【短編】シーフードドリア
レトロでオシャレな、都内のとある洋食屋。
落ちついた雰囲気で、少し黄みがかった照明が店の雰囲気を醸し出している。
BGMなどは流れておらず、お客さんの話し声が心地よく聞こえてくる。
日曜日のお昼時。主婦層の客が多く、AやBのように20代前半の客は少ない。
店内の最奥にキッチンがあり、その手前にはカウンター席が用意されている。
AとBはカウンター席前のテーブルを挟んで対面に座っている。
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明転
A「ていうかさ、2人で会うの何年ぶり??」
B「え~何年ぶりだろ。高校の時から会ってないから…」
A「そっか、じゃあ6年とか…?ほんと久々だよね。」
B「ね~。てかさ、なんで急に誘ってくれたの?」
A「う~ん…なんとなく?」
B「なんとなくって…いや、なんかあるでしょ?普通。きっかけとか。」
A「ううん、本当になんとなく。」
B「そう?」
A「うん。あ、でもインスタ見てさ、あの海鮮丼の。」
B「あ~サークルのみんなで鴨川に行った時のやつね。」
A「そうそれ、それでなんとなく今どうしてるのかなって気になってさ。」
B「なるほどね」
A「そうそう」
A、アイスコーヒーをストローくわえて飲む。
B、店内をなんとなく見回す。
B「てかよく見つけたね、こんなオシャレなお店。」
A「うん。なんかね、『シーフード ドリア 東京』で検索したら出てきた。」
B「『シーフード ドリア 東京』…??」
A「そう、『シーフード ドリア 東京』。」
B「『シーフード ドリア 東京』…」
A「うん。」
B「…『シーフード』は?」
A「海鮮丼」
B「ああ、そういうことか。え、じゃあ『ドリア』は?」
A「サイゼ」
B「…え???」
A「だから、サイゼリヤ」
B「サイゼリヤ??」
A「サイゼの目の前通ったら、ドリア食べたいかも!ってなるでしょ。」
B「うん…まあね?」
A「そういうこと。」
B「…???」
A「たまたまサイゼの目の前通って、ドリアが食べたくなったってわけよ。」
A、大きく頷く。
B「え、でもシーフードドリアなんか」
店員「お待たせいたしました~!こちら特製焼きカレーです!」
暗転
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