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しぬことが怖い

兄は「死」が怖くもないし悲しくもないと言った。

「死は誰しもおとずれるものである。ゆえに人が死を悲しむ時、それはその順番やタイミングについて悲しんでいるのだ」
とピザを丸めて一口で食べながら言った。

私がそれを見ていると、
「これが本場の食い方だ」
と言い張った。

私は子供の頃から「死」が怖くてしかたがない。

そのせいでできないことがたくさんある。
(格安飛行機に乗ること・スカイダイビング・高速道路の運転。それからなるべく余計な冒険はしないようにしている。近道・賞味期限が切れたもの・激辛料理など)

「"人はみんないつか死ぬし、人類の歴史なんか宇宙の観点から見れば、その長さは誤差にもならない"って思えば、何も怖くねーぜ」
と、兄は笑っていた。

私たちはその時、子供の頃にピアノのレッスンの帰りによく行っていた食べ放題のピザ屋にいた。

兄は、
「ここのフライドポテトは店側の罠だから、この段階でそんなに食べるなよ」
と、その日一番厳しい顔で私に注意をした。

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