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【ステイ・ホーム日記3】4月9日

ここしばらくの間、朝目が覚めてもなかなかベッドから起き上がれない。twitterを眺めて、ベッドの中でゴソゴソ、ゴロゴロしてから”あぁ、もう起きなきゃ(このままこうしてたら後から後悔が襲ってくる…)”意を決してベッドから抜け出す。ぼんやりした頭で伏せていたデジタル時計を元に戻して(わたしは夜寝る時は時計を隠して寝る)、窓を開けて換気し、日めくりカレンダーをビリビリと破き、花瓶の水を換え、白湯を沸かすのが朝のルーティーン。朝は少し肌寒いけれど、そのまま日中は窓を開けて過ごしている。うららかな春の日差しや空気が部屋に入ってきてとても気持ちがいい。外の空気を半分吸い込んでる気分。(毎日家でひとりで過ごしているから)幹線道路を走る車の音やゴミの回収車の音とか、街の営みの音を聞くことで、(わたしと)外の世界との細いつながりを保っている。朝はこんな都会でも鳥のさえずりが聞こえるし、昼間は近所の子どもたちの遊ぶ声が聞こえる。縄跳びをして遊ぶときの、ビュンビュンと縄が風を切る音がすぐ耳もとに聞こえたときはびっくりした。家々がぎゅっと身を寄せ合って暮らす住宅街ならではじゃないかな。こうやって生活の音に耳を澄ます日々がくるなんて思ってもみなかった。でも同時にそれだけ自分の周り(今なら2メートルのソーシャルディスタンス)の音を聞いてこなかったんだと気づいた。こうして時間とともに太陽が動いていくのを感じながら1日は本当に穏やかに過ぎていく。昼間ポカポカと暖かくなると、どうしてこんなに気持ちがいい時季に家にこもっているのかよくわからなくなるバグが起こる瞬間もある。1日の穏やかさとは対照的にわたし自身は仕事や自分のことに追われていて、気持ちは焦る日々。

昨日とおとといのスーパームーン。わたしは下北沢駅からの帰り道に見上げた空にやけに大きな月を見つけて、今日は満月かなって思った。家に着いてから”今夜はスーパームーンだよ”とLINEをもらって、ベランダに出てもう一度月を見上げた。月のロマンティックなところは、距離が遠く離れていても同じ月を見られることだと思う。離れていても同じものを共有できるって月以外にある?(月と同じように太陽や星はそうかもしれない)。それぞれに同じ月を見て「きれいだね」って言い合える、月のそういうところがロマンティックだと思う。ステイホームな日々が始まって、いろんな人が自分の得意なことを生かしてインスタLIVEやYouTubeライブをしていて、ポジティブなパワーを分けてもらっているな、と感じる。家にいる時間を前向きに少しでも楽しく/ひとりで過ごしているひとたちが寂しくないように/自粛要請の中で新たな経済の活路を開くために/それぞれに(必要に迫られてではあるけれど)トライしていて、このムードがアフターコロナの世界につながっていくんだろうな。それで、インターネットでこうしてつながれることって、月のようだなって思った。インターネットは存在しない(クラウド上にある)けれど、みんなで1つの場所にアクセスしてそれを共有しているのって、離れた場所から同じ月を眺めているのに似ている。このステイホームにインターネットがなければ、今の100倍つらい日々だったんじゃないかと思う。ひとと会って直接会えないけれども、インターネットがあるからzoomで顔を見ておしゃべりもできるし、インスタLIVEやYouTubeライブでみんなで今この瞬間を共有できるし、ネットフリックスでいろんなコンテンツを楽しめる。この高度なテクノロジーがもしかしたらコロナウイルスを招いてしまった一因、もしかしたらそうかもしれないけれど、人間が生み出したテクノロジーによって離れていてもひととつながれるようになったことはポジティブに捉えたい、今は。スーパームーンを見て、そんなことを考えていた。

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