#43 肝臓が弱ったときには
こんにちは。
薬についてちょっと詳しい人(薬剤師)です。
日々の業務で感じたこと、気づき、疑問を綴っています。
検査値でいう肝臓にちょっと負担かかってるねぇ…と言われるときにウルソ®︎(ウルソデオキシコール酸)という薬が処方されることがよくあります。
ちなみにその時の指標は、ALT、ASTなど。
AST、ALT:肝臓が障害を受けた時に血中に漏れ出てくるる酵素のことで、肝臓のダメージの度合いを判断。だいたい40IU/L以下が正常範囲の目安。
いつもウルソ®︎をお渡しする時、
「肝臓の薬が出てますね。」
という感じでかなりざっくりとしか説明をしていないんですが、いざ、どういう風に働いて肝臓のダメージを軽減するのかを考えてみたいと思います。
まず、ウルソ®︎を語るには、胆汁や胆汁酸について知らねばなりません。
胆汁とは?
主な成分は電解質と水分。
その他胆汁酸やビリルビン(胆汁色素)、コレステロールなどが含まれている。
はたらき▷脂肪の消化と吸収を助ける。体内でできた老廃物、特に破壊された赤血球のヘモグロビンと過剰なコレステロールを排泄する。
胆汁酸とは?
肝臓でコレステロールを原料に生合成される胆汁中の主要固形成分
はたらき▷コレステロール、脂肪、脂溶性ビタミンを溶けやすくして、吸収を助ける。
大腸を刺激して水を分泌させ、内容物の移動を助ける。
なんとなく胆汁や胆汁酸についてわかりましたか?
ヒトの胆汁酸には5種類が存在していて、その中のウルソデオキシコール酸がウルソ®︎。
ようやくウルソ®︎の作用をみていきましょう!
①利胆作用
肝機能が低下し、胆汁の排泄が低下すると、肝内外に胆汁酸が蓄積。
すると胆汁酸の中でも消化器官を傷つける胆汁酸が現れ、さらに肝機能が悪化してしまう。
そこをウルソ®︎投入によって、胆汁量を増やして巡りを良くし、消化器官を傷つける胆汁酸を排泄することで肝臓のダメージを和らげる。
②置換作用
消化器官を傷つける胆汁酸から消化器官に優しいウルソ®︎に置き換えることにより、肝障害を軽減。
↓
つまり、ウルソ®︎は肝機能を修復するのではなく、肝臓のダメージを和らげるために用いられるのですねー。
今回は、「ウルソ®︎の働き」についてお話ししました。
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参考:田辺三菱製薬HP Medical View Point
ウルソ®︎添付文書
MSDマニュアル家庭版
薬局で使える実践薬学