一万字の愛を込めて。パリオリンピック開会式のザ・フランスまとめ
こんにちは。
福岡でテレビショッピングを中心に映像ディレクターをしている別府です。3児の母、共働きのフリーランス。
私は大のフランス好き。
過去、約20年前にフランス留学し現在は日本在住ですがフランス贔屓によるパリオリンピック開会式の全てを残したいと思います。
現地時間の26日午後7時半(日本時間27日午前2時半)から約4時間にわたって開かれた開会式(日本との時差はサマータイムで7時間、通常8時間)の、映像や演出をまとめました。
あれ?始まりからスタジアムから!?
物語の始まりはスタジアムの映像。
おや?事前情報ではセーヌ川での開会式では…?
映し出される動画、スタッド・ド・フランス(Stade de France)はパリ近郊にある国立競技場。今回のパリオリンピックで陸上競技などのメイン会場から始まり、これまでのオリンピック開会式の歴史フィルムイメージが流れます。
そして、20年前に日本でも流行った映画アメリの八百屋さん役でも知られるパリ出身のコメディアンジャメル・ドゥブーズ(Jamel Debbouze)さんが聖火のトーチを持って登場。
(映画アメリ好きだった私は、久々のご活躍が嬉しかったです)
しかし、彼が入場したのはなんと誰もいないスタジアム!
場所を間違えた?かのようなおちゃめ演出、そして「パリオリンピック2024はセーヌ川で行われる」という世界中のニュース映像が次々よぎり、ガーン!(ビリビリエフェクトも遊びで追加されている入り方もオシャレ)
そこにあの元サッカーフランス代表のジネディーヌ・ジダン氏がスーツ姿で登場。1998年W杯フランス優勝に貢献したフランスの英雄が聖火を受け取ります。
ジダン(親しみを込めてこう呼びますね)がスタジアムを出て街中に飛び出すとカラフルなクラシックカーがたくさんあるパリ。
1964年の有名な映画「シェルブールの雨傘(Les Parapluies de Cherbourg)」のような美しい街中にカラフルな衣装のパリジャンたちが早速美しい!
え、たった数十秒の魔法、これで全然序の口。
走るジダン。カフェテラスを抜け公園で遊ぶ3人の子供たち、パリらしい景色が続きます。ああ、フランスでオリンピックがいよいよ始まるんだなという感激で胸が高まります。
パリの代名詞"メトロ"
そんな子供たちを抜けジダンは地下鉄の中へ。
数々の映画の舞台にもなったパリの代名詞メトロ、1900年に美しいアールヌーボー建築で作られた入口を颯爽と入って行き切符をゲット。
ちなみにこの紙のメトロ切符、パリ観光のお土産としても馴染み深い定番ですが、実は2024年9月21日には無くなってしまう哀愁の切符!
今後はアプリの電子化に移行されるという時代の流れ。
これをここでカメラでしっかり残すところがにくい演出でした。
メトロ駅構内の疾走シーン。
あのパリメトロを一度でも経験したことのある人なら思い出すような鼻をすえるような独特の匂いが浮かぶような質感。白い煉瓦風の壁にまたセンスが良いオリンピックポスターが貼られている背景がまたすっっっっごくパリらしくて。
地下鉄に乗ると、車内が暗くなり電車は停止。戸惑うジダン。この辺もすぐにストで止まるパリの地下鉄を自虐的に感じさせる演出で嗚呼これぞ巴里。
カタコンブ、地下墓場での妖艶さ
追いかけてきていた3人の子供たちに渡った聖火。
ストーリーは地下のペタゴンブの中へつながります。
パリにある世界最大規模の地下墓地『カタコンブ・ド・パリ』とは1800年前後に移葬された多くのパリ市民が眠る墓地。人骨が並ぶ様子は圧巻です。
(ちなみに以前ブラタモリでも紹介されたカタコンブ。ブラタモリによると昔々、下水排水が不十分だったパリの都市環境、その名残がカタコンブに残っているという。パリの発展に欠かせないこの場所をしっかり入れてくるあたり流石の構成でした。)
暗闇を進む子供達と人骨の山がさながらインディジョーンスのよう!ワクワクする展開が見もの!
