#57 副作用歴「ロキソニン」から考えたこと
こんにちは。
薬についてちょっと詳しい人(薬剤師)です。
日々の業務で感じたこと、気づき、疑問をつづっています。
さて、今回は、業務中に出されたクイズから。
副作用欄に、「ロキソニン」と記載がある患者さんがいました。
先輩に、
「この人、アスピリン(NSAIDs)不耐症かもね。そういう時使うのってどんな薬で、逆にどんな薬がダメなんだっけ?」
とクイズを出されました。
アスピリン不耐症とは、アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)服薬後数十分~ 3 時間以内に現れる過敏症状のことである。喘息発作(いわゆるアスピリン喘息)または鼻炎を呈する気道型と、蕁麻疹ときに血管浮腫を生じる皮膚型に大別される。気道型では慢性副鼻腔炎や鼻茸の合併、嗅覚低下を示す例が多く、皮膚型は慢性蕁麻疹患者でよく見られる。
つまり、解熱鎮痛剤を使用して、「皮膚が地図上に広がり、かゆみを伴う」「急に唇、まぶた、舌、口の中、顔、首が大きく腫れる」、「喉のつまり」【皮膚型】、「息苦しい」、「話しづらい」「息をする時ゼーゼー、ヒューヒューなる」【気道型】というような症状がみられるような病態です。
この機序は、アレルギー機序に基づくのではなく、プロスタグランジン(PG)合成酵素であるCOXを阻害することによって生じる不耐症といわれています。
(解熱鎮痛剤の機序の復習はこちら)
アスピリン不耐症患者は、COX-1阻害に強く反応するため、COX-1阻害作用の強い解熱鎮痛薬に対して過敏反応が強く出る傾向にあります。
ここで注意しなければいけないのが、カロナール®︎(アセトアミノフェン)。
アセトアミノフェンはCOX−1阻害作用はほとんど有さないため、原因となりにくいのですが、高用量(1回500mg)で誘発する場合があるそう。
飲み薬だけではなく、貼付薬や坐薬でも起こりえるので、使用した薬を把握しておくことが大切ですね。
この過敏体質は、成人後に後天的に獲得されるといわれています。
今まで大丈夫でも、過労が誘因になりやすかったり、体調によって発現程度が異なったり、アスピリン喘息では鼻づまりや嗅覚低下などの副鼻腔炎症状があって発症することもあったりします。
薬には、良い面もあれば悪い面もあります。
効果を期待して服用しても、このように副作用が前面出てくることもあります。
その時に、一人ひとり、個別に対応できるようになりたいです。
今回のクイズの答えは、アスピリン不耐症の方には、アセトアミノフェン(500mg/回はキケン)、またはセレコックス®︎などの選択的COX-2阻害薬、塩基性消炎剤のソランタールでした。
疑問や質問あればお気軽にご相談ください。
▷あやこのお薬相談室
みなさんのヘルスリテラシーが向上するためのお手伝いが少しでもできますように。
参考:重篤副作用疾患対応マニュアル
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs、解熱鎮痛薬によるじんま疹/血管性浮腫)
非ステロイド性抗炎症薬による喘息発作(アスピリン喘息、解熱鎮痛薬喘息、アスピリン不耐喘息、鎮痛剤喘息症候群)
独立行政法人国立病院機構相模原病院臨床研究センターHP
BAYASPIRIN.jp
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