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発達わんぱく会へのインタビュー
初めまして。note 初投稿になります。堤彩乃といいます。
私は現在、ミス慶應コンテスト2024 のファイナリストとして活動しており、大学では主にマイノリティの人権について学んでいます。
ミスコンの活動を通して得た影響力を用いて、自分も何か貢献できることはないかと探していた時、発達わんぱく会様にご協力いただけることになりました!
インタビューにご協力いただいた理事長の小田様、並びに発達わんぱく会の皆様、ありがとうございます。
今回は、発達わんぱく会の設立者であり、理事長を務められていらっしゃる、小田知宏様にインタビューをさせていただきました。
このインタビュー記事を通して、発達わんぱく会の素敵な活動がより多くの方々に広まることを願っています。
ーー初めまして、慶應義塾大学法学部3年生の堤彩乃と申します。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。
小田)発達わんぱく会理事長の小田知宏です、よろしくお願いします。
ーーまずは、小田様ご自身についてご質問させていただければと思います。
事前に、HPで小田様のご経歴を拝見したのですが、東京大学をご卒業された後も、日本福祉大学や筑波大学などで学び直しをされていて、素晴らしいと思いました。学び直そうと思ったきっかけはありますか?
小田)そうかあ、最近学び直しっていう言葉はよく聞きますが、自分も学び直ししていたことになるんですね〜
私は大学時代、経済学部で学んでいて、経済の勉強は今も書籍を中心にしています。元々商社で働いていましたが、1999年にコムスンという介護の会社に転職をしたんです。そこから仕事を介護分野ですることになったので、学び直しをしました。
ーーそうなんですね!さすが、勤勉で素晴らしいです。
また、ご自身も社会福祉士、保育士、公認心理士の資格を取得されていると拝見しました。ご自身でこれらの資格を取得しようと思ったきっかけはありますか?
小田)そうですね、すべての資格が発達障害を持つお子さんを支援していくのにとても役立つ資格というのはいうまでもありませんが、社会からの信用を得るのにもとても役立ちますね。営業をする時にも、私自身が資格を持っていると説得力は増します。
ーーなるほど!現場だけでなく、法人を運営していく上でも役立つのですね!
次に、発達わんぱく会についてご質問させていただければと思います。
発達わんぱく会を設立されたきっかけはなんですか?
小田)「発達障害の有無に関わらず、全ての子供が、その子らしい生き方ができる社会にしたい」という思いからです。
私は、発達障害を持つ子供に早期療育の機会を与えることが非常に重要であると考えています。早期療育を通して幼児期に介入すれば、得意を伸ばすだけでなく、苦手も大幅に改善される可能性があるんです。
ーーそうなんですね。実際発達わんぱく会ではどんな療育事業をしているのでしょうか?
小田)発達障害の早期発見・早期療育で、子どもたちの強みや特性を伸ばし、生きる力とこころとことばを育てることを目的とする、「こころとことばの教室こっこ」を運営しています。
こっこでは、お子さん一人一人に合わせた、オーダーメイドの療育を行っています。一人一人の得意とニーズに合わせた療養プログラムを組んでいるんです。
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ーーなるほど!!
でも、オーダーメイドって時間も手間もかかるイメージがあり、たくさんのお子さんに支援の手を伸ばしたいとなるとすごく大変だと思うのですが、どのように工夫運営されているのでしょう?
小田)そうですね。療育に特化して、療育以外のことはやらないようにしています。例えば、お子さんを預かることや送迎、生活訓練は行いません。1人あたりの療育は45-60分で行いますが、その時間を全て療育に充てられることになります。また、幼児期の子供のみを対象にしており、小学生以上は対象外になっています。あとはやはり人員の手厚い配置ですね。一日6人、幅広い専門性を持った職員を配置するようにしています。
ーーなるほど!!限られた人員と時間の中でより良い療育が提供できるよう、沢山の工夫をされているんですね。
小田)はい。
ーー療育事業って、実際に見たことがないと、なかなか具体的なイメージが湧きにくくて、、実際、どんなふうに療育をされているんでしょうか?