そんな地下墓場内の地下水運。
そこへオペラ座の怪しげな旋律からフードをかぶった謎の人物が乗る船が子供たちの前にやってきます。(この仮面の人が今回の開会式の鍵)
ここで事前制作のオープニング映像が終わります。
スムーズでおしゃれ感のあるカメラワーク、テンポが良く無駄のない編集、映画のフランス、ここまでの映像が高級メゾンCMのような上品さと遊びが融合して観るものを惹きつける力が素晴らしかったです。
生放送のライブ映像に繋がりマクロン大統領とIOCトーマス・バッハ会長の紹介に続きます。
フランス愛が止まらない、トリコロール爆発
各パートではテーマが現れますがここでは「Ça ira(サ、イラ)」。
後々世界中で物議を醸したマリーアントワネットの生首シーンにも登場する曲名のタイポグラフィが登場。(今回のフォント個人的にはかわいくて好き)
そして生放送リアルタイムのセーヌ川に移り、子供たちと聖火の人がパリを駆け抜けます。
タイミングを同じくして近くにあるオステルリッツ橋にフランスの国旗で有名な三色のトリコロールの煙がパン!と橋の上に上がります。
このトリコロールが最初のリアル演出。フランス人の愛国心をくすぐる街なかでのパフォーマンスがなんとも素敵。
さらに中継で映るのが、古くから変わらない建物の窓から見ている観光客やパリジャンたちの盛り上がり。壁には世界中の国旗が並び、河岸にもたくさんの観覧者たちが楽しそうな様子もカメラが抜いて行きます。
ああ、祭典だなぁ〜!
この動画と中継の映像バランスもすっごくちょうど良い。
配信スイッチャーの上手さが計算しつくされたプロの仕事だと思いました。
キャバレーやカンカン、古き良きフランスの華やかさ
続くテーマは「Enchanté(アンシャンテ=はじめまして)」。
アコーディオンを弾く1人の男が橋の上に。細かい演出が光る。
さぁここで最初の入場国ギリシャの船が登場!
次に難民などで選手登録する選手団37人の船。
(ちなみに入場?順はフランス語読みのアルファベット順)
右岸にカメラを向けると川に降りる階段を使ってレディー・ガガ登場!
キャバレーなどの演出も過去行っている縁もありフランス代表曲を現代風にアレンジした曲に、ピンクの羽と黒と白の衣装。とてもインパクトのある力強い歌声と、華やかな音楽で楽しませてくれました。
そしてムーラン・ルージュ総勢86人男女ダンサーによるフレンチカンカンはピンクの衣装でこちらも古き良きフランスと今のファッションの融合。
キャバレーとカンカンのピンクの衣装はやはりセンスがずば抜けていて、さらにこの2つの「定番」を持っているフランスの強さを感じました。
ノートルダム大聖堂、伝統と革新、力強い復活の息吹き
次の動画演出は2019年のノートルダム大聖堂火災からの再建工事。
パリ市民、いやフランス国民にとってもう心の支えのようなこの場所が燃えた時は大変なショックとして受け止めらました。
ここの力強い描きようは素晴らしく必見です。
実際にノートルダム大聖堂に上がった男女職人たちはゴールドと燻んだシックグレーの作業服を身に纏い、その作業音がリズムに刻まれ現代風のクラブミュージックへ。
リズムに呼応する縦横無尽なカメラワークとダンサーの動きがカッコ良すぎる!!
今回は史上初の男女同数の出場枠ということで男女・人種などが平等に扱われている印象があり、このノートルダム大聖堂シーンも中心は女性の職人で見ていてカッコいいなと。さすが平等の国フランス!
