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またこの土地を好きになりました:【大地の芸術祭】

先日の夏季休暇に、新潟県越後妻有(えちごつまり)で開催中の【大地の芸術祭】へ行って参りました。

今回の訪問は、2012年に初訪問してから実に3~4回目。
私は芸術祭のボランティアサポーターである「こへび隊」として参加。
学生時代に初めて体験した時のあのワクワク感と、いろんな方々と出会う新鮮な気持ちを味わいたいと思い、今回足を運んだ次第です。

おひとり参戦だけど、行ってきて本当に良かった。
経験値より、やはり新しい人とアートとの出会いはかけがえのないもの。

帰宅してから、これが今回一番最初に感じたことでした。
たった2~3日の滞在にも関わらず、行く先々で初めましての人々とアート作品と出会えることはなかなかない経験です。
全てが印象に残り、かけがえのないものなので、覚えている限りをこのnoteに記していこうと思います。

大地の芸術祭について

大地の芸術祭は、2000年の第一回展から25年が経とうとしている、国内外問わず世界的に注目を浴びる芸術祭のひとつです。
第一回展から続く基本理念「人間は自然に内包される」は、幾度も自然の驚異を乗り越え、あるいは受け入れ、それでもなお自然からの恩恵に感謝しながらこの地で生きる人々とともにあります。

2024 公式ガイドブックより引用

越後湯沢から、ほくほく線で約30分、田園風景と山々に囲まれた中が芸術祭のエリアとなります。作品は点在していますが、どれもみなその土地に根差したコンセプトがあり、中には地元の方々とアーティストが共同で制作したものもあり、越後妻有ならではの現地だからこその感動を味わえることが出来ます。

2両編成の、芸術祭特別仕様のラッピング電車です

そして私が参加した「こへび隊」とは…

大地の芸術祭サポーター「こへび隊」とは、「大地の芸術祭」の里・越後妻有を舞台に、芸術祭を支えるボランティアです。作品管理、作品制作、お客様のご案内、ツアーガイド、雪堀り、農作業、地元のお手伝いなど、多岐にわたる越後妻有での活動をサポートしています。

世代・ジャンル・地域を超えた自主的な組織として、越後妻有や首都圏を中心に全国および海外から3000人以上が参加し、高校生から80代までの幅広い年齢層のメンバーが芸術祭を通じた地域づくりの担い手として活躍をしています。

サポーター活動は、誰かの保護・監督のもとに行われる「体験学習」でも、目標や規則、リーダーが存在する「組織」でもありません。それぞれが活かしたいことを発見し、責任と自覚をもって活動しています。

こへび隊HPから引用

学生時代にこの活動について知り、「行きたい!参加してみたい!」という強い衝動にかられたのを今でも憶えています。
今は薄れてしまっている、あの行動力が無ければ、この芸術祭の感動には出会えませんでした。

ただ単純に、地域と芸術アートがどう繋がっているのかをこの目で確かめたいという気持ちが強かったのかもしれません。

前回2018年にこへび隊活動をした際の写真。
ジェラートは地元の方のご厚意でした泣‼︎


一日目:まさかのイベントサポート

一日目は午後からのこへび隊活動です。
向かった先は、川西エリアにあるナカゴグリーンパーク。
「Nakago Wonderland-どうぶつ達の息吹と再生」
として作品を公園内に展開していました。

ナカゴグリーンパーク:ちょっとした高地にあり、高原のような清々しい空気でした。

そして私が他のこへびさんお二人と担当したのが、
中里繪魯洲「くるくるさんば」の体験型メリーゴーラウンドです。
期間限定(2日間のみ)で、実際に人を乗せて作品を体験してもらうイベントのサポートをさせて頂きました。

手前の赤いハンドルでゆーっくり回します
作品の木馬に乗れます!

大人が一度に2人まで乗り動かすことの出来るもので、
安全性などの理由から、お客様自身が動かすのではなくこへび隊が担当し、お客様をご案内するという流れでした。

なぜここで「まさかの」という見出しにしたのか。
これまでの経験上、そしてほかのこへびさんから話を聞いたところによると、
通常こへび隊の活動としては、古民家や空き家の作品受付,管理を担当することが多いのですが、イベントサポートすることはなかなかレアだそう。
貴重な経験をさせて頂きました。
こんな近くでお客様のご案内とリアクションを感じられるのも、これまでに無かったなと思います。なかなか面白かったです。
「私も乗っていいの!?」「恥ずかしいけど意外と楽しい」など新鮮な感想を直接お聞き出来てとてもモチベーションが上がりました。

半日だけの活動ですが、ずっと屋外でしたので、この日の温泉は最高でした!

