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平和についての覚書

 好きな人と散歩する、好きな人とごはんを食べる、好きな人と悩み、好きな人と笑う。好きな人とただ一緒に居ることは目的ではなく、好きをどんな言葉に置き換えてもいい。好ましい人、楽な人、たのしい人、この人の前では嘘をつけないと思える人、わからないけれど大事な人。
 好きなところに行く、好きな服を着る、好きな音楽を聴く、好きな言葉で話す、好きな言葉を読む、好きな言葉で返事をする、好きなときに目を瞑る、好きなときに好きと言う、好きなものを好きでいること。
 そういうことが平和なのだ。
 私は平和に築かれ、平和に満ち、平和を愛する。

 平和は、幸せは、ありふれていて数え切れなくて、重い。重いから、ついその重みの外に出てしまう。自分が何に築かれ、何に満たされ、何を愛しているかを忘れて、正しさや現実的な解決策について考える。自分と異なる考えを打ちのめし、従えようとする。私たちが、本当に同じものを目指しているならば同じ痛みに泣けるはずなのに、どうしてそれが難しい。与えられたものを受け取って目を瞑ったままでいる。それだけでいいはずはないのに。この躊躇いすらも、平和だ。

 それでも、あなたを築くものを守り、あなたを満たすものを頼り、あなたが愛するものを愛すべきなのだろう。平和という言葉でさえ真っ白ではないなら、あなたがあなたのために言葉を探さなければいけない。私はそう思い、これを書いている。

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