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観戦ニワカ夫婦のツール・ド・フランス2020所感(と来季のイネオス陣営)
スポーツは好きだが、ロードレース観戦は2014年からと歴の浅い夫。スカイ大好きで「フルームがいないツールなんてあんまり観る気にならんわ~」と言いながら、妻がTVを独占していたせいで今年は毎日観戦をする羽目になっていた。何ならスタート前ポディウムから観ていた。
以下はそんな夫との今朝の会話である。個人的に「へー」と思うところがあったので、備忘のために書き残しておく。
※ロードレースやチーム歴史や戦略に疎いニワカの感想です。
※夫婦ともに関西人です。
※Aさんは素敵なロードレース観戦先輩です。
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私「イネオスが新規加入選手を発表したやで」
夫「誰?」
私「イギリス人シクロクロッサーにして期待の若手選手ピドコック。将来のエース枠かな。今年のツール表彰台だったポートが出戻り。一昨年ログリッチの右腕だったデプルスは噂通りやね、確か病気で今年はほとんど走ってないけど。あと今年ツール一勝のマルティネスはEFとの契約がまだ残っているのに移籍やって」
一気に4人の獲得を発表。あまりのカジュアルさに世界はびっくり。
夫「へー」
私「発表済のアダムさんも入れて5人やけど、みんな総合系というかクライマーやね。
まあイギリスチームだし、イギリス人の総合エースは必要ですよ。フルーム、Gの世代の次がテイオ(・ゲイガンハート)っていうのはちょっと飛びすぎだから、狭間の世代で即戦力のイェーツを持ってくるのは流石だと思ったし、ピドコックは次世代…次々世代くらいのエース候補やね。
他の3人はグランツールアシスト枠やろうか。ポートは引退後の監督就任を見据えた移籍らしいけどね」
私「昔からのスカイファンのAさんと話しててんけど、今年のツール、イネオスは山岳に強い選手を沢山連れてきたけど、その分山岳までをしっかり引っ張ってくれる選手が足りなかったんちゃうかって。例えばスタナード、アイゼル、キリエンカとかGみたいな大柄で屈強な選手。
今年はロウと、特にファンバーレがその役回りだったんだろうけど、なかなかワークしなくて、その分カワサキくんやカストロビエホが本来の役割を果たす前に消耗してたんじゃないかと」
私「ユンボヴィズマはそこが強かった。マルティンやヤンセンの牽きとか、ファンアールトの働きが素晴らしかったよね。
ファンアールトはちょっと規格外だったとして、ヨーロッパ出身選手を中心に組織的な動きができていたことがチームとしての強さに繋がっていたんちゃうかって言ってはって、なるほどなあと思ったよ」
私「だから、イネオスがまたツールを勝つには、クライマーじゃなくてベルギーとかオランダとかの経験豊富で屈強な、クラシックもバリバリ走れるような選手の補強が必要なんじゃないかって話してたのよ。なのにクライマーばっかり獲って、大丈夫なんやろうかと思って」
夫「なるほどねえ」
夫「でも、俺はちょっと違う見方をしてるで」
私「そうなん?」
夫「そもそもさ、ツールはASOがフランス人を勝たせたいレースやん。で、フランス人はクライマーが多いから、彼らに有利な山々しいコース設定にしていたわけでしょ。その設定にまんまと乗って勝ってきたのがスカイ/イネオスなんじゃないかと思うの」
私「ほほう」
夫「でもスカイ/イネオスの連勝が続くとファンがつまらんって怒ってくるわけでしょう。だからフランス人向けという下地はあれど、最近は展開が面白くなるように色々コースを工夫してる」
夫「今年に関してはマイヨヴェール争いが顕著やったよね。中間スプリントポイントが今までと違って登りの手前に設定されていたから、サガン一強にならんかった。
それで序盤からボーラ・ハンスグローエとドゥクーニンク・クイックステップが激しくやり合うことになってたけど、これが今年のツールに大きく影響してると思うねんな。
序盤に逃げが決まって勝負どころまでマッタリサイクリング…っていう例年よくある展開にならなかった。だからイネオス含めてどのチームも消耗したと思うで」
特にボーラ・ハンスグローエはサガンのライバルのベネットを振り落とすために積極的に仕掛けることが多かった。
私「確かに逃げが決まるまでに激しい打ち合いをする日が多かったわね」
夫「でもまさか、そんなことになるとは開幕前には思わんやん。この今年独特の展開が、イネオスにとっては予想外やったんちゃうかなあ。シヴァコフがStage1で落車してワークしなかったのも痛いけど」
私「今年のコース設定はスーパーハードやし、ロックダウンもあったから選手のコンディションの差も大きそうよね」
夫「その辺の特殊事情も影響ありそうね。まあ今回のイネオスの補強は、今までのスカイ/イネオスのツールの勝ち方にフィットしたもので、今年の特殊事情は考慮してないやろ。ツール前にほぼ決まってたやろうしね。平坦で皆を守ってくれる選手が必要だった、というのは後付けなわけよ」
私「なるほどね。まあ、我々がどうこう言っていることを含めて全ては後付けよな…」
夫「今後のツールのコース設定がどうなるかによって、イネオスも色々考えて変えてくると思うよ。今年の展開が特殊事情でなくなって毎年起こるようなことになれば、対応せざるを得ないわけやし」
私「はー、なるほどね。来年のツールが楽しみやな!まだコースもわからんけど。というか来週からジロ始まるで!」
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※夫はデクレルクさんのガタイの大きさに日々感動し、ログリッチのハンサムぶりを絶賛し(Stage20では彼の気持ちを思うと辛いと泣いていた)、何故かオリジナルの応援ソングを作ってカーシーとコヌフロワにアレアレ声援を送っていたという愉快な人間なので、そんな感じでご覧いただければ幸いです。
※Aさんは我々とは比べ物にならない歴戦のロードレースファン。いつも色々教えてもらっています。ちなみにメンバー発表を見た時から、今年イネオスがツールを勝つのは難しいのではと感じていらしたそうで、Aさんの見解については後付けではないことに触れておきます。