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春疾風(はるはやて)

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受験に失敗して文学部に入った女の子と、本が好きだけど将来の夢がなくて仕方なく文学部に入学した男の子のお話。
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#アフターストーリー

その後②

桜叶くんが作品を出品してから数ヶ月後のある日だった。いつもならトントンと一定のリズムで聞こえてくる足音が、今日はなんか違かった。

「深咲!深咲っ!」

リビングのドアを思い切り開けたかと思えば、息を切らした桜叶くんの声が部屋中に響いた。ただ事ではない雰囲気が部屋の中を取り囲む。何があったのか分からなくて、私はとても不安な気持ちに包まれて、無意識に眉をひそめていた。

「深咲。聞いてくれ。俺、やっ

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その後①

大学で私は、絵の上手い文学生として人気者になり、友達が徐々に出来始め、一人では行かないような店に友達と放課後に行ったり、新しい服を買ってみたり、色々なことをして、充実した学生生活を送った。相変わらずサークルには入らなかったけれど、絵だけは描き続けた。
文化祭の時は、実行委員の人からポスター制作や内装のデザイン案を任されたり、文芸サークルが毎年出している文集の表紙を描かせてもらったり、色々絵を描く機

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