他人に起こると大したことでないと感じても、自分に起こると恐ろしい
話し合っても解決しない。しかし仲直りしたいから、話すのを辞めて彼とディズニーに行った。急だったから取れたホテルは、浦安から離れた日本橋になってしまったがそれも楽しみだった。
閉園にはすっかり仲良くなって、ホテルに着いたのは深夜12時。彼はシャワーを浴びてから筋トレを始めた。
その様子を伺いながら私は何枚も「カシャカシャ」と写真を撮る。
その時ふと、違和感に気づいて写真を見ると白い煙が沢山、映っていた。
「ちょっと待って、これ見て?」
彼に見せると、彼は画像を拡大した
沢山ある白い煙の中、全てに顔があるのだ。
二人で目を合わせるが、声が出ない。
……………
数秒の間。
その後、部屋の電話が鳴った。真夜中の1時半にである。2人は止まったまま動かない。
鳴り終えたところで、ベッドの横にある額を外す。裏を見ると、「Looter had been here!」と墨かマジックか、太い黒いインクで堂々と大きく書かれていた。
「御札は付いていなかったけど、これ。」
裏返した額を彼に見せると、彼は腰を抜かした。
………………
「ヤバくない?」
私の言葉に彼は、
「りりい、ちょっと待って、今考えている。」と返す。
彼が何を考えているかは分からなかったが、混乱していたのだろう。
「部屋、変えてもらってよ。」
深夜1時半、フロントが対応してくれる時間帯ではない可能性もあるが、私は彼に頼んだ。
「なんて言ったらいい?俺怖い、どうしよう。りりい。」
大きな体の彼は震えて受話器を取れない。
「彼女がこの部屋怖いって言うから部屋変えて。って言って。」と私は彼に伝えた。受話器を取った彼は何度も「すいません」と言い、「この部屋の額縁になんか書いているから、部屋を変えて」とフロントに伝えた。
………………
その後、機嫌の悪いフロントの人が私たちの部屋に来て、上の階のツインルームに案内してくれた。
壁側のベットの横には同じ様に額に入った絵があったが、私たちは見ないことにし、隣のシングルベットに二人で寝た。
眠ろうとすると彼が、「りりい、取り憑かれた?」と私を叩くから結局、朝まで一睡もしなかった。
途中、パソコンのキーボードを叩く音がして、彼と手を握りあった時もあったが、それ以上のことはその部屋では起こらなかった。
………………
朝6時、私たちは直ぐに帰宅した。そして家の周りに大量の塩を撒いた。
この話を聞いて下さった人たちは、「そんなことくらいで。」と思うかも知れない。しかし、自分の身に起きるととんでもなく恐ろしい。
10年以上も前のことだが、思い出すと今も強張り、彼と連絡を取り合う。
ただ何毎も他人に起きれば、「そんなことぐらいで」と気に求めない。
例えば、既読スルー、悪口、無視、
「放っておけば」となるが、本人にしてみたらとんでもない苦痛だろう。
指を折った先輩が痛すぎて字をかけないと言うが、「そうなんだね」で終わる。
しかし、自分に起こるとすごく辛かったりする。
旦那からのプレゼントに喜ぶ友人に対し、「それくらいの気配り普通でしょ」と思うが、本人には至極の喜びだったりもする。
………………
私たちにとっては、この世のものと思えないほどの恐ろしい恐怖体験だった。
「わたしの旅行日記」とのお題に対して準備したが、旅行日記より怖かった思い出になってしまったから、応募を控えたい。
とても嬉しいので、嬉しいことに使わせて下さい(^^)