藤の理
狭い夢の中 赤い影を背負い逝く者よ
血の跡を引きずりながら 怯え来るがよい
深い愛の底 白き宵に背き走る者よ
その闇で足掻き進み 明けを待つがよい
遠い夜の端 青い風を纏い駆ける者よ
その眼(まな)に光湛え 昇りつめてゆけ
全ての彩りを 拐(さら)い
儚さを装い あらゆる魔を祓う
淡藤色の吐息 甘美なる毒 それは清廉
全ての醜悪を 浄め
愚かさに寄り添い あらゆる魔を殺(あや)む
薄藤色の息吹 美麗なる毒 それは狂気
命の尊厳を 称え
醜さに愛を与え あらゆる魔と生きる
藤紫の讃歌 高貴なる毒 それは悠久