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わたしたちは夢を見ながら、夢に生きて
変わってゆくことは自然なことで、変わらないことを誓うことも、変わらないでいてほしいと願うことも不健康だと思っていた。人の体も、精神も、愛情も、水のように、草花のように、朽ちてゆく土壁のように変わってゆく。人間は変わらないものを作ることが誠実だと思っているけれど、そんなのわたしたちにできるわけがないし、するべきことはもっとある。生きているあいだに生きているひとのことを見向きもしないあなたはいつまで生きるつもりだよ。この星で人に生まれなければできないまちがいを選ぶんだみんなみんな。
近づいたり離れたり、明滅する星と星が交わした視線や言葉をふたり以外が知ることはできない。見てきたもの知ってきたことと照らし合わせてそれが幸福や不幸に思えたりするのもその瞬間にもう敬意を失っているということだろう。だからふたりがもうふたりではないことを知ったとき、ひとつの神話が終わってしまったように思えたわたしは反省している。同時に本当は変わらないものが見たいと願っていることを自分事としてはっきり自覚した。これもまたこの星で人に生まれなければ選べないあこがれだ。まちがいだ。
ひとつの星のかがやきを、ひとつの風のかおりを、ひとつの水のゆくえをを、ひとつの屋根がもたらす安心を、ひとつの旅がもたらすものを、ひとつの魂が願うことを、忘れないためにまた蓋をする。この星で人に生まれたわたしのかわいい夢よ。ほんとうは今わたしたちは誰かの夢に生きていること、どうか忘れないでいて。夢を見ながら夢に生きて。夢を見ながら、夢に生きて。