空を見上げる。天駆けるあなたを想う。
最近、ふと空を見上げることが多くなった。
晴れの時も。雨の時も。
ふと。ほんとうにふと。
そして、思いを馳せる。
意識的に考える、ではなく
そっと心に浮かぶような。
彼は自由になれたのだろうか、と。
数年前、人は死ぬ瞬間脳内に大量のドーパミンが分泌され
最高の多幸感を得られるという記事を読んだ。
確かそれは、セックスで得られる数百倍の幸福感で、
神様が与えてくれる最後のギフトなのだと・・
死について考えるとき、私はいつも全身麻酔をした25歳の時を思い出す。
難しい手術ではないし命を落とすことはめったにない。
でも万が一が起こった時は仕方がないです、
という同意書にサインをさせられ、
いざストレッチャーに乗せられたとき、急に死を身近に感じて
なぜか涙が出た。もう2度と目を覚まさないかもしれないと。
そして、いよいよ全身麻酔をかけられ、
看護師にゆっくり深呼吸してください、と言われ、
大きく息を吸った瞬間に、落ちた。
あの一瞬、目の前が白くバチバチと光った。
気持ちよかったかどうかは覚えていない。
でも、明るいまばゆい光に包まれた。
もしあれが、死ぬ瞬間と似ているのだとしたら。
彼はこの世に別れを告げる瞬間、光に包まれたのだろうか。
クローゼットの中で最後に見た景色が、
闇夜に包まれた真っ暗な部屋ではなく、
最高の多幸感に包まれた明るく美しい光であってほしい。
考えても仕方のないことだけれど、
そんなことに思いを馳せる。
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