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腹八分で全部まわりたい「大阪食いだおれマップ」

食道楽の気風漂う大阪で、いちばんやってはいけないのが食い過ぎと飲みすぎである。食いだおれの旅と意気込むのはいいが、後半戦でスポーツ飲料と胃薬しか喉を通らなくなっては惨事だ。…これは経験者だから言うのである。

数日の旅行であれば、1日3食きっかり食べても旨い名店が尽きることはない。腹八分を肝に命じ、最終日までとことん大阪グルメを味わい尽くそうではないか。2023年GW旅行で舌鼓を打った大阪グルメを振り返る。

大阪旅行のはじまりは「かすうどん」

大阪旅行は、かすうどんから始まる。といっても過言ではないくらい、大阪に行くたびに最初に訪れるのが道頓堀の加寿屋(KASUYA)だ。

「大阪で最初にうどんかーい」と侮るなかれ、旅行者はもちろん、地元のヤンチャそうな男の子たちまでが大人しく行列に並んで、1時間待たされても食べたいと思う中毒性なのである。

かすうどんの「かす」とは、牛のホルモンを揚げたもの。それも脂が抜けるまでじっくりと揚げたもので、旨味だけが凝縮されている。ひと口スープをすすっただけでため息が出るほどだ。

道頓堀から徒歩2分という立地的にも、観光をはじめる腹ごしらえにふさわしい一杯である。

170年以上続く老舗の関東煮「たこ梅」

テレビで著名人もその名をあげ、高名な作家や文化人たちからも愛された大阪の名店「たこ梅」。日本一古いともいわれるオデン(関東煮)屋で、創業はなんと弘化元年(1844年)。

関東煮(関東炊き)という名がややこしいが、これは関西地方でオデンを指し、伝統の出汁を含んだ具材はどれも絶品。とくに名物の「たこ甘露煮」は必ずオーダーしておこう。

お気に入りの具はたくさんあるが、たこ梅で初めて知った「ワカメのおでん」がイチオシ。出汁をたっぷりまとったワカメをアテに飲むビールは最高だ。

大阪観光グルメの人気店「串カツだるま」

大阪「新世界」に本店を構える串カツだるまは、まあいつ見ても大行列の人気店。ほとんど入店は諦めていたのだが、ホテルに戻る道中、ラストオーダー少し前のタイミングで呼び込みをしているアルデ新大阪店の前を通りかかり吸い込まれた。

串カツが届くまでの繋ぎとして注文した「どて焼き」が驚くほど自分好みの味で、正直だるまで食べたおいしいものと言えば、こちらがまず思い浮かんでくる。

だるまのどて焼きは、2種類の味噌で仕上げたこだわりのたれで、牛すじとこんにゃくを煮込んだもの。濃厚な味噌と甘さのある味で、ちょびっと摘まむだけでビールがごくごくと進む。

あとはホテルに戻って寝るだけのはずが、夜遅くに食べる串カツの背徳感よ。腹八分を思いだし、おかわりは我慢した。

なにもつけなくてもおいしい「たこ昌」

お土産の冷凍たこ焼きでも大人気の「たこ昌」は、なにもつけなくてもおいしい門外不出の“秘伝のしょうゆ味”が特長。新大阪店は店内で食べることもできるが、これから新幹線に乗り込むひとたちがテイクアウトしていくお店としても人気が高い。

とろ~りとかかっているのはソースではなく、さっぱりとしたポン酢たれ。たこ焼き自体がしょうゆ味なので、甘酸っぱいポン酢とネギの組み合わせが最強だ。

大阪グルメがこってりソースだけでなく、出汁の文化も厚いことを思い出させてくれる明石焼き。今回の旅でしれっと2回来店した。

オーセンティックなのに気負わない「BAR AUGUSTA」

本当は教えたくないくらいお気に入りのバー・オーガスタ。梅田にあるオーセンティックバーで、ちょっと背伸びをした気分になれる上質でおしゃれなカウンター席メインのお店だ。全席禁煙というのも非喫煙者には有り難い。

夕方の5時からオープンしていて、早めの時間帯に行けばすんなり入れるけれど、入代立ち代わりお客さんが途切れることはない。おひとりさまも多く、カウンター席が埋まっていても穏やかな雰囲気ただよう癒しの空間だ。

バーテンさんが気さくに話しかけてくれ、自分の好みをいえばオススメのカクテルを作ってくれる。1杯目はひとつ覚えのギムレットを注文し、2、3杯目はバーテンさんにオススメを頼む。

そのうちの1杯は、必ずフルーツを使ったものにしてもらう。今回は、何とかミカン(オレンジ? 肝心の名前を忘れてしまった…)とバーボンのカクテル。「こんなのいかが?」と説明を受けているときから間違いないと思っていたけど、この組み合わせは一生忘れないなと今振り返っても感動的な体験だった。

締めだから欲望解放!「道頓堀 今井」

旅行最終日のランチとして、阪急うめだ店にある「道頓堀 今井」を訪ねた。旅行誌で必ず目にする大阪の人気うどん屋だ。

定番人気のきつねうどん。北海道産天然昆布と九州産さば節とうるめ節を使用した上品で旨味あふれる自慢のお出汁に、甘いきつねが華を添える。「鮮度が命」というこだわりから、出汁は決して作りおきしないのだとう。

…と、うどん一杯で気持ちよく締めたかと思えば、最後だからと禁じ手「丼ものとのセット」で注文。出汁にこだわるうどん屋さんの丼ものって間違いないですもの。

親子丼と悩みに悩んで、刻まれた甘いお揚げが具材になった「きつね丼」をオーダーした。甘めながらも上品な出汁でくどさがなく、一緒についてくる山椒入りの七味唐辛子がいいアクセント。帰りの飛行機ではいい夢が見れそうだ(というか、見た)。

これにて大阪くいだおれの旅、無事に完走である。途中で京都、神戸にも足をのばしご当地スイーツや食を楽しんだのだがこれはまた別のお話。

食いだおれの旅は己の胃袋との戦いだ。今回の成功体験をもとに、次なる旅路も食道楽の限りを尽くそうと思う。

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