五月女かおる「食事の風景」:牛さんが一列にお食事をしています
早川鉄兵「アニマルピクニック」:木漏れ日が良くマッチしていて、人工物なのに何も違和感が無いです。
岡本光博「トラロープ」:このロープは公園の外側の境界線へと続いていました。


二日目:やっぱり笑、ここに導かれました

二日目は終日の活動です。
向かった先は、十日町エリアの
鉢&美術館田島征三 絵本と木の実の美術館 です。

今回で3~4回目のこへび隊参加ですが、毎回一日は必ずこちらの場所を担当させて頂いておりました。
「やっぱり」とは安心するこの場所でまた関わることが出来、光栄なことです。

大地の芸術祭の中でも、オフィシャルツアーで必ず立ち寄るほど有名な場所ですが、今回は屋外のビオトープをメインにしていました。(新作の絵本がテーマになっています)

外観はいたって普通の校舎ですが・・・
まさに「空間絵本」の世界が拡がります!
流木などを利用した作品で、このモチーフは実は外側へ飛び出しています…!
(写真を撮影し忘れてしまいました)
いろんな装置が動き、または自分で動かしてものがたりの主人公気分になれます。
本当の植物です。
ちなみに反対側にはカレーが有名なcafeがあります。

やはり、何度見てもこの体育館の光景と、外観の校舎からは想像できないワンダーランドが中に拡がっているというギャップの面白さに感動してしまいます。

三日目:鑑賞者として楽しみます

最終日は鑑賞者目線で芸術祭を堪能します。
自家用車は持っていないので、あくまで公共交通機関と体力がある分だけを使って巡りました。

越後妻有現代美術館 MonET(モネ)

越後妻有を代表する美術館で、芸術祭の拠点としても多くの方が訪れています。道の駅や温泉もあり、かなりにぎわっていました。

この場所と言えば、中央の吹き抜け空間!
ここはだれでも無料で見れます。
レアンドロ・エルリッヒ「Palimpsest:空の池」
ターニャ・バダニナ「白い服 未来の思い出」
作者が越後妻有を訪れた際、畑で働く人々の姿に心を打たれ、地元の方々の野良着を集めて作品の題材としました。
近くで見ると、和紙など素材も多様で、文様も盛り込まれており、ある種の「デザイン」がほどこされているのに気が付きます。
クワクボリョウタ「LOST #6」:十日町は織物の街。工程で使用する道具たちがシルエットとなり、その手仕事の奥深さと独特な造形が印象強く残ります。
TSUMARI BURGER:妻有ポークのホロホロ食感がたまりません!


まつだい雪国農耕文化村センター「農舞台」

山間に突如あらわれるこちらは建築物としても魅力的。
オランダの建築家グループ・MVRDVが「都市と農村の交換」をコンセプトに、雪国ならではのつくりとして、1階を開放的なピロティとして設計しています。

四方に足のような構造物があり、建物が浮いているようです。
草間彌生「花咲ける妻有」:おなじみのこちらは周囲がお花畑になっています。
イリヤ&エミリア・カバコフ「棚田」:何度見ても、気持ち良く里山の光景にマッチしています。

最後に、
今回お世話になったこへび隊の宿舎「三省ハウス」をご紹介。
1989年に閉校したこの校舎は、再活用に向けての地域住民による熱心な活動により、2006年に宿舎として生まれ変わりました。
一般客も宿泊でき、作家さんなども滞在しており、イベントがあるとかなり盛り上がります。

この廊下をお子さんが走る気持ちが分かります!
タイミング良く、この日は「仮装盆踊り大会」。
地域住民の方も混じり、謡い、踊り継がれていくさまを目の当たりにして感動しました。
健康的な朝・夕食をありがとうございました!
初めて来たときから一目ぼれした、この場所から見る夕暮れ。
またこの光景を見に訪れたいです。

こへび隊の活動中、とある地元住民の方とお話しする機会がありました。
話を進めていくとその方は移住者。なんと築約160年の茅葺き屋根のお宅に住んでいるとのこと。
芸術祭の影響もあり、越後妻有や十日町の移住者は増えているそうですが、どうしても人口減少は防げないのだそう。
国内でもこの地域は特に、山や雪国、畑仕事に適した昔ながらの住宅が多く現存しているそうです。ですが人口減少とともに空き家となり、人が管理しなくなるともうどうしようもなりません。

そこで、解決策の一つとして、芸術祭の作品として空き家や古民家を再活用し継続的に引き継いでいく、という動きが大事になってきているとのことです。
頭で分かっていましたが、実際に地元の方からお話を聞くと現実味を感じざるを得えません。

ひとまず自分に出来ることは、この芸術祭を周囲の人に知ってもらうこと。
この土地で開催する意味を少しでもお伝えしていければと思います。

なかなか筋が通っていない文章となっていると思いますが、
最後までお読み頂きありがとうございました!

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