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【ショート・ショート】あのツノは何のツノ?✧♡
「ところで、あのツノは何のツノなんだね?」
東館の支配人である私に、社長からの突然の質問であった。
そのツノはお客様を迎えるラウンジに、宝物のように飾ってある。
「ええと、先代から受け継いだもので、この土地にある鬼の伝説と共に、あるようでございます」
「何?ではあれは鬼の角だとでもいうのか?」
「・・・昨今の鬼のアニメブームに、土地の神社や、町の商業組合が乗っかって、ブームを後追いしているようでして」
「鬼のアニメブームの後追い?行動が遅すぎるようだな」
「はい。しかし、旅館のHP掲載後、若い世代の泊り客が少しずつ増えている現状は喜ばしいかも、と私は思っております」
突然、社長は鋭い目つきで言った。
「君たちはどう生きるか」
「は?」
「それを真剣に考えるのは今しかない」
「ほ?」
「今しか」
「へ?・・・今、しか?」
私は思い出した。
現社長が、大のジブリファンだったことを。
「今しか」つまり「ナウシカ」という暗号に違いない。
「社長、では、このツノは鬼ではなく。
シシ神のツノということでどうでしょうか?」
「ふむ、鬼より神の方が格が上だしな」
(子供とアニメみておいてよかったw)
本文(484字)
【ツノがある東館】のお題で、【一行目で惹きつける】ショートショート