ミュージカル北斎マンガ
わらび座創立70周年記念作品だという。
読書会で、このお芝居を観る人はいませんか?と聞かれたので、
「はい!行きたいです!」と手を挙げた。
なぜなら、私は北斎ファンである。
リスペクトしている。
そして、昨年まで、芸術教室の係をしていたのだが、この演劇を選んでいたからだ。流石に、自分一人で決めるのはまずいだろうと思って、良さそうな演劇3本ぐらい推薦したら、別な演劇が通ってしまった。
正直、ガーンとしたが、私が観ることは無かったその演劇はなかなか面白かったらしい。「夢を叶えるゾウ」っていう演劇。
しかし、今日、北斎の劇を観て、これを子供らに見せたかったなあと心から思った。いつも、学校の、芸術教室の演劇って、全くつまらないなあと思っていた。その中で、わらび座は見ごたえのあるものを見せてくれるという印象がある。歌と踊りが凄い。
前の記事に、18時からの飲み会が時差ぼけみたいで、ちょっとストレスと書いたのだが、今回のお芝居も、午後14時ぐらいからの演劇だと思っていたのは勘違いで、18時半、開演であった。
うわ!やめとけば良かったと思った。
終わるの21時近くか。
うぬぬ( ^ω^)・・・。
この間も18時が待ち遠しかったが、それより30分遅いのか。
しかも、飲めないし。
車を置いて、ビール飲んじゃう手もあったが、ただ一人で行くことにしていたから、これはもう、さっさと車で行って車で帰ってくるという方を選んだ。
2023年9月13日。
今、時刻は21:13である。
ダンナはすでに寝ていて、1人、音楽を聴きながら、今日の演劇の感想を書きたいと思った。大好きな秋田ひろむの歌を聴いている。
白ワインソーダを飲みながら、今日観た劇のことを思い出している。
芝居を観る前から、北斎を好きだったが、芝居を観て、さらに、好きになった。
初め、妙に、明るいインストゥルメンタルがかかって、芝居が始まった時、これはヤバいぞと思った。
北斎だけに、もっと日本の和風の音楽が良かったな。
そうか、ミュージカルだった。
この子供用の番組みたいなおめでたい曲が嫌いだ。
このお芝居に私はついていけるだろうか、と不安になる。
しかし、観ているうちに引き込まれた。
役者の声量、歌、踊りに。
みんないい声で、歌う。
次第に物語に引き込まれ、すでに知っていた北斎の物語を演劇で追ったのだが、事実を知っているだけで、こうして目の前で北斎や、彼の妻、娘、馬琴など、事実に血肉を与える役者がいて、全身全霊で、北斎の人生を立体的に描いてもらったときに、北斎、かっけぇ!と素直に思った。
始まりは席を立って帰りそうだったのに、自分の頬に一筋の涙が流れた。
北斎が、初め所属していた一門から破門される時、師匠の絵だけでなく狩野派や西洋の絵も吸収したい北斎と、師匠の手本を出てはいけないという兄弟子との言い争い。
今じゃ、世界の北斎だけど、一門の肩書が無くなったら、仕事が無くなるという危うさの中にいた。
妻が、誰も歩いたことない道を行きなさいよと北斎の背中を押す。
凄いな、北斎も、初めの一歩の時、びびっていた。
妻が死んだ時、肩を落としている北斎に、死んだ妻が、絵のことは忘れて旅に出ましょうと言う。私にその景色を描いて見せてと。
それが富岳百景になる。
それは脚本家の創作なんだろうけど、70代で富岳百景を描いた北斎の人間のドラマ、80代で滝沢馬琴に絵を贈った北斎、90代で死に至るまで絵をガンガン描き続けた北斎の人生を1時間45分のお芝居で観た。
北斎、推しだわ💖
何かを夢中でやり続けている人。
今の自分と真逆の人生(大笑)。
私の誕生日は4月19日だけれど、
北斎が死んだ日は4月18日だったし。
なんかこう、ガツンと北斎にやられた。
馬琴が小説を書いて、北斎が挿絵を描くって、
現代の、原作のある漫画家じゃないか!と思いながら、観ていた。
タイトルも北斎マンガだ。
今夜、北斎に、君が好きでスキで堪らないことをやらないの?
と言われた気がした私です。