犬と星と窓の灯り
夜に犬と散歩する。
家々の窓から漏れる灯りを眺める。
天気がいいと空には星が見える。
犬と暮らすことがなかったら、夜の散歩に出ることはなかっただろう。
街の風景は昼と夜とで違う顔を見せる。
昼はひっそり佇む、スナックや居酒屋からは大きな歌声や笑い声。
夜の学校の静寂。
遠くにはライトアップされた大きな橋。
空には飛行機の灯りが点滅する。
犬がやたらと止まるから、辺りの景色を眺める。
ウォーキングしている人、自転車、バイクが私たちを追い越していく。
同じ場所でも時間が違えば、まったく違う景色がある。
物事というのは、違う面から見ると他の事実が浮かび上がることがある。
そう考えると絶対の正解はなくて。
正解にこだわりすぎて人間関係を壊すより、薄目で物事を見るくらいがちょうどいいのかも。
もっと早くそのことに気づけたらよかったのに。
わたしは唇を噛み、空を見上げた。
そして、夜は更けていく。