高級ブランドヴィトンやオペラバレエ、圧倒的な伝統と品格
圧巻の動画演出からの、ジップラインで左岸から右岸へ渡る聖火の人ライブ映像、そして再び動画へ。パルクールでパリの建物群を進みルイ・ヴィトンの工房へ入ります。
このリアルと収録の編集の妙。
これが4時間、セーヌ川を中心に広範囲で繰り広げられるという…
演出スタッフの心労やいかに…汗 何もしてない私も胃が痛くなる凄さ!
さぁ、ヴィトンの鞄作りを行う職人たちの手元と工房の奥行き感たるや。
そしてリズミカルな音楽、聖火の人の縦横無尽な動きが相まってもはやこれはヴィトンのCM!
ちゃっかりヴィトンの代名詞であるデカい特別感のあるケースが次々登場。
知っている人は知っている引き出しや特注感のあるヴィトンといえばこの旅行鞄!もうニタニタが止まりません!
これらを現場リアルにトリコロール柄のスポーティな服を着たドアマンが運びます。
彼らの衣装と、男性たち自体のまぁ美しいこと!
筋肉隆々でしなやかで見事なダンス。たった数秒だけどこれだけでパリ撮影のMV1本分感じるほどの贅沢さは必見です!
やがて聖火の人が到着したのはフランス造幣局。
ここで今回のオリンピックメダルが作られるイメージへ。
ここもメタリックな金の作業着を着た人が熱したメダルを水に浸けて黒とグレーの世界にブクブクと泡に映える金。カラーコーディネートが過ぎるわ…
ちなみに今回のメダル中央エンブレムにはエッフェル塔の改修工事で使われた廃材が一部が使われているそう。エコやリユースを謳うナチュラルオリンピックを体現しています。芸が細かい!
そんなメダルがヴィトンの鞄に入っているケースに入っていると言う設定。
パリ市庁舎の上で踊るのは、パリオペラ座エトワールのギョームさん。
茶色の衣装で、ここまでのゴールドのイメージに茶色の肌色に似合う!
バレエがまた美しいの。
超美しい。しなやかな肉体から溢れ出る美の鼓動。
踊る様子の後ろにセーヌ川とパリ市の旗。
時同じくしてセーヌ川河畔では、躍動感のある男女職人のダンスが繰り広げられます。水場で水を跳ねながら力強い拳唸るダンス。そして最後はペアでハートを作る茶目っ気のギャップ。
もうなんやねん、メリハリが過ぎる。
まじでセンスが2周も3周もしている!
世界の度肝を抜いた過激さ、勝ち取った自由の誇示
次のテーマはLiberté(リベルテ=自由)。
聖火の人が次に入ったのは19世紀レ・ミゼラブルの舞台上。
演じられるドラクロワの「自由を導く民衆の女神」シーンからフランス革命を彷彿とさせます。
続いて中継はコンシェルジュリー。
フランス革命でギロチンにかけられた王妃マリーアントワネットの生首を持つ首だけの赤い衣装の女性たちが窓から歌いながら、フランスのメタルバンドGodzillaの演奏というぶっ飛んだ演出。
ミニ花火が飛び交い、最後は赤いリボンがスパーク!
さすがに処刑された場所でこの演出はどうなのよ、フランス!
