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会社が成功を収めるために、一人だけが働けば良いというわけではない。

株主総会当日、パワーポイントの操作を一人で行いつつ、音響の調整をし、役員並びに弁護士、銀行員の案内をする。
全てを一人でこなし、同じ部署の人たちは株主との立ち話に夢中。
株主と言っても巨大ファミリーの自社は、殆どが役員や従業員の家族、退職した従業員達。ワイワイ、ガヤガヤ、年に一度のお楽しみ会。

反面、プライム市場の巨大企業だからたまに一般人もご来場される。
だから、法に沿った通常の運営は当然の如く必要で、私一人がそれを熟していた。もはや当初決めていた役割分担は、無意味で全て私が持っていた。
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なぜこんなに頑張っているのだろう。そう思い、集中に少し隙ができたとき、
ピンヒールの踵が小さくコードに引っかかった。画面が一瞬、黒い線で覆われ、課長がつかさず私に注意する。
謝罪しながら、心の中は「あなたの仕事を請け負っているのに、なぜ怒られないといけないのか。」「なぜ誰もありがとうを言わず、もっとやれ!となるのか。」疑問で溢れ、ただ虚しかった。
既に気持ちのキャパを超え、目の前に写る光景は、遠い国に見えた。そう、自分だけがいない世界。
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株主総会が健全に運営されるために、準備が不可欠。
しかし、その準備は、一人だけが完璧にこなせば成功なのだろうか?
仮に成功だとして、雑談する方が評価され、働く者が怒られるのは何故なのだろう。

私はもう、お腹いっぱいだった。

この株主総会の前日に後入りの同僚が退職届を出し、一週間前に新入社員が退職した。
あのときの寂しそうな二人は今の私だろう。あの二人が気力と優しさを使い果たしたあと、去る前に残してくれた笑みが哀しかったなぁ。
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会社によって、仕組みは違う。また集まる人によって雰囲気も違う。だから決してファミリーカンパニーそのものを否定するわけではない。とりわけ、ハブキなんてどんな会社にもどんな組織にもある。普通の日常。
しかし、それが家族となると、輪に入る余地はまるでなくなる。働かない暇な家族が共通の話題として選ぶのは、家族毎に分断した部署(総務部は社長一家、人事部は社長婦人一家など)が一体になるための、後入り従業員へのイビリやハブキかもしれない。
家族以外の一名をハブイては入れての繰り返し。

まるでドラマの中の嫁イビリだと思った。
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株主総会は完全な形で終わった。その後の六本木ヒルズでの祝賀会に、私は行く気力もなく、輪に入れる雰囲気にもない。
行かなければ怒られる。それでも行ってアウェイよりマシだった。

家族一体で夢を実現し、楽に賃金を獲得するのに必要なのは、一所懸命な後入り。イビリにも、話題のネタにも、業務にも好き放題使えるのだから。

6月に迫る株主総会を準備しながら、今年も頑張って働いている若手がまた一人去っていく時を感じている。
どうにもならない家族文化だとは知らずに入った、優しい子達の悲しみが、いつの日か途切れて欲しい。あのときの自分が寂しかったから、他の子たちの苦痛、よく分かるから、もう入れては辞めさせの文化がなくなってほしいと願う。
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皆様✨今日もご閲覧いただきありがとうございます。

関東は桜が散り始めて、満開は一瞬でした。今日も皆様のところにお伺いさせて下さい。

とても嬉しいので、嬉しいことに使わせて下さい(^^)