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ごはんの話はどこまでも続く/有賀薫さん主催「キッチンの処方箋」へ行ってきた
レストランのキッチンで働いていた時は、料理が好きだったり得意だったりする人ばかりが周りにいました。
その後、ライターになって色々な人と知り合うようになると「実は料理苦手で」「好きじゃないんです」「面倒だし」という声をたくさん聞くように。
といっても、話を聞いてみると実はちゃんと料理されてるんです。毎日ごはん作って、自分や家族に食べさせてる。なのにものすごく理想が高いんです。
どうしてなんだろうなーと、つらつら考えるようになった時に、スープ作家・有賀薫さんのトークイベントにたどりつきました。
まさにうってつけ!とばかり、参加してまいりました。
ちなみに下記は1回目、夜に開催されたトークイベントの様子です。有賀さんご本人がまとめられています。
会場は有賀さんと俳人・あかばねめぐみさんの「365日のスープと俳句展」が開催されている、谷中のギャラリー「HAGISO」さんにて。
「クラシック節」というかつお節のお出汁を飲みながら、食べたものアンケートとともに自己紹介を。
料理教室の先生や海外歴が長い方、フルタイムでお勤めの方、小さなお子さんがいる方、ライターさん…と、共通項は今のところ「有賀さん」と「ごはんが好き」という2点のみです。
◆◆朝ごはん、何を食べてますか?
ある人の質問は「朝ごはんってどうしてますか?」。ヨーグルトやパン、フルーツなど毎日だいたい同じものを食べている、という答えが多い中、その方はパン・ごはん・おかゆなどなど、たくさんのバリエーションを出し、それに合わせたおかずも作っているとか。なぜか。
家族そろって食べられる時間が朝しかないから。
でも、食材や作りおきの在庫の関係で、まとまりのない献立になってしまうのが悩みなのだそう。確かに毎日献立が決まっていれば楽です。冷蔵庫の在庫管理も気にしなくて済む。それでも、ごはんの時間をより楽しもうと努力している様子が伝わってきました。
我が家では、家族そろって食べられるのはだいたい週末の夜。朝ごはんをだんらんに、という発想がなかったので、さっそく目からウロコが落ちました。
◆◆自分の味に自信が持てない
「料理はいつからするようになりましたか?」という問い。
これは結婚してから…という人が多かったですね。ある人は「親にきちんと習っていなかったからか、自分の作る味に自信が持てない」と言っていました。こう考えている人、今すごく多いと思います。私もかつて味に自信がなく、レパートリーもなかったので、「レストランで働けば作れる料理が増えるだろう」という安易な気持ちで働き始めたくらい。
ここでは「『味のゴール』を想像できるかどうかがカギになるのでは」という意見が出ていました。たくさんの料理を食べて、食材や調味料を知れば知るほど、めざす味に結びつきやすくなると。
確かに外食好きな人って料理も上手な人が多いです。料理上手な私の友人も「主婦にはたくさん外食させた方が良い。その分返ってくるから」と言っていたのを思い出しました。
◆◆最近の若い人たち
最近の若い人は…なんて説教を始めるつもりではありません。最近の若い人たちは料理に対して頑張りすぎだ、というお話です。
「子どもがごはんを食べてくれない」「好き嫌いが治らない」「もっと手をかけたいのに時間がない」「栄養が足りているか心配」
料理教室の先生は、受講するお母さんたちからこんな悩みを日頃からたくさん聞き「肩の力を抜けばいいのに」と思っているそう。
子どもの時に好き嫌いはあってもそれは嗜好の問題。大人になったら食べられるようになった、という人は大勢います。
「ごはんを食べてくれない」なんて、子どもに気を遣う必要もありません。栄養も、数日間でトータル摂れていればいい。
味付けについても、食材の旨みだけでごちそうなんですよね。必要以上に色々入れなくても、ちゃんとおいしくできあがると。
毎日のごはんで必要なことは「あること」
おいしいごはんを求めるなら、お店に行けばいい。レストランは一口目から「おいしい」と感じられるよう、日々味を追求しています。そのために色々な食材や調味料を加え、旨みを重ねて濃いめの味付けにしているところも多いです。
家のごはんは、そこを目指さなくていい。少ない材料でオーケーだし、凝った味付けにできないと悩まなくていい。「まあまあおいしい」で充分。
外食やお惣菜、市販品を買うのだってもちろんアリです。
まず、食べるものがある。それが一番大事なんだ。
有賀さんのこの言葉に「なるほど」と思いました。
先日発売された有賀さんのスープ本は使う食材も調味料も少ない。極力シンプルになるよう、そぎ落とされたものばかりです。このままレシピ通りに作ってもいいし、慣れてきたら自分好みに何かを足してもいい。すべての料理のベースとなるようなレシピなんですよね。
まさに「食べるものがあること」。
だから料理に対してハードルの高さを感じていた人がトライできるんじゃないかなと思います。
ついセットで入れてしまう”塩こしょう”も、それぞれの調味料としての役割を考えてみれば、必ずしもセットじゃなくていい。
「この調味料、本当に必要?」と頭を巡らせてみると、分かることがあるかもしれません。
使う調味料に意味を持たせ、自立させる
有賀さんがスープ本を作る上で大切にしたという考え。
わかりやすい「おいしさ」を求め、濃い味ばかりを作っていた私も、心に留めておきたいと思いました。
気が付けば3時間、ごはんをネタにたくさんのお話を聞き、話していました。とっても楽しかったし、実り多いひとときでした。出身地で変わる「おいしい」の定義。夫の料理。料理に対しての考え方やスタンスは十人十色なんだなと。
これから私は料理とどんな風に向き合っていこうか。
HAGISOにて有賀さんと。緊張気味の私。