しかしフランス人にとってフランス革命は超重要。
貴族同士のいざこざが絶えず、財政難、重税の苦しさと人権も無い厳しい封建社会で一般庶民が自由を勝ち取った歴史的な出来事。
マリーアントワネットは若くしてフランス王ルイ16世に嫁ぎ、処刑まではちゃめちゃしているけど苦労もあってそれだけで語り出すと終わらないくらい私も大好きな女性なので感慨深い…
フランス国旗が表す「自由平等博愛」が何より大事な国民性、激しいのだ。
アムール(愛)と美のフランス
続いては国立図書館。
(いちいち施設が豪華なだけで見応えありまくり)
3人の男女が現れ、愛や性に関する本を見せ合い自由な愛を謳歌する姿を描きます。
カラフルなハートを大胆に使った衣装と様々な性別、性的思考の自由さを意味シーンが続き、ポンヌフの上で踊る男女共にスカートを履いてアクロバティックなダンスを繰り広げるダンサーたち。
また場所がポンヌフという橋というのがまたにくい演出。
どうしてもフランス映画「ポンヌフの恋人」を思い出します。
足を切断したホームレスの若者と失明の恐怖に怯える女子美術学生の親愛の物語です。
もうその映画がまた素晴らしすぎる傑作なんで思い出しては涙が…
もうひとつのフランスの現実、移民と格式の複雑さ
続いてテーマはÉgalité(エガリテ=平等)。
ポン・デ・ザール(Pont des Arts)の橋の上で、フランス共和国親衛隊の演奏部隊がルーブル美術館の前から花火とともに通ります。
(だからいちいち出てくる舞台が絵になり過ぎる!)
聖火の人が床に火を着けると花火が伸びてその先には、マリから家族で移民としてフランスにやってきたシンガーソングライターのアヤ・ナカムラの姿が。
フランスで最も聞かれた代表曲ジャジャ(Djadja)をクラシックな衣装の親衛隊が奏でる演奏で。
演奏部隊が身体を揺らしながら演奏する様子とアヤ・ナカムラの黄金の衣装とダンサーの融合がすごく現代フランスを象徴しているなと。
彼女はアフリカ系移民で、彼女たちのような移民はフランス全土にいて世界的にも移民はナイーブなテーマ。
それを親衛隊の演奏と一緒にするという斬新な演出、このミスマッチが逆に心地よく感じるお互いプロの仕事が心地よい時間でした。
ちなみに本名は私もアヤナカムラなので勝手に親近感!
フランスにいた時にサウジアラビアの友人が「アヤという名前はコーラン(イスラム経典)の章の名前になっていていい名前だよ」と教えてくれて、イスラムやアフリカでも結構メジャーな名前らしいです。
日本と全然関係ない!
芸術の都パリ、映画発祥と絵画の本場
さて。
聖火を持ったパルクールの人、ルーブル美術館の中を移動していきます。
様々な絵画から人が消えている演出がクスリと思わせる、でもCG班、大変だったろうなあ…絵画から抜け出たイラストの人々が窓の外を覗いていて観るとセーヌ川に再び選手入場。
このルーブル美術館内でトーチを持って移動するなんてフランスのオリンピックでしかできない!
セーヌ川の上には、絵画から抜けれた人々のオブジェが川の上に浮いていると言う演出が。この「なんじゃこりゃ演出」嫌いじゃない…
センスは一周回ってなんでもありなのである。
再びルーブル美術館の中、モナリザの展示のあたりで、モナリザの展示が盗まれていると言う動画。(ちなみに過去1911年にも盗まれたことがある)
雨が大降りになってきた屋外、選手入場の船たちの上。
雨に濡れながらピアノで弾かれるのは、フランスの代表的な作曲家たちの編曲でドビュッシーを感じさせる曲もありとってもオシャレ。
するとスクリーンが現れて、映画の都フランスの世界。
映画を発明したフランスのルミエール兄弟がフランスにちなみ気球に乗り込み(気球を開発したのもフランス人)星の王子さま、ジュール・ベルヌのモノクロ映画、月世界旅行などフランスの SF作品へのリスペクトの愛溢れる動画が素敵!
急に映像が止まり、川の中に入っていく潜水艦。
その中でオリンピック競技をする可愛いミニヨンたち。
ミニオンが盗んでいたモナリザの絵画がライブの映像で川の上に流れているつなぎ。
あれ、うまくまとめようとしている!?