小田)そうですね。療育を受けにきてくれるお子さんは、自閉症の傾向を持っているお子さんがほとんどです。
自閉症の子供は他者に対する関心が薄いんですね。この他者に対する関心の薄さは成長に大きく影響します。
というのも、発達障害を持たない子供は、お母さんが自分に話しかける言葉から言葉を覚えていくように、人を観察して人から学ぶことが非常に多いのですが、他者への関心が薄いとそのような機会が奪われてしまうんです。
私たちは、その他者への関心を育むことを目標にします。
私たちの療育の対象が幼児期の子供なのもあって、ソーシャルスキルを育むことを主な目標にはしていません。
例えば、「おはよう」という声掛けに対して「おはよう」と返しなさい、ということは教えません。おはよう言われたことに、気づくこと、嬉しいと思う経験を積み重ねていきます。声掛けに気づいて少し動きを止めたりするところから始め、こどもがこちらを向いてくれたりしたらうれしいですね。ニヤッとしてくれたらもう最高です!この反応がもっと強くなるように、療養を進めていきます。
ーーなるほど!!お子さんが反応してくれるようになった時の嬉しさは計り知れないですね、、!!
実際そういった療育をする中で、発達障害を持つお子さんと関わる上で、小田さんご自身が気をつけていらっしゃることはなんですか?
小田)子供の立場に立って考えることです。何を見ていて、どんな気持ちなのか、、、この子が今何を考えているのかを常に考えるようにしています。
ーー一人一人にきちんと向き合ってらっしゃるんですね、素晴らしいです。
このインタビューを読んでくださる方の中には、身の回りに発達障害を持つ人がいるという方もいらっしゃると思うのですが、周りの人は、その人のためにどんなことをしたらいいのでしょうか?
小田)そうですね。
発達障害を持つ人に対する接し方について聞かれた際、私はいつも、自分自身を顧みることをお勧めしています。
発達障害を持っている人というのは、平たく言ってしまえば、得意なところはすごいけれど、苦手なことも沢山あるんですね。でもこれって、程度の差はあれど、発達障害を持たない人にも共通しています。誰にでも得意不得意はありますよね。誰でも、多かれ少なかれ、周りの人に支えられて生きているものです。長所と短所は表裏一体ですから、短所を周りの人に補ってもらうことで初めて長所が生きてくる。そう考えれば、周りに感謝の気持ちを持つことができるし、今度は自分が周りの人の短所を補おうと発達障害を持つ人にも優しくなれると思います。
ーーとても素敵なお考えですね。
発達障害を持つ人が、自分らしく生きられる社会をつくるために、普通の学生にも何かできることはあるのでしょうか?
小田)そうですね。やはり、繰り返しになりますが、他者に対する配慮の気持ちを持つことが大事だと考えています。
この発達障害の問題は、LGBTQや難民、貧困問題と同じようなマイノリティ問題だと考えています。つまり、自分と違う人を受け入れていくということです。自分自身のことを「自分はマイノリティではなく多数派だ」と思っていても、みんなそれぞれ得意不得意はありますし、それぞれ凹凸があるものなのだから、自分自身も周りに助けられながら生きていることを自覚することで、自分も周りに優しくなれると思っています。
専門家の方から、直接現場のお話を伺うことができ、私自身とても有意義な時間を過ごさせていただきましたし、何より、「自分自身も周りに助けられながら生きていることを自覚することで、自分も周りに優しくなれる」という考えに非常に共感しました。マイノリティの問題を自分から完全に切り離して考えるのではなく、自分のこととして当事者意識を持っていけたらいいなと思いますし、互いの個性を認め合える優しい社会になっていったらいいなと思いました。
発達障害を持つ子どもも、そうでない子どもも、全ての子どもが自分らしく生きていける社会を目指して、今後もこの発達わんぱく会の素敵な活動に微力ながら貢献させていただければと思っております。
改めて、今回ご協力いただいた小田様、発達わんぱく会の皆様、貴重な機会を賜り、ありがとうございました。