Museum03/アメリカ自然史博物館/ニューヨーク(アメリカ)
※こちらの記事は2017年に本美術館に来訪した際に書いた内容を加筆・修正したものです。ご訪問の際は最新の情報をご確認ください。
こんにちは、綾野です。
ジュエリーが展示されている世界の美術館/博物館をご紹介する“World Jewelry Quest”、第三回はニューヨークにありますアメリカ自然史博物館 (American Museum of Natural History)を取り上げます。
映画『ナイトミュージアム』の舞台として有名で恐竜や海洋生物などのイメージが強く、はてジュエリーとどのような関連が、と思われるかもしれませんが、こちらには素晴らしい宝石・鉱物のコレクションがございます。私自身、ジュエリーを作り始める前は宝石には工業製品のような印象を持っていました(ブランドのショーケースには同じデザインのものがたくさん並んでいますものね…)。しかし自分で取り扱うようになった今、宝石とは自然界の産物であり、同じものは一つもなく、寿司職人が市場でネタを仕入れることに似ているのではと考えております。自然科学という視点から宝石たちを見ると、宝石が今ここにあることはまさに地球の神秘である、と改めて感じることができるのです。
鉱物室と宝石室に所狭しと並ぶ石、石、石
本博物館内にあるAllison and Roberto Mignone Halls of Gems and Mineralsは宝石と鉱物に特化した展示室で、世界中から集められた標本が5,000点以上陳列されています。中心で目を引くのはアリゾナからやってきた4.5トンの巨石でマラカイト(緑)とアズライト(青)付きです。
どちらかというと宝石よりは鉱物がメインになっていて、こんなのが地中に埋まっているなんてジブリかよ、ロマンありすぎる、という美しく大きな鉱物標本がひたすら並びます(鉱物は門外漢で薄いコメントで恐縮です…)。
鉱物の中で個人的に目を引いたのはこちらの388カラットのフロライトです。ここまで大きいと身につけるのは難儀、部屋に飾ってみたいものです。
世界的に有名なスター宝石を所蔵
宝石は1室にまとめられております。宝石は英語では“Gem”にあたり、鉱物の中からポテンシャルのある原石(Rough crystal)が人間の手で磨かれることで晴れて“宝石”となることができるのです。宝石は自然と人間の共同作業の賜物と思うとお手元のお石もより愛しく感じられるのではないでしょうか。
こちら上はガーネット、下はトパーズです。同じ種でも様々な色やカットがあります。このように展示してもらえると宝石の幅が一目でわかりますし、自分の好きな種類も見つけやすいですね。おすすめの展示品をご紹介します。
240個の天然ダイヤモンドでできた蝶
『平和の蝶(The Butterfly of Peace)』と呼ばれるこちらは、240個、総167カラットのダイヤモンドを蝶の形に並べております。線対照になるように似たカットとカラーのダイヤモンドを集めておりやや変態味を感じます。色やカット、ダイヤモンドの多様性を一目で知ることができますね。
巨大な二つのスター宝石
宝石に光を当てると線が浮き出てまるで星が現れたように見える“スター効果”をご存知でしょうか。こちらではそのスター効果を持つ563カラットのサファイア『インドの星(The Star of India)』と約100カラットのルビー『デロング・スタールビー(The Delong Star Ruby)』を見ることができます。が、私がこの博物館に訪問した際はそんなことも知らなくて存在に気づいておりませんでした。無知って罪ですよね…。
私が来訪したのは2017年ですが2019年にリノベーションされより魅力的な展示となっているようです。いきたい!過去に本博物館のプラネタリウムも体験したのですが、日本のセンチメンタル★ロマンチックな雰囲気とは全く違い、ウーピー・ゴールドバーグのノリノリのナレーションで隕石バーン!!!ビックバーーーーーン!!!!!!の大迫力映像に度肝を抜かれたことがとても印象に残っています。日本とアメリカの違いをまざまざと見せつけられたような気がしたものです。
今回はニューヨークにあるアメリカ自然史博物館をご紹介しましたが、宝石が見られるアメリカの博物館と言いますと、ワシントンD.C.にあるスミソニアン国立自然史博物館の方が有名かもしれません。何を隠そうあの映画タイタニックのモデルとも言われる超有名な『ホープ・ダイヤモンド』がございます。うう、いってみたい…。他にもアメリカには有名な宝石が見られる自然史博物館が点在しておりますのでお好きな方はぜひ調べてみてください。
参考
アメリカ自然史博物館 公式HP
教育者向けの展示室ガイド(充実の内容です)