これまできたらモナリザが燃えたりしてもおかしくないくらい破天荒な世界観ですが、まあ川に雑多にモナリザが浮かんでいる演出もだいぶ雑ですね笑
ジェンダー平等、力強いフランスの女性たち
カメラがひいていくとオペラ歌手。フランス国旗を模したドレスを身に纏っていて今回のドレス全般はDiorらしくてさすが美しいトリコロールの気品溢れるドレス。
そして、フランスの歴史を作ってきた10人の女性たちの像が次々と出てきます。
パリには260の男性像が置かれている一方、女性像は40程度にとどまるそう。この像はこの後パリ市に贈られるそうです。
次はグラン・パレの上で歌う伸びやかな力強く素晴らしい女性オペラ、声と盛大な歓声。アレクサンドロスの橋上では34人の女性コーラスも。
実はフランスの象徴として「マリアンヌ(Marianne)」という女性像が使われていて文化や芸術など女性が象徴として描かれています。
男女平等を謳うパリオリンピックの大切な演出。
まじめなこともちゃんとやってたんです!!
現代フランスの軽やかさが押し寄せる
次のシーンテーマは「Sportivité(スポルティビデ=スポーティさ)」。
そこでやっと日本の選手団が入場。
旗手はフェンシングの江村美咲さん、今大会で採用のブレイキンからShigekixさん。
背後のセーヌ川舞台では中世カツラや帽子、ビエネッタみたいな襟の白い衣装を着たブレイキンの選手でありオペラ歌手のでもある(スキルが大渋滞)ヤコブ、ヨゼフオリンスキさんなど数名がダブルダッチなどで盛り上げます。ああダブルダッチ、昔小学校の時流行ったな…というアラフォー世代。
雨の中、このようなパフォーマンスを撮影するカメラマンの手持ち撮影の手腕にも注目です。
次にフランス人ラッパー、トントンと呼ばれ親しまれるRIM'K(リムケイ)さんがフランスの現状をラップで歌います。
結構、現代フレンチポップスってラップとかストリートっぽい感じとかR&Bみたいな曲とか色々あるんですよね。選手入場のこの船演出は6キロ40分の距離を進みますが、この中間で流れるのは、普通のフレンチポップス。
伝統的なフレンチもあり、アフリカ系など混ざった音楽もあり。
平常運転のフランスを垣間見られて良いなと思いました。
物議を醸したLGBTファッションショーの怪演
ここで世間で大変な物議を醸した祝祭ファッションショーが始まります。様々な人種、ファッションの人々の中を歩く衣装を見にまとった人々、これがなかなかの尖っぷり。
一説にはキリスト教の最後の晩餐を侮辱すると批判がありIOCが公式に謝罪するということで大いに話題になりました。
この演出を世界中がライブで見守るイベントで企画実行できちゃうフランスの凄さ。やっちゃえフランスの振り幅がえげつない。
NU(裸)を歌うシーンはもう通り越して笑ってしまったけど…
私たちは何を見せられているんだ…
疑問を投げかけてこその芸術、という解釈。
本当にそういう意味ではかなり頭がグルグルする内容でもうお手上げ。
極めすぎた結果迷走するような、それを良しとするような混沌。
EU多様性の中の統合。
映像の乗った船の上にたくさんのダンサーがダンス、その中心にEUのマークダンサーには障害のある人も含まれ、もうお祭り騒ぎ!
自由な現代風の服装で一糸乱れぬダンスは圧巻!
あと、サーフィンは今回タヒチで行われるので、タヒチからの中継の映像も。天気が良く笑顔の微笑ましいタヒチが平和に見えるこのバランス感覚。
そして今大会から必ず演奏することに決まったらしいジョンレノンのImagine。ソフィア・ノヴァマールさんの歌唱、ジュリエット・アルマネさんが燃えるピアノを弾きながらの演奏は幻想的で夢のような景色で観客を魅了します。
ついに祝祭はフィナーレへ
次のテーマは「Solidarité(ソリダリテ=連携)」
メタリックで機械的な馬に乗ったオリンピックの旗をまとった騎士。
近代オリンピックの父、フランス人のクーベルタン男爵、がその復興のシンボルとして描かれる映像とリアルタイム映像が交互に。
ついにイエナ橋に到着した白い騎士、続く参加国国旗を持ったボランティア旗手。
騎士がオリンピック旗を掲揚台へ持参、トロカデロ広場会場にて演奏はフランス国立管弦楽団放送、合唱でフランス国立放送合唱団空にて儀式開会式で定められている式典がここで行われます。
トーマス・バッハ、オリンピック会長、フランスのマクロン大統領の挨拶のあと、再びサッカーのジダン選手、テニスのナダル選手など24名のフランス人オリンピアが最後の聖火リレー。
最初のガス気球があがったと言われるチュリルイリー公園にてついに聖火の点火!あがっていきます!
