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武蔵小金井「三光院」さんの雅な竹之御所流精進料理をいただくの巻
先日、友人が見つけてくれたOtonamiさんのツアーで、武蔵小金井にある尼寺「三光院」の精進料理をいただく機会に恵まれました。家からも近かったので、これは行くしかない!と即決。予約開始後すぐに埋まってしまうほどの人気ぶりでしたが、幸運にもクリスマスイブの12月24日に予約を取ることができました。
武蔵小金井「三光院」さんとは
今回訪れた「三光院」については、Otonamiさんの記事に詳しく紹介されています。
この記事を読んでいただくとより深く理解できるのですが、特に重要なのは「三光院」が尼門跡寺院であるということ。尼門跡寺院とは、皇族や公家出身の女性が入寺し、住持(住職)を務めた寺院のことを指します。つまり、竹之御所流精進料理は、もともと皇女のために作られた尼寺料理なのです。
現在、竹之御所流精進料理をいただけるのは、この「三光院」のみ。私たちが普段イメージする精進料理とは一線を画す、非常に気品高く雅な料理の数々を堪能することができました。
料理長 西井香春先生
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三光院で料理長を務めるのは、西井香春先生。元々はフランス料理のシェフだったという異色の経歴の持ち主で、50歳を過ぎてから前住職・星野香栄禅尼に師事されたそうです。
お料理編
ここからは、実際にいただいたお料理をご紹介していきます。三光院のお料理は作り置きではなく、その都度調理、配膳されるのが特徴です。
抹茶と三光院のササリンドウ紋最中
まず最初に供されたのは、抹茶と三光院のササリンドウ紋があしらわれた最中。来客者にはお薄でおもてなしをするという伝統があり、最中の食感を最大限に保つため、来客後に餡を詰めているのだとか。詰めたての最中は、パリパリサクサク!お食事の前にお薄をいただくという体験が、なんとも雅!!!
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お煮しめ
大和芋の海苔巻き、高野豆腐の含め煮、ごぼうの胡麻和え、南瓜の煮物に、南天の葉が添えられています。竹之御所流の特徴は、ほぼ出汁を使わず、素材本来の「淡味」を活かすこと。大和芋などのすりおろした食材は、海苔巻きにすることで上品に、そして食べやすく工夫されています。このお料理に合わせていただいたのは、「キンシ正宗 京仕込 生貯蔵」。
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ごま豆腐の葛とじ
皮を剥いた生の胡麻を使用しており、喉を通った後にほのかに胡麻の香りが立ち上るように計算されているという、繊細な一品。ごま豆腐も手作りというから驚きです。
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からもの
大根を女房詞で「からもの」と呼んでいたことが、そのまま料理名として残ったそう。大根の煮物に、唐辛子がアクセントになっています。面取りはされておらず、昆布出汁がしっかりと効いています。
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香栄とう富
前住職・星野香栄禅尼によって考案された、燻製のお豆腐。竹之御所流では珍しい調理法とのこと。お酒によく合います。
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木枯らし(おなすのおでん)
お茄子の田楽。「おでん」は田楽のことを指します。「木枯らし」という名前は、楽器の琵琶の形に似ていることから、建礼門院ゆかりの寂光院の琵琶「木枯」から名付けられたそうです。西京味噌仕立てのお味噌が、上品な味わいを醸し出しています。
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富士の嶺
境内に咲く大輪の白い山茶花「富士の嶺」を、器の中に表現した豆腐のおすまし。ふわふわ、そしてみっちりとした食感が楽しめます。
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粟麩のおでん
粟を使った、お麩のような食感の蒸し料理。個人的に、このお料理がとても気に入りました。
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にゃくてん(こんにゃくの天ぷら)
星野香栄禅尼が田祖栄和尚のために創作したお料理です。「何かを模しているのですが何かわかるかな?」と問われたのですが、分かりませんでした。
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銀杏のおばん(銀杏のごはん)
三光院で採れた銀杏を使ったご飯。果実を剥き、皮を割る下処理は、修行のよう。キラキラと輝く銀杏は、まるで宝石のようでした。
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竹乃御所伝統のすすり茶
最後にいただいたのは、最高級の玉露を啜りながらいただくという、贅沢な「すすり茶」。茶葉そのものも、息を呑むほど美しい緑色をしています。茶托は錫製。茶葉も美味しかったのですが、さすがに全部食べることはできませんでした。
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今回は12月の冬の膳でしたが、次回はぜひ、6月の夏の膳の頃に訪れたいと思っています。Otonamiさんでは詳しい解説付きですが、三光院に直接申し込むと、解説なしでお料理のみを堪能できるコースもあるようです。
ぜひ、武蔵小金井「三光院」で、雅な精進料理の世界を体験してみてはいかがでしょうか?
臨済宗 泰元山 三光院 公式ホームページ
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