スカフェラレネー話③
私が津軽弁の日に、投稿した話は、母から聞いた話。
久々に母が私の働いている八戸市に遊びに来て、一緒にランチでも食べに行こうという話になった。私のイメージとしては洒落たフランス料理店でゆっくりおしゃべりしながら、ランチを珈琲まで楽しみたいと思っていた。
母に食べたいものを聞いたら、「馬肉(ばにぐ)」という答え。
ちょっと想像とのギャップに驚きながら、尾形で、馬肉鍋をつついた。
食べながら、母は、思い出を話し始めた。
母の出身は西津軽郡車力村富萢。
米の精米所のある大きな公の家に生まれた母。
家には何頭か馬を飼っていたという。
昔の家のトイレは外にある。家からトイレに行く途中で、馬が時々いたずらして、服を引っ張ったりする。
そんな家で飼っていた馬が、死ぬと、近所の人たちが、
「いだわし馬、死んで残念だな」(いだわし=もったいない、大切なの意)
と、お悔やみを言いに来る。
でもそういう人たちの懐には、「まきり」というナイフがしまわれていて、馬の肉を切り分けては、ホクホクとして持って帰るという話。
口ではお悔やみを言いながら、心の中では馬の肉をゲットして、ホクホクしている、このギャップが面白くて、さっそく詩の部に投稿した。
この津軽弁の日への出演は、ほんとうに面白かった。
交通費や宿泊費も出るのだが、なんと、家族の分も出るのだ。
なんて太っ腹なんでしょうか。
私はダンナと、青森ホテルに宿泊した。
当日、どきどきしながら、舞台わきで青山良平さんが自分の作品を朗読してくださるのを聞き、入選を表彰されるために舞台に出て、出演者と握手をする。賞状を渡してくれたのは、メンバーの中で一番大好きな野津こうへいさん💖。やったあ!
握手ができて、大感激。
私はついてる。
野津こうへいの演じる津軽のばさまは最高のキャラクターだ。
番組後は青森ホテルで出演者と入選者とその家族全員で、懇親会。
この番組は、投稿してくれる視聴者で成り立っていて、私たちをとても大切にしてくれていることが伝わってきた。
これは、毎年、作品を送らなければ。
このビギナーズラックを津軽人みんなに教えたいと思い、津軽弁ノートなるものを作った。津軽から遠く離れた津軽人が、津軽弁をシェアするためのノート。いいネタが出てきたら、各自、津軽弁の日に投稿して、あの番組を盛り上げていければいい。
南部裂き織のちょっとやぼったい感じのノート。
どうやってこれ使おうかと思ってたけど、津軽弁ノートにぴったり!
早速、この秘密のノートを職場の親しい津軽人から回してみる。
この八戸の一番の進学校でスタートしたこのノートは、十和田の工業高校でも回された。書いてくれる人も読むだけの人もいるけど、どっちでもいい。このノートを読む津軽人は、ちょっと頬がほころんでるはずだ。
忙しい職場の、仕事のためでも何でもない津軽弁ノート。
今の新しい職場で、忙しすぎて2年ほったらかした。
Cウィルス休校で、机の周りを整頓していたら、発見した。
そうか、今またこのノートを再開するべき時がやってきた。
改めて読んでみると、このノートでたびたびあがる話題。
「津軽弁の飲み会やってみたいよね?」
そんな話が出て9年ぐらいたっているけど、1回も実現してない。
これだ。
ノートが回り始め、飲み会実行の時が来た。
お店の手配は、飲み会の時、必ず0次会を楽しんでからやって来るあのお酒に強い彼女に頼もう。メンバーは4、5人ぐらいか?
この教師の仕事が緩やかな時に、できないことは、今後も全くできないだろう。千載一遇の、チャンスだ。
その飲み会が決まったのが、昨日のこと。廊下を歩いている途中で、メンバーにばったり会い、とんとんとんと話が決まった。
いいぞ、Cウィルス休暇。教師が皆でランチしているとか、飲み会しているとか、世間の目が厳しくなって自粛を求める風潮が強まっている。
我々教師が集まるのではない。
津軽人が集まるのだ。
たまたま教師って仕事なだけで、むしろ、初めから津軽人である。
この飲み会はこっそり、本日行われる。
他人に聞かせられない秘密の楽しい飲み会。
「知らせられない → しかへられない → スカフェラレネー 」
ホント、津軽弁って、外国語レベルだ。カタカナでしか表現できない。
津軽弁LINEの名前も、チームちゃかし(お調子者)に決定。
いいね。ちゃかし最強。Cウィルスさえ倒す。
スカフェラレネ―飲み会は本日決行された。(2020年3月17日)