本当に本当に最後はセリーヌ・ディオン!
エッフェル塔にいたのはこれまたDiorの衣装を着たセリーヌ・ディオン。
エディットピアフの代表曲「愛の讃歌」を熱唱!
この歌詞がまた最高に良いのですよね…あなたの燃える手であたしを抱きしめてただ二人だけで 生きていたいのただ命の限り あたしは愛したい命の限りに あなたを愛するの 頬と頬よせ燃えるくちづけ交わす ...
確かに燃えっぱなしの開会式だったけど、平和の祭典にふさわしい、愛の讃歌。彼女の圧倒的な歌唱力。フランス語も完璧。
盛り上がる夜のパリ、輝くエッフェル塔で開会式を閉じます。
私が感じた圧倒的なザ・フランス
色々総括すると今回の開会式は私にとって現在のフランスを見事に表現しているなと痛感したイベントでした。
「それやっちゃあかんやろ!」のラインをあえて超えていく。
たがが外れた鬼才にしか発想しえなかった、いや脳内でアイデアが出てもそれを形にする実行力がないと完成し得ないであろう斬新な演出の数々。
このシーンごとの言葉などは哲学を深めたり芸術を深めたりするお国柄、しっかりとした芯であるフランスの「自由と平等と博愛」を中心に練りに練られた構成と4時間尺に収めるタイムキープ。
スクリプトを考えるシナリオライターたち、映像に映り込むカメラマン、編集に膨大な時間を費やした編集マンやディレクター、たくさんのプロに思いを馳せながら感謝の気持ちが込み上げてきます。
それはヴェルサイユ宮殿やオペラ座が美しく未来に幸福をもたらすように芸術は未来に繋がる継承のプレゼント。
突き抜けて自由で、時に危険すぎるほど平等で、根底に流れる博愛。
王道の伝統文化はしっかり丁寧に表現しながら遊びもある。
美醜を通り越して、精神的な繋がりを求める、高貴な愛に結実させるとは。もはや、ぐうの音も出ない…一流ってこういうところまで先の先の先を読んでいるんだろうなと素人はただただ降参。
多分、過去スタジアムでのオリンピック開会式ではここまでのレヴューは書けなかった。
そこは初めてスタジアムを飛び出たことによる"スケール感"が大きい。
長い芸術の歴史、そしてこれまで複雑に積み上げてきた混沌の歴史という光と影両方持つフランスだから表現できた世界観だと感じます。
圧倒的な美を追求するあまり、ダークネスにも落ちやすい。
フランス人のブラックユーモア好きは有名です。
まじめで律儀な国民性の日本の東京オリンピック2020。
その次がフランスというコントラストも個人的には日本人として新鮮で
オリンピックは4年おきに楽しめる現実社会のイッツア・スモールワールドや〜! ありがとう!
やっぱり私にとって興味深い魅力的な国だという印象がますます深まった、そんな開会式でした。これからパリ中の美しい景色をバックにたくさんの競技が行われますがスポーツマンシップでしか得られない、勇気と感動を心から楽しみにしています。
パリオリンピックは8月11日まで。7月30日現在、日本も多くのメダルを獲得しています。遠く日本から選手達にエールを送りたいと思います!
ここまでお読みいただきありがとうございます。
ご意見コメント楽しみにしています。
平日毎朝8時にnote投稿中。
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