最後まで選ばれる可能性がある。
もはや存在しているだけで面白い。

人間してんなあ・山本一成さん

紹介Vを見た際、私も亜樹さんと同じように、コミュニケーションをテクニックでやり切っているような違和感を持った。
まさかそれがコンプレックスであったとは。
梅谷さんに対する「それは強い者の意見」という発言は、かつて対人関係において憂き目に遭った私の心に深く突き刺さった。
彼は持ち前の表現力と論理性、そして青春を対人コミュニケーション力の改善に費やしたのだろう。
彼のレジリエンスには驚かされる。

本編での数々の気遣い、フォロー、周囲へのボイパ指南。
彼にフォーカスしてn周目を観ると、人が好きで好きでたまらない良い顔にグッとくる。
そんな超絶魅力的な彼ですら、最強軍団バチェロレッテ3ボーイズの中では、早くも瀬戸際まで追い込まれている。
すぐにでも「亜樹さんが好きです」と言わなければ1話たりとも生き残れないはずだが、策よりも己と向き合う道を選びそうだ。
せめてAmazonさんには、彼の"散り際の美"を見せてほしい。

